次の土曜日は新車に換わるので、家族全員でクルマの荷物を家に運び込んだ。シートカバーまで外すのに呆れた。引渡しの日の朝か前日にやれば良いのに妻はせきたてる。挙げ句の果てに娘は「お別れドライブをしなくちゃ」と言い出す。
午後から妻と娘を連れて箱根に出向いた。妻はちゃっかり入浴の準備をしている。晴れたものの寒い日である。パソコンいじりをして寝不足の私は気乗りがしない。「最後のドライブでしょ、ちゃんと走らせるのよお父さん」と娘は容赦しない。
今日はどこの道路も渋滞している。反対側の東名上りは厚木付近から渋滞が始まっている。まだ桜は開化してないから花見でもあるまい。昨日の雨で彼岸参りができなかったせいだろうか。箱根は風祭から大平台まで渋滞している。箱根湯本駅前は観光客でにぎわっていた。
「 今度のクルマが何台走っている」と後部席に座る娘が話しかける。ブルー6、ライトブルー5、レッド1、ピンク1と色別に言うのも退屈しのぎだろう。芦ノ湖を目指し、宮下で姫街道(138号)に入らず、小湧谷から姥子を経て湖尻に抜けた。路肩に残る雪に怯えた妻子は無口になる。大湧谷からの硫黄の臭さには全員が閉口した。
湖尻で昼食をとり遊覧船に乗ったが乗客はまばらだ。早雲山や駒ケ岳の上部には雪が残り、周囲の山々に枯れ木が目立つ。それにしても芦ノ湖の遊覧船に乗るのは10数年ぶりである。娘も息子も小学生だった。そんなことを妻と話すうちにあっけなく30分の遊覧は終った。
湖尻に浮かぶ船 雪が残る山頂
船内からの元箱根 すれ違った海賊船
年に数度は妻とナイトドライブに使う姫街道に出てから、いつものとおり御殿場温泉会館に立ち寄ったがここも満員で入浴は諦めた。東名高速はいつものとおり20kmの渋滞表示である。最後の最後まで酷使する主に文句も言わずインスパイアーは小気味良く走る。「お別れドライブ」だとはしゃいでいた娘は、いつものとおり気持ち良さそうに眠っている。
|