名古屋市のゴミ問題・ゴミ減量への取り組み
「大量生産・大量消費」は、日本の経済成長を支えてきたキーワードです。しかしその一方で、そこから排出される「廃棄物」は増加の一途をたどり、最終ゴミ処分場や焼却設備など、各自治体は大きな問題を抱えることとなりました。名古屋市でもゴミの処理量は増え続け、平成10年度には年間100万トンに迫り、埋立処分場として用いていた愛岐処分場が満杯に近づいていました。
そこで名古屋市は、かねてより次の候補地と考えていた藤前干潟に新たな埋立処分場を建設する計画を進めました。しかし、その藤前干潟が渡り鳥の重要な飛来地であったため埋め立て中止の声が強まり、結果、平成11年1月に藤前干潟の埋め立て計画を中止し、同年2月に「ゴミ非常事態宣言」を発しました。それを契機に、名古屋市は市民・事業者協働もとで、ゴミ減量に向けた取り組みを進めました。
まず、名古屋市は2年間でゴミを20%、20万トン削減しようという目標を立て、市役所の中に「ゴミ減量対策部(翌年4月に、ゴミ減量部)」という部門を設けました。主な取り組みは、「チャレンジ100」と銘打った1日のゴミ排出量を100g減らそうという市民向けキャンペーンや粗大ごみの有料化による発生抑制、また集団資源回収の促進やビン・缶の収集地域を全市への拡大、そして指定袋の導入などによるゴミの資源化の促進でした。
平成12年8月からは、「容器包装リサイクル法」に基づく容器・包装ゴミ(一般家庭ゴミの約60%を占める)の分別回収を強力に推進し、4ヵ月で家庭がら出るゴミをさらに25%も削減しました。
分別が適切ではないゴミ袋には警告シールを貼って回収しない一方、全市で2300回に及ぶ住民説明会を開催して、分別回収の徹底を図りました。その結果、名古屋市は「2年間でゴミを20万トン減らす」という目標を達成いたしました。次なる目標は、平成22年には、平成12年からさらにゴミを20%削減し、全体で62万トンとし、埋め立ては15万トンから2万トンへ激減させ、埋め立てゼロへの布石とするというものです。「ゴミ非常事態宣言」以降、ゴミ処理量は約40%減、埋立量は約80%減となり、名古屋に分別文化が根付いたと言われるようになりました。しかし、平成22年以降ゴミ処理量は横ばいの状況となり、さらなる取り組みの推進が必要となっています。