おとずかい
第6章 ギターの基礎知識 本文
上高地田代池からの穂高連峰


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音図解もくじ

    1 名前と板目                   ● 第6章のあらましへ戻る

    2 ドレミはどこだ

    3 主要コード表

    4 「荒城の月」に挑戦

第6章 ギターの基礎知識
 ギターの解説書はチューニング(音合わせ)に始まり、手入れのしかた、主な和音の構造と弾き方に終止しますが退屈ですね。
 せっかく買ったのにろくな音が出ないとムッとされた方もいることでしょう。
 鍵を押せば音が出るピアノとずいぶん違います。
 今は電子チューナーも入門セットに付いていて簡単に調整できますが、昔は音叉(おんさ)や時報でラ(A)の音を合わす必要がありました。
 ムッとさせられ手がかかるけどそれゆえ可愛いのは子どもと似ています。ギターとの苦闘は「ギターに挑戦」でふれています。


1名前と板目

 ギターにもあれこれ種類があります。大別すればアコースティックとエレキです。
 ずんぐりむっくりしているアコースティックギターはその厚さが反響音を生みます。
 細かいことを除けばフォークギターは弦をスチールにしたものです。 
 エレキギターとアコースティックギターではずいぶん見かけが異なります。
 のっぺらぼうでボタンがいっぱい付いているエレキギターは意外に重いんです。
 中間に位置するのがエレアコ(エレクトロニック・アコースティック・ギター)です。
 
(1)ヘッド・ネック・ボディ          【図6−1】                 
 ギターのイラストをごらんくください。
 ギターは、糸巻きが付いた「ヘッド」、弦が並んで指で押さえる「ネック」、それに弦を止め響きを生む「ボディ」の3つに大別されます。
 頭と体をつなぐ首がやけに長いので怪談に登場する「ろくろっ首」のようなものです。
 首が長いのは美人の要素ですが化け物じゃきょうざめですね。
                

(2)1フレットが半音きざみ         【図6−2上】
 ギターの音は半音きざみにでます。
 ピアノは鍵の色で半音と全音が区分できますがギターではわかりません。
 弦をまったく押さえなくても弾けば音が出るのがギターです。
 これが「開放弦」といわれるものです。
 弦は上から1弦、2弦、3弦、4弦、5弦、6弦と呼ばれ数が増すほど低音になります。
 五線譜の音の並びとまったく反対ですね。
 そして、1弦と6弦は同じ音の並びです。
 1弦はE(ミ)、2弦はB(シ)、3弦はG(ソ)、4弦はD(レ)、5弦はA(ラ)、そして6弦はE(ミ)です。
 また、ギターの開放弦にはC(ド)とF(ファ)はありません。だからドを弾くのは大変です。
 A(ラ)で調整するのも低音部楽器だからでしょうか。
 アルファベットはAから始まるから正統派の楽器ですね。

          

(3)板目の音階表              【図6−2下】
 以上の説明で、ギターはピアノや五線譜とずいぶんちがった仕組みだと驚かれたかと思います。
 ギターは元々低音楽器でひねくれ者です。
 ひねくれていても音階はきっちりまとめてあるのがギターです。
 板目に応じた音階表を掲載しましたので各弦のドを確かめて置きましょう。
 ドレミを知ることからギターいじりは始まります。
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2ドレミはどこだ
           【図6−3】
                        
 ドレミファソラシドを覚えれば怖いものはありません。それをむずかしくさせるのがギター解説書の弊害でしょう。
 ギターは和音で弾くものという考えがあって、わたしも和音ならドレミを知らなくても弾けそうだと手に付けました。
 そういう打算を打ち砕くのもギターの怖さです。


(1)開放弦の覚え方
 1弦から6弦までの開放弦の音名はE(ミ)、B(シ)、G(ソ)、D(レ)、A(ラ)、E(ミ)です。
 でも、五線譜の並びとの対応は6弦から1弦ですから逆に覚えた方が実用的です。
 E(ミ)、A(ラ)、D(レ)、G(ソ)、B(シ)、E(ミ)です。
 宮脇俊郎さんは語呂合わせで「家出するなら耳鼻咽喉科」としています。
 わたしは「見られたシミ」としていますがあなたも考えてください。
 電子チューナーが普及している今では不要になった5フレット調整を図解しておきます。
 チューニングにてこづってギターを捨てたのはわたしだけでしょうか。


(2)2弦から5弦を使ったドレミ
 ギター解説書で必ず説明されるドレミファソラシドが「オープンコード」というこの図解です。
 図解では0フレットを登場させていますが実際にはありません。弦を押さえない開放弦のことです。

 
(3)6つの弦いずれにもドレミがある
 ピアノは1列にドレミファソラシドが並びますが、ギターは6列に出発音を異にするドレミファソラシドが並ぶ行列(マトリックス)です。
 慣れるまでには戸惑いますが、狭い範囲の指の押さえで和音を出すには便利な配列のようです。
 とはいえ、各弦にドレミファソラシドがあることを忘れないでください。
 親切なギター解説書は6弦や5弦を使ってドレミファのしくみから始めますが、理論家の解説になりがちです。
 板目の音階表でドの位置を確かめてください。


(4)複数の弦を使ったドレミのブロック図          【図6−4】
 和音を押さえるためにはドレミファソラシドのかたまりをパターンで覚えてしまうことです。
 どのパターンが押さえやすいかも確かめましょう。
 図6−3にチューニングのしかたを図解していますが、2弦がへそ曲がりなので3弦は4フレットで調整します(他は5弦で調整)。
 ドレミのブロックは2弦がからむと位置がずれるので、3弦から6弦のブロックを覚えたほうが良いでしょう。

            

(5)五度圏をギターで弾く                   【図6−5】
 これは参考にすぎません。
 図4−24のとおり五度圏の並びはC、G、D、A、E、B=C♭、F♯=G♭、D♭=C♯、A♭、E♭、B♭、Fの順になります。
 それを5弦と6弦の移動で示したものです。
 開放弦にCとFがないギターでは五度圏はつかみにくいものです。ギターのしくみも五度圏を無視していないのを確かめる参考にしてください。
 ギターの開放弦では3弦から6弦の並びG、D、A、Eを思い出せば十分です。

           

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3主要コード表                             【図6−6】

 昔と違って音楽入門書にはピアノとギターの主要コード表がふろくについています。
 ですから、このコード表はそれほど役に立ちません。
 むしろ多くを並べるより、最低限必要な和音にしぼっていることに意味があります。

(1)習うより慣れよ
 ギターにせよピアノにせよ楽器に挑戦するのは弾きたい曲があるからです。
 弾くために必要な和音を身につけることが出発点です。
 そのためには、♯や♭のないCメジャー(ハ長調)やAマイナー(イ短調)から始めましょう。

(2)覚えておくのは7つだけ
 自分の声やフレットの押さえやすさでCメジャー(ハ長調)やAマイナー(イ短調)以外の音階を使う人もいるはずです。
 必要な音階に応じたダイアトニック・コードをひとつにしぼると7つの和音で足ります。
 均等な音の配分がされている平均律ではカポタストを使って移調で対応できるからです。
 Cメジャー(ハ長調)やAマイナー(イ短調)ならC、Dm、Em、F、G7、Am、Bm♭7です。それにE7とD7(Bm♭7の代理)を加えれば十分です。
 C、F、G7の3つで唱歌や童謡はほとんど弾けます。
 どうしても押さえられない和音は微妙なズレが伴いますが代理和音で対応できます。
 弾いて楽しむのは苦痛を伴わないことではないのでしょうか。この先は「ギターに挑戦」で笑ってください。

      

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4 荒城の月に挑戦

 せっかくですから一番かんたんに弾ける曲を紹介します。瀧廉太郎作曲の「荒城の月」です。
 明治34年に民間で作成された唱歌ですが心に響くメロディーがあります。
 Am、Dm、E7の3つのコードで弾けます。CやFのような「人差し指養成ギブスコード」はありません。
 原曲は♯が2つあるBm(ロ短調)ですが、調号をAm(イ短調)に代える移調をしています。
 歌詞はありませんが楽譜と音符の読みをつけます。
 この曲が弾ければ、リズムを変化させて「小さな日記」、「四季の歌」それにゴールデンカプスの「長い髪の少女」も弾けます。
 「ギターに挑戦」ではAmで弾けるフォーク曲を取り上げていますので自信が付いたら挑戦してください。
 フォークにあきて今年は唱歌や童謡に手を出していますが、この曲になぜかひかれるものがあります。
 古いとバカにするのでなく、古いものにも心に響くものがあるなって言ったら「演歌嫌いのくせに、父さんボケたの」と笑われています。
 演歌と唱歌の区別もつかぬ小娘に何がわかるか!
 何はともあれ、だまされたと思って挑戦してみてください。
 。

       Am    Am     Dm      Am
       ミミラシ  ドシラー  ファファミレ  ミーーー

       Am    Am     Dm E7   Am
       ミミラシ  ドシラー  ファレミミ   ラーーー

       Am    Dm Am  E7       Am
       ドドシラ  ファファミー レミファファ  ミー

       Am    Dm     E7       Am
       ミミラシ  ドシラー  ファレミミ   ラーーー  


   お疲れさまでした。長いおつきあいありがとうございました。

 
◎ほかの曲も弾きたい方に

 
楽譜なんてうんざりという方には歌詞にコードをつけた練習曲集があります。

1こどもの歌を弾いてみたい方は「音楽ガイド」に進んでください。
 
代理コードを使わずC・F・G7・Am・Dm・E7(長調・短調の主要三和音)で唱歌や童謡は弾けます
 はじめと終りだけですが211曲掲載しています。
 「誰にもわかるコード進行」では、<春が来た>・<こいのぼり>・<赤い靴>を取り上げています。

2フォークやGSを弾いてみたい方は「譜面で確かめる」や「初心者のための練習曲」に進んでください。
 「譜面で確かめる」は曲別に36曲まとめています。
 また、「初心者のための練習曲」は印刷だけでなく眺めることもできるPDFに50曲まとめています。
 はじめと終りだけでよければ「音楽ガイド」に240曲掲載しています。

3最新曲を弾きたい場合は次の月刊誌を眺めてください
 なるべく少ないコードで簡単に弾きたい方は「ゲッカヨ」(ブティック社)
 楽譜を確かめて弾きたい方は「GOGOギター」(ヤマハミュージックメディア)

 ギターに限らず楽器は音を出して確かめ、楽しむものです。飾って置くものではありません。
 気に入った曲を何度も弾いて親しむことが飽きないコツです。

 ギターで楽しんでください。
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