こどもの歌を例にコード進行を確かめる
誰にもわかるコード進行 5



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おとずかい
  
フォークのこと


誰にもわかるコード進行

(1)コード進行は状況に応じて選択される
(2)唱歌「春が来た」
(3)唱歌「こいのぼり」
(4)童謡「赤い靴」


別紙4 こどもの歌のはじまりパターン

 コードのパターンに出てくる並びはすべてが始めに出てくると限りません。
 また、一番初めに出てくる「終止形」は終りだけでなく、始めや中継ぎに出てきます。
(1)コード進行は状況に応じて選択される
 最もわかりやすいのが子どもの音楽教育用に作られた唱歌のコード進行です。
 最初の4小節はC・C・C・G(11曲)のパターンが多くを占めています。
 次に多いのがC・C・G・C(7曲)で、C・G・C・G(5曲)やC・F・C・G(5曲)と続きます。
 Gのドミナントは始まりに欠かせない和音のようです。
 コード解説の定番のC・F・G(四音のC・C・F・GやC・F・G・C)は見当たりません。
 でも、次の4小節ではC・C・F・GやC・F・G・Cが登場します。
 基本形と使われる位置は一致しません。こどもの歌のはじまりパターンは別紙4のとおりです。
 こどもの歌を実際に弾いてみたい方は別紙11をごらんください。
(2)唱歌「春が来た」
 それでは「春が来た」を取り上げます。4/4拍子でハ長調の8小節の歌です。
 高野辰之作詞・岡野貞一作曲、明治43年
 
  はるがきた はるがきた どこにき ソミファソラ ソミファソド ラソミド
やまにきた さとにきた のにもき ソラソミソ ドレドラド ソミレソ
 たった8小節でも、充分意味が通る軽快な歌です。
 C・C・C・GとC・F・G・Cの組み合わせでも音楽になるんです。
 「さとにきた」のFより、「のにもきた」のGの方が盛り上がりますね。
 終止形はF・G・Cのサブドミナント・ドミナント終止で、唱歌に多いドミナント終止のひとつです。
(3)唱歌「こいのぼり」
 短すぎてつまらない方もいるでしょうから「こいのぼり」を取り上げます。3/4拍子で、ハ長調の16小節です。
 近藤宮子作詞・作曲者不詳、昭和6年。 ちなみに唱歌には同名の曲があと二つあります。
やねより  たかい こいのぼー ミレドレ ミラソ ミミミレド
おおきい まごいは おとうさ ドレミソ ララソミ ソソミレ
ちいさい ひごいは こどもた ドドドラ ソソソミ レレレドミ
    
おもしろ そうに およいで ドレミソ ドラソ ミミレミ
 8小節までのコード進行は「春が来た」と同じです。また、2行目と4行目の4小節は同じコード進行です。
 3行目の4小節がF・C・G・Cで今までにないコード進行で、起承転結の転の役割を果たしています。
 こういう展開の音楽はフォークにもけっこうありました。
 ともあれ、Fが出てくる機会が増えましたが「おとうさん」・「こどもたち」・「およいでる」のGは強調したい部分です。
(4)童謡「赤い靴」
 唱歌なんて持ち出すなという人もいるでしょうから短調の童謡を取り上げましょう。
 野口雨情作詞・本居名世作曲の「赤い靴」、大正10年。4/4拍子で、ハ短調(Cm)をAmに代えました。
 この曲は横浜の山下公園にもかかわる曲で、野口雨情と本居名世は「青い目の人形」も作っています。
Am Am Am E7
あかいくつ はいてた おんなの ラシドレミ ミファレミ ミラドラ
Dm Am    E7 Am
いじんさんに つれられて いっちゃっ ララファファ ミミレファ ミファミミ
 Amがトニック、E7がドミナント、Dmがサブドミナントです。
 第1節でE7がなければ単調です。主人公が女の子であることが強調されます。
 そして「異人さん」というきっかけより、「連れられて」行った方を強調しています。
 この三つの例に限らず、ドミナントはサブドミナントより強調したいときに使います。
 サブドミナントは展開のきっかけだったり、状況をすこし転換させるときに使われます。

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