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≪オススメ度【4:良作】≫ 


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NDS 風来のシレン 砂漠の魔城 ポケモン 空の探検隊  
PS2 ドラゴンクエスト 8    
PS ヴァルキリープロファイル (ウィズ)ニューエイジオブ・・・ エリーのアトリエ
グランディア ドラゴンクエスト 4 マリーのアトリエ
ワイルドアームズ    
GBA テイルズオブファンタジア ファイナルファンタジー 1・2  
GBC ウィザードリィ ポケットモンスター 金  


不思議のダンジョン 風来のシレンDS2 砂漠の魔城 (NDS/セガ/2008年)
 ゲームボーイカラー用ソフトとして発売された作品のリメイク版です。
 1回の冒険が終了するごとにレベルが1に戻り、戦闘不能になれば所持していたアイテムがすべて失われるという、一般的なRPGとは大きく異なるシステムを持ったローグ系のRPGです。前作に登場していた人物が再登場するため、この作品で初めてシレンをプレイすると面食らう部分もあるのですが、特に問題にはなりません。

 私はクリアしただけで、その後の膨大な挑戦用マップはほとんどプレイしていないため、細かい部分は分からないことも多いのですが、基本システムが良く考えられており、また落ち着いたバランスになっているため、多くの人が楽しめるのではないかと思います。
 しかし基本的な要素の中にも気になることはあります。例えばパッケージにはダンジョンRPGと書かれているのですが、RPG “が” 好きという人向けではありません。高度なアクションが不要なためRPG感覚で操作できるとはいえ、構成や楽しさの性質が繰り返しプレイするタイプのアクションゲーム(スーパーマリオブラザーズなど)に近いため、そういったゲームに見られる攻略要素も好きな人でなければ、飽きるのが早いのではないかと思われます。
 もし本当にダンジョンRPGとして開発するのであれば、そしてより幅広いユーザーの支持を得たいのであれば、システムに存在する大きな矛盾を無くすことが不可欠であると思われます。

 ローグ系RPGの基本となるプレイスタイルは、「どこまでいけるか挑戦する」「引き際を見極める」の2つではないかと思っています。しかしこれは矛盾しやすい要素です。というのも「引き際を見極める」ことに成功した場合はそれに見合うだけのメリットが必要となりますが、それがこの作品のようなアイテムの引き継ぎという形で行われた場合、それが「どこまでいけるか挑戦する」場合のハンデとして機能してしまうからです。ハンデの度合によって難易度が大きく変化してしまうため、プレイごとの楽しさにばらつきが出てしまいますし、ハンデがあることを前提としたマップも当然のように存在するため、プレイヤーは楽しむためのプレイだけでなく、十分なハンデを得るためのプレイもしなければならなくなります。そんなプレイで十分な楽しさが得られるのかは疑問ですし、快適さやテンポの良さも損なわれます。

 私が思うには、ローグ系RPGの場合、継続して成長していくのは主人公(正確には装備)でなくてもいいような気がします。例えば持ち帰ったアイテムは町に投資され(没収され)、その種類と数に応じて町が発展し、援助物資(初期装備)が充実していくという方法だって考えられます。
 このようなシステムにした場合、装備品を延々と鍛えていくというやり込み要素は失われますし、鍛え上げた装備を持ち歩く際の緊張感も失われます。つまりこの作品の魅力が2つ失われてしまうということです。それでも多くの問題を生み出している安直で過剰なやり込み要素など、無い方が良いのではないかと思うのです。そして準備にかける時間を冒険に費やした方が、ずっと楽しいのではないかと思うのです。
 「常に1から、常に全力で、常に本番の冒険を。」これがローグ系RPGの基本であり理想ではないかと思います。

 この作品には「アイテム等の持ち込み禁止ダンジョン」が存在しますが、これはやり込み要素の問題に開発者が気付いていることの表れのように思えます。それなのにやり込み要素が存在するのは、プレイ時間を引き延ばそうとする大人の事情のように感じますが、それがRPGらしさをなくしてユーザー層を狭める原因となり、自分の首を絞めているようにも思えます。

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ポケモン不思議のダンジョン 空の探検隊 (NDS/任天堂/2009年)
 「ポケモン不思議のダンジョン 時の探検隊/闇の探検隊」の、マイナーチェンジ作品です。

 ポケットモンスターというゲームの魅力は様々ですが、その中の1つである「ポケモンという架空生物の魅力」に重点が置かれたような作品です。ポケモンを主人公とした探検隊という設定は素晴らしく、ポケモンの可愛さと健気さが良く描かれています。ゲーム性に関わる部分の出来はひどいものですが、バランスの悪さは容易に入手できる復活アイテムでごまかせるなど、比較的遊びやすい作品に仕上がっているため、十分に楽しめるのではないかと思います。もっともごまかしバランスであるため、ゲーム性に深みはないのですが。

 構成にも問題点が見られます。例えばシステムは、ポケモンと不思議のダンジョン(ローグ系RPG)を単純に足しただけとしか思えないほど雑な作りです。
 「レベルは常に1から」というシステムではないためダンジョン探検のテンポは良いものの、それは緊張感の無さからくるものであり、メリットではありません。なぜならテンポの良さに合わせてダンジョンの規模(階数)が大きめになっており、作業性が増しているからです。
 最大4匹パーティというシステムも、バランスの問題もあって仲間に足を引っ張られる場面が多いくらいです。
 そもそもこの作品において基本となる(最も押しやすいAボタンに割り振られている)「通常攻撃」を、滅多に使用しないシステムとバランスというのもおかしいです。
 さらにシナリオとシステムの相性が悪く、シナリオの都合で長期間にわたって重要なシステムが停止状態になります。これは「エンディングまでは一本道のストーリーを楽しみ、その後は自由なゲームを楽しむ」と割り切ることも可能ですが、最初から最後まですべてを楽しめるというのが理想であり普通でしょう。

 結局この作品は、なにも考えずに遊べば良作だと感じるが、深く楽しもうとすれば平凡にしか感じないという、「よくあるタイプの良作」であり、その点では本家のポケモンと同様であると言えます(初期のポケモンからは素晴らしい可能性を感じたが、GBA版から平凡なゲームへと劣化した)。
 しかしポケモン視点の物語には童話的な心地よさがあり、この部分に関しては本家のポケモンよりも大きな魅力を感じました。今は「ポケモン」という名前で売れている部分が大きいと思われるこの作品ですが、この世界観を生かせるシステムを開発できさえすれば、独自のファンを大勢獲得して、独立したシリーズとして大成できるかもしれません。

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ドラゴンクエスト8 空と海と大地と呪われし姫君 (PS2/スクウェア・エニックス/2004年)  
   RPGの基本は、その世界の住人となって生きる(冒険する)ことです。しかしほとんどの人気RPGは、それとは別の要素が楽しさの中心になっています。例えばファイナルファンタジーシリーズだと見た目やキャラクターの成長であり、ポケットモンスターシリーズだと収集や対戦というところです。
 しかしドラクエの楽しさは基本に忠実なものであり、それゆえ突出した部分が快適さ以外に見当たらないにも関わらず、多くの人に親しまれる作品になっています。
 一部の人に10の楽しさをもたらすのではなく、ほとんどの人に8の楽しさをもたらすRPG。それがドラクエの方向性ではないかと思います。

 しかし「ほとんどの人に8の楽しさを」という方向性であっても、9以上の楽しさを生み出せないわけではありません。特殊な要素が存在しない分だけRPGらしさ(冒険の楽しさ)を追求できるため、可能性としてはこちらが上ではないかと思います。現在でも高く評価されているドラクエ3〜5の楽しさは、この “可能性” が生み出したものであり、表面的な部分のアイデアよりも、完成度や構成の巧みさの方が重要であることを証明する、良い例ではないかと思います。

 「6」と「7」では明らかに狂っていたドラクエですが、この「8」ではかつてのドラクエらしさが復活しています。しかし楽しさはもう1つ。これはもちろん、構成そのものが十分ではないからです。

 例えばシナリオ。目的を持った状態から始まる上に物語が動き出すのが遅く、またしっくりこないセリフが目立つため、お使い的な印象を受ける場面が少なくありません。良くできているイベントもあるのですが、全体としては悪い意味でゲーム的に感じます。

 例えばゲーム世界。時間の流れや奇麗な画面など、素晴らしい部分はいくつもあります。しかし視点が見栄え重視になっているため3D酔いしやすいことや、回復やセーブを行う施設が入り口から離れていて手間がかかることなど、ちょっとした工夫の足りなさが楽しさを満喫できない原因になっています。

 例えば新しいシステム。ドラクエらしさを損ねていないうえ、さらなる楽しさを生み出す可能性を秘めています。しかしどれも作りこみが甘く、あったほうが良いと思えるだけの楽しさはありません。

 例えば従来通りのシステム。ドラクエのダメージ計算式は、HPが200を超えるような大きな数字になるとまともに機能しません。それでいてこの作品でも、クリアするころには300を軽く超えてしまい、単調なHPの削り合いと回復が繰り返されます。

 というわけでこの作品は、ドラクエらしい内容ではあるものの、「さすがはドラクエ!」とファンをうならせるほどではないように思います。今後の発展に期待できる部分がいくつもあったことには救われますが、偶然ではなく実力でそれを実現できるかというと、かなり厳しいように思えてならないのです。

 最後にもう1つ。この作品を例にすると分かりやすい、RPG全体の問題を書いておきます。
 ハードの性能が上がり、見た目のリアルなRPGが多くなっています。しかし見た目がリアルになればなるほど、非常識な事柄が目立つようになります。ドラクエで言えば、他人の持ち物を壊したり盗んだりすることや、機能性を無視した一部の防具などが良い例でしょう。開発者に発想力と常識の両方を要求する高性能のゲーム機は、これまでのRPGが欠陥だらけの娯楽であったことを、非常に分かりやすい形で教えてくれます。
 RPGは、プレイヤーが想像力を働かせることで最も楽しく遊べるゲームです。想像力を働かせるとアラしか見えなくなるようでは、RPGとして失格です。つまり開発者に、本当の実力が求められる時代になってきたといえるでしょう。開発者がそれを持っていれば、ほとんどのプレイヤーが楽しめるRPGを生み出せるはずです。でも足りなければ・・・同レベルで同方向のプレイヤーしか楽しめないでしょう。
 RPGファンの1人として、見た目だけでなく内容もリアルな、常識あるRPGを望みます。「ゲームと現実は別物です」がRPGの基本というのは、とても悲しいことですから。

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ヴァルキリープロファイル (PS/エニックス/1999年)
 ベストエンディング用のシナリオには圧倒的な迫力がありますが、発生条件が極悪な隠しイベント扱いになっています。そのため戦闘を楽しむ作品だと考えた方がいいと思います。

 これぞ斬新というべき内容で、特殊な要素ばかりで構成されているために取っ付きが悪いのですが、システムの構成が良くできており、また演出にも優れているため、コツをつかめれば多くの人が夢中になれる作品だと思います。しかし細部の作りが非常に雑なうえ、開発者の自己満足としか思えない部分が目立つため、ある程度の忍耐力と適応力が要求されます。しかしそれ以上に問題なのが、攻略情報が必須な部分があることでしょう。

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ウィザードリィ ニューエイジオブリルガミン (PS/ローカス/1999年)
 ウィザードリィシリーズの#4と#5に加えて、#4オリジナルの完全移植版がセットになっています。ただし#4の方はどちらも理不尽な作りで遊べた代物ではない(完全移植版はクリアしていない。どちらもオススメ度【1】)ので、このレビューは#5のみを対象にしています。

 ウィザードリィらしく非常に難しい作品です。しかもゲーム部分の難しさに加えて謎解きの難しさまで加わっては、ほとんどの人がついていけないでしょう。その代わり冒険することの楽しさは、同様のシステムを持つ#1〜#3,#5、外伝1〜4の中で最も優れていると思いますので、ウィズファンならば十分に楽しめると思います。
 ・・・攻略情報を頼りにすれば。

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エリーのアトリエ ザールブルグの錬金術士2 (PS/ガスト/1998年)
 このページで紹介している「マリーのアトリエ」の続編です。
 前作と比べると面倒な要素が追加されていますが、基本的にはイベントとデータ類が変わっただけと言っていい作品です。しかしゲームとして良くできているため、前作をやりこんだ人でも十分に楽しめると思います。

(バグ)
 公式サイトバグ情報ページをご覧下さい(左のリンクは行き先が異なります)。

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グランディア (PS/ゲームアーツ/1999年)
 セガサターン用ソフトとして発売された作品のリメイク版です。
 冒険に憧れたことがある人ならばきっと歓迎できる、魅力的な世界観を持った作品です。しかしストーリーそのものが傑出しているわけではなく、システム部分の出来も普通でしかないため、RPGに何を求めているかで評価が分かれるかと思います。

 戦闘システムで目指していることは面白いと思います。しかしバランス調整が甘いために単調になってしまい、無理なく遊べるのに充実感は乏しいという、もどかしいシステムになっています。そのためRPGに雰囲気を求めている人ならばともかく、ゲーム的な楽しさを求めている人には薦められない作品です。また移動中に画面を回転させなければならないことが多く、慣れるまでは非常に辛いです(酔います)。

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ドラゴンクエスト4 導かれし者たち (PS/エニックス/2001年)
 ファミコン用ソフトとして発売された作品のリメイク版です。
 ドラクエというと、誰もが楽しめる完成されたRPGというイメージがあると思いますが(偏見?)、実際には難しい部分や雑な部分が少なくありません。この作品はマシな方ですが、それでも戦闘結果を180度変えてしまうような魔法(注)があったり、極端に強いキャラクターがいたりと、他のRPGでよく見られるアラが見つかります。しかし分かりやすいストーリーとシステムや、快適なテンポと操作性などのおかげで、遊びやすいRPGとして安心してお薦めすることができます。
 ただしドラクエのリメイクによく見られる「簡単になった分だけゲーム的な楽しさが低下した」という作品ですので、ライトユーザー向けではあります。

 オリジナル版には無かった追加要素がありますが、いずれも良い出来だとは思えません。例えば移民の町は、“7” 同様にバランスが悪すぎます。

【注】パルプンテのことではなく、ルカニやスクルトのこと。

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マリーのアトリエ ザールブルグの錬金術士 (PS/ガスト/1997年)
 私がプレイしたのは、リメイク版である “マリーのアトリエ プラス” です。
 アイテム作成が中心で、冒険はその手段、戦闘は演出の1つという、一般的なRPGとは逆の構成を持った作品です。しかし錬金術士となって生活するという身近さ(?)が心地よく、また快適なテンポやノリのいい音楽などにより、充実した時間を過ごすことができます。
 特殊な作品でありながら、大きな欠点が少ないことも好印象です。

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ワイルドアームズ (PS/SCEI/1996)
 秀逸なストーリーと、専用アイテムを使った謎解きが魅力の作品です。またキャラクターの個性を生かせているなどシステムの枠組みも良くできており、ゲーム部分も十分に楽しめると思います。

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テイルズ オブ ファンタジア (GBA/ナムコ/2003年)
 スーパーファミコン用ソフトとして発売された作品のリメイク版です。

 どこを見ても面白さと問題点が入り混じっているという、評価に苦しむ作品です。
 安直な設定、安直なシステム、世界観にそぐわない言葉使いなど、素人的な部分が非常に目立ちます。
 しかしこれらの欠点は他の作品でもよく見られるもので、丁寧に作られている分だけ、むしろ良い出来ともいえます。
 結局この作品の最大の魅力は大衆性であり、出来そのものは平凡であるため、“没個性的な良作” という評価が相応しいのではないかと思います。

 あえて誉めるとすれば、アクションゲーム風のリアルタイム戦闘でしょうか。単調で面倒に感じることも多いのですが、うまく敵を倒せた時は気分爽快ですし、画面の小さい携帯機によく合っているとも思います。

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ファイナルファンタジー 1・2 アドバンス (GBA/スクウェア・エニックス/2004年)
  ファイナルファンタジーの1と2がセットになっています。
 リメイクの際に大きな変更が加えられており、どちらもオリジナル版とは違った印象を受けます。特に1はまったくの別物です。

 「1」のオススメ度【3】。

 古い作品のリメイク版ということもあり、物語にはほとんど魅力がありません。そのためゲーム性に期待することになりますが、システムの大幅な変更により、それすらも感じられなくなっています。

 オリジナル版(ファミコン版)はバランス的には酷いもので、全滅することも珍しくないほどでした。しかし「工夫次第ではなんとかなるのでは?」と思わせるシステムの特殊性ゆえに、「乗り越えたくなるハードルの高さ」という魅力があったことも確かです。実際には工夫してもどうにもならない内容ではありましたが、それならばなんとかできるようにするという方向性で開発するのが筋ではないかと思います。先ほど書いたとおり、ゲーム性に力を入れなければならない作品なのですから。
 しかし楽しさを捨て、全滅のしにくさだけを考えて開発したとしか思えない内容になっており、緊張感のかけらも無い作業的なゲームになっています。

 オリジナル版からの最大の変更点は魔法のシステムだと思いますが、もともとのシステム(注1)に問題があったわけではありません。問題があったのは、全ての魔法が最後まで役に立つように作らなければ意味がないシステムを採用しながら、極一部の魔法以外は役に立たないように作っていた開発者の方です。
 現在の開発者が、「自分たちに理解できないシステムならば、いっそのことやめてしまおう」、「一般的なシステムの方がライトユーザーは喜ぶ」などと考えたのかもしれませんが、ちょっと考えればゲーム性と快適さを両立させた、この作品にあったシステムにできたはずなのですから、正しい判断だったとは思えません。

 FFシリーズらしくゲーム部分以外は素晴らしく、携帯機とは思えないほど雰囲気の良い作品になっていますが、それだけです。作業が好きな人以外には勧められません。


 「2」のオススメ度【4】。

 PS版(オススメ度【3】のページ)とほぼ同じ内容ですが、アラの多かったセリフが大幅に変更され、また普通に遊べる成長バランスになっているなど、総合的に見ると明らかに良くなっています。しかしシステムをどれだけ理解しているかで難易度が劇的に変化するという、最大の問題点は改善されていません。

 以前の作品とは異なり、途中で挫折する人は少ないと思います。しかしそれは、ゲーム内容が改善されたからではありません。理由は次のようなことです。

 * 携帯用ソフトのため、いつでもセーブができるようになった。
  → セーブは中断するための機能であり、バランスの手抜きを可能にする機能ではない。

 * アイテムが使い放題になった。
  → ほとんど無限に回復できるのは、バランスが良くなったのではなく甘くなっただけ。
  → 必要なアイテムを探すのに時間がかかるなど、問題のほうが多い。

 * 成長が早くなった。
  → 以前の作品が遅すぎただけ。成長ペースのムラはかえって目立つようになった。

 FF2の特徴ともいえるパラメータごとに分けられた成長システムは、本来は自由に遊べるようにするためのものと思われます。言い換えれば、キャラクターの個性を表現することと、レベルや経験値を意識しなくてもよくすることを、同時に実現させるためのアイデアです。しかし成長に係る計算式が明らかにおかしいために(注2)、実際にはシステムを過剰に意識しなければなりません。クリアするだけなら気にしなくてもよいとはいえ、せっかくのアイデアを生かせているとはいえません。

 ここまでに書いたことをまとめるならば、簡単に修正できる部分だけが大雑把に修正されているということです。これは今までがおかしかったとも言えますし、今でもおかしいと言うこともできます。
 それでも物語とゲームが融合した “まともなRPG” であり、RPGに見せかけた “ミニゲーム付き物語” とは明らかに異なる作品です。システムの荒さに目をつぶれれば、充分に楽しめるのではないかと思います。

 それとクリア後にプレイできる外伝ですが、それ自体は面白いと思います。しかしシステムの欠陥(異常に強い魔法があるなど)をも積極的に利用しなければならないバランスになっているのは問題です。もっとも外伝専用の超強力アイテムの存在を考えると、開発者は欠陥だと思っていないようなのですが。このような「システムの問題点をついて遊ぶ」というのはFFシリーズらしいとも言えますが、そんなFFらしさなど無くしてほしいものです。

【注1:ファミコン版FF1の魔法システム】
 私が知る限りでは、コンピュータゲームでは旧FF1、FF3、ほとんどのウィザードリィシリーズで使用されているシステム。魔法が7〜8つのレベルに分けられており、MP(=魔法の使用回数)もレベルごとに分けられている。そして使用回数が「レベル1:3回」、「レベル2:2回」のキャラクターならば、レベル1に分類される魔法を合計3回、それに加えてレベル2に分類される魔法を合計2回使用することができる。つまり全ての魔法が最後まで役に立つならば、8レベルまでの魔法をすべて9回使えるキャラクターは、1回の冒険で最高72回も活躍することができる。
 というわけで、このようなシステムにするのであれば、「魔法レベル=魔法の強さ」ではなく、「魔法レベル=修得難度、または格」として考えなければならない。

【注2:FF2の成長に関する計算式】
 最もおかしいのは、「レベル7の敵1体+レベル6の敵2体」よりも「レベル7の敵1体」と戦うほうが成長しやすいこと。他には効率よく敵を倒すほど成長しにくいという問題もある。というか、すべて改善が必要な出来。


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ウィザードリィ (GBC/アスキー/2001年)
 世界初のコンピュータRPGの1つ(注)で、これはその何度目(十何度目?)かのリメイクという、大ロングセラー作品です。ただしこの作品は、マップなどが大きく変更されており、従来の作品(ウィズ1)よりもテンポよく遊べるようになっています。この変更は賛否両論でしょうが、より現代風になったという意味で、私はこの方が良いと思います。

 今遊んでも楽しめるだけの魅力を持った作品ですが、ウィザードリィ(ウィズ)を知らない人は、オススメ度【4】を鵜呑みにしてはいけません。というのもこのシリーズはいずれも非常に難しく、この作品もその例に漏れないからです。
 なにしろ油断すれば即死、運が良くなければ即死、不運があれば即全滅。しかも簡単には復活できないうえ、その死よりも怖い攻撃まであるため、普通のRPGと同じ感覚では遊べません(頻繁に自動セーブされるため、リセットすると直前の状態から再開できるのが救いだが、タイミングが遅れると最悪の事態になる)。しかも複雑な3Dマップです。夢中になれる作品でありながら、高すぎる難易度のために人を(というよりも遊び方を)選びます。
 ウィズに初めて “挑戦” する人は、挫折しても後悔しないように、なるべくお金をかけずにソフトを入手することをお薦めします。

 ウィズの難易度を下げることは困難です。なぜなら厳しさと偶然性が生み出す死と隣り合わせの緊張感(というよりも、死んでリセットすることと隣り合わせの緊張感?)や、死を避けるために工夫する楽しさが、ウィズの魅力の1つでもあるからです。しかしウィズの難しさには、理不尽さとバランスの悪さが大きく関係しているのも事実であり、プロならばぜひ、緊張感のみを残した遊びやすいウィズの実現に挑戦してほしいものです。決して不可能なことではないと思いますので。

【注:世界初のコンピュータRPG】
 もう1つはウルティマ。ちなみに世界初のRPGはダンジョンズ&ドラゴンズ(通称D&D。コンピュータは使わない。複数の人間が集まって遊び、1人がコンピュータ役を、他の人は1人がキャラクター1人を担当する)で、1974年発売。RPGは歴史の浅い娯楽であり、現在のコンピュータRPGのレベルが低いのには、こういった背景がある。もっとも一番の理由は、開発者の力量不足だろうが。
 ちなみにウィザードリィやウルティマが初というのは商業作品としては(?)であり、非商用ならばもう少し前からあったらしい(ごめん、この辺よく知らない)。


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ポケットモンスター 金 (GBC/任天堂/1999年)
 シナリオは背景でしかなく、やりこみ要素が中心という特殊なRPGですが、このシリーズが驚異的な大ヒットになったことも不思議ではないほど、細かい部分まで考えて作られています。

 最大の魅力はポケモンの存在感ですが、可愛らしいポケモンと旅ができるという魅力は、お気に入りのポケモンが実用的であって始めて意味を持ちます。そしてこのシリーズは、相性(属性)重視のバランスや隠しパラメータの存在などにより、弱めのポケモンでもゲーム内であれば活躍させることができます。そのため最後までお気に入りのポケモンと旅をすることができ、用意されたシナリオ以上に物語を楽しむことができます。
 しかしゲームとしての総合的な出来を考えると、オススメ度【4】止まり。よく「完成されたシステム」という評価を見ますが、もっと良くできる部分はいくつもあります。

 作品の出来は前作(赤、緑、青、ピカチュウ。著者プレイは青)よりも上ですが、内容に大きな違いはありません。そのため前作を普通のRPGとしてやりこんだ人には、暇つぶしにしかならないと思います。

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