山師という言葉で妄想

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 山師という言葉がある。「やまし」と読み、山で仕事をする人を指す。具体的にいえば鉱石を採掘する仕事だ。辞書には山林の売買も含まれているのに驚いた。ともあれ、「師」には医師や技師のように専門家の意味がある。また、尊師、恩師のように尊称であった。余談になるが最近は看護師と呼ぶようになったが「士」に比べると上級にあたる。変えた理由は不明だが地位の向上を言葉で図ったのだろうか。

 ところで、山師を伸ばして発音すると「やましい」で何となくウサン臭くなる。というわけでもないが辞典をひくと詐欺師ともある。この「師」がつく職業には香具師(かぐし・やし)、傀儡師(くぐつし)、鷹師(ようし)など難読漢字に取り上げられるものもある。今はコーディネーターやヘッドハンターと片仮名で呼ばれる興行師、手配師もいた。最近ではなじまない職業だからウサン臭く響くのだろうか。

 そのせいか、山師には
    ●投機的な事業で大もうけをたくらむ人、
    ●人をだましてもうける人
というマイナスの意味がある。これは手入れをして収穫する農耕とちがって、あるものを捜し出したり加工するだけという職業差別の反映だろうか。そして、定住者が移り住む者を蔑み、変わり者扱いしたなごりだろうか。

 温泉や鉱石を採掘するのは地形や地質の知識や経験に基づいて行なうにせよ投機的な活動である。ヒット商品で「ひと山を当てる」などといういうように山にはどことなくバクチの響きが伴う。それと同様に気分やファッション感覚で動きまわる移り気な客を相手にする不安定な商売だろう。これもいわゆる水商売といえよう。だからといって、このレジャー産業を馬鹿にしたり、山師呼ばわりするつもりはない。


 どうでもいいことばかり並べたが、長風呂の妻子を待つあいだに他人を眺めるのも疲れたので言葉遊びを楽しんでいる。レジャー施設の中には、あかとり健康法とか、セラピー美容というサービスも兼業されている。それがウサン臭さを感じさせるのだろうか。