バレンタイン狂躁曲

 これは、今年のバレンタインデーで、義理チョコをどうするかでパートさんたちの揉めた話です。

 僕は知らなかったのだけど、昨年も義理チョコをどうするかで、女性パートさんの間で揉め事があったそうである。現在、僕の働いている部署には、僕を含めて4人の男性がおり、女性パートさんは15人ほどいる。毎年、女性パートさんたちは、お金を少しずつ出しあって、チョコを買い、僕たちに渡してくれるのだけど、昨年は、1人いくら出すかで、揉めたそうである。

 それまでは、1人500円ほど出していたそうだが、昨年はパートさんのうちのひとり、古株のSさんが「50円でいいわよ」と言い出し、揉めた末、Sさんに押し切られ、一人頭50円ということになったという。今までに比べ、チョコが異常にしょぼかったのを鮮明に覚えている。そして、今年は、○○さんにはあげてもいいけど、××さんにはあげたくないとSさんを含めた数名が言い出し、混乱してしまったようだ。具体的にいうと、○○さんはセクハラ社員のNさんで、××さんは、イエスマンのOさんである。

 何故、Sさんを含めた数名がセクハラ社員のNさんにはあげたいといったのかというと、彼女たちはNさんのセクハラ行為を知らないからである。Nさんがセクハラを行ったのは、ほとんどが20代の若い女性で、50を過ぎたSさんは対象外のため、Nさんの実態を知らないためと思われる。Oさんに関しては、口ばかりで達者で、ほとんど何もしていないという印象のあるため、嫌われているのだろう。

 しかし、パートさんの中にはというより、多くは、同じ職場で働いているのだから、好き嫌いはあるだろうが、一応、義理チョコをあげた方がいいと思っており、Sさんを支持する数名と揉めたというわけである。結局、義理チョコのために、お金を出したのは10名、参加しなかったのは、5名という結果になった。何故、僕がこのことを知っているかというと、義理チョコを渡してくれたパートさんがこれは…とお金を出した人の名前を一人、一人、ご丁寧にも挙げてくれたからである。あるパートさんは、「たいしたことでもないのに、面倒臭くてイヤになるわね」とぼやいていた。

 もらう側にしても、こう複雑な様相を呈してくるとホワイトデーのお返しが難しくなってくる。一人、一人にお返し出来ればいいのかもしれないが、情けないことに現在の僕の経済状態では難しい。昨年までは、いっぱい入っているクッキーなどを一つ買って‘みなさんでどうぞ’という形にしていたが、今年はそれでいいものかどうか…。個人的には義理チョコなど、迷惑なだけだし、止めてもらいたいのである。そもそも、バレンタインデーに‘義理チョコ’などというものを、送るのは日本だけではないだろうか?

 いつから、こんなことになったのかわからないが、日本のバレンタインデーは、本来のバレンタインデーの趣旨とは明らかに変って来てしまっている。やはり、バレンタインデーは恋人のものである。自分の愛する人に贈り物をすればいいのであって、義理チョコなど全く必要ない。というわけで、義理チョコ廃止を提唱したいと思います。(2015.2.18)




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