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 一手間かけて、自分のガンプラを!

  プラモ制作の方法を公開。



「ここからは、それっぽい作業を一つずつ紹介しますー。」

「前項の説明は基本中の基本。

ここからは、モデラーとしての基本作業かな。基本というだけに、決して難しくない。
ぜひこの項目を修めて、更なる高みを目指して下さい。」

「それじゃ、いきますか。」




  【部品の接着→合わせ目を消す】


「多分、初心者の人が一番必要としてる技術じゃないかな?」

「最近のガンプラなんかだと必須作業ではないけど、古いロボット物なんかを作る時は、やはり必要な技術だな。
それに、プラモ工作の殆どの基本的技術が、この作業に含まれているから、憶えてて損はないぜ?」

「んじゃ、とっとと説明してよ。分かりやすくね?」

「そんじゃ、まず接着剤を用意しなくてはな…ここで使うのはプラモデル専用の接着剤プラモ売ってる売場や模型店で買ってこよう…それで知っておきたいのが、プラモ用接着剤の種類。
…専用接着剤…セメントと呼ばれる物は大別して2種類ある。通常のセメントと、『流し込み用』と呼ばれる物だ。」

「…セメント?」

「接着剤の事だよ。コンクリートを連想するかもしれないが、あれはモルタルという接着剤で砂利や砂を固めたもんだ。
…話を元に戻すと…初心者が買うのは、通常の接着剤を薦める。流し込み用はレベルが上がってからにした方がいい。」

「使い方が難しいってこと?」

「ん…使い方が少し違うんだ。初めての接着には、まず通常の専用接着剤を使いこなすのがいいだろうと思う。」
接着剤2種
「これはタミヤというメーカーから発売されてるプラモ専用セメント。白い蓋が通常の物、緑の蓋が流し込み用だ。」

「このメーカー以外にも接着剤が売ってるから、お店の人に『流し込みじゃない接着剤はどれですか?』って聞くか、写真と同じ形の白いフタの接着剤を買えばいいわね。」

「それじゃ、ここからは作業の流れに沿って説明していくぞ?
…接着剤のフタにくっついてるハケを使って接着剤を塗る。この時、部品の内側から外側に向かってペタペタと塗っていく。」
接着剤塗り一回目
「……何かシンナー臭い…」

「接着剤には有機溶剤が含まれてるから、換気には十分気を配ってほしい。小さい子供や家族のいる部屋では作業しない、窓を開けられる場所で作業する等々、作業環境にも気を使おう。それと火気厳禁!

他人に迷惑をかけないのは、趣味人の基本姿勢だからな。

 それと、接着剤のフタはこまめに閉める事。揮発するし、間違って倒すと大惨事だし、良い事ありませんからな。」

「雅晴みたいに作業する机を持ってない人が作業する所には、新聞紙とか敷いて養生しておいた方がいいかもね。」

「そしたら今度は、反対側の部品にも同じように接着剤を塗る。

「…?両方の部品に接着剤を塗る、ってこと?」

「そう。接着する両面に接着剤を塗る。慌てたり急ぐ必要はないぞ?それが終わったら…」

「ペタッと合わせる!」

「違う。もう一度最初に塗った部品に接着剤を塗るんだ。
 今度も内側から外側に向けてハケを動かすんだけど、今回は部品の角で接着剤をしごいて落として、接着面に接着剤を盛り上げる感じで塗る。」
接着剤二回目
「塗るときに接着剤が手に付かない様に気を付けてね…」

「そんで、これも反対側の部品にもくり返す…これで接着する両方の面に、2回塗った事になってるはずだ。」

「そうね。これでやっと…」

「待て待て、ここ30秒か60秒くらい待って馴染ませてから……はい、どうぞ。」

「ペタッと合わせるっ!」

「部品をギュッと押さえると、部品の合わせ目から接着剤で溶けたプラ素材がムニョッとはみ出してくる。これで成功。はみ出してくるのが“接着剤”じゃなくって、“接着剤で溶けたプラ素材”ってのが重要だ。下の写真で、雑に塗った為にはみだした接着剤と、接着剤がプラを溶かしてプラの色が付いた物との差を見てくれ。たっぷり塗って、慌てて合わせずに馴染ませる(プラを溶かす)事が大切なんだ。」
接着後溶解樹脂

このはみ出しは、後で合わせ目を消す為に必要なものだから、慌てて拭き取ったりしないでね♪」

はみ出しはそのまま乾燥させる。手を離すとはみ出しが消えてしまう時には、100円ショップで売ってる洗濯ばさみ型のクランプや目玉クリップを利用したり、輪ゴムで縛ったりとか…ともかく、はみ出しをはみ出したままで乾燥させる。しっかり圧着させよう。」

「どれくらい乾燥させればいいの?」

「基準としては一週間だけど、自分の経験から言うと、2日もあればいいんでないかな…とは言っても、長く乾燥させるに越した事はないよ。はみ出しを触ってみてフニャッとしてたら、もう1日待とう。爪を立てて確認してカチカチに固まっていればOKだ。」





「それで、数日乾燥させて完全にはみ出しが固まった部品が、これですね?」
乾燥した接着部品
「料理番組みたいだな。」

「これをどうすればいいの?」

このはみ出しを削ってしまえば、合わせ目は無くなっているという寸法だ。ここで使う道具はこれ。」

「これはアートナイフとかデザインナイフと呼ばれる、細かい作業に特化したカッターだ。
写真の物はOLFAのアートナイフ。」
アートナイフ

「それと、フィニッシングペーパー。紙ヤスリの一種で、通常の紙ヤスリより持ちがよく、目詰まりしにくく作ってある。
写真の物はタミヤでセット販売されているフィニッシングペーパーだ。」
タミヤ フィニッシングペーパー
「この道具って、これと同じ物を使わないとダメなの?」

「同じでなくったっていいよ。デザインナイフだって色々あるから好きな物を買えばいい。フィニッシングペーパーもDIYショップでも売ってるから、好きな番手を買えばいい。セット買いより安いぜ?」

「…ばんて?」

番手っていうのは、紙ヤスリの目の細かさを表す数字なんだ、ヤスリの裏面に書いてあるから、それを見ればそのヤスリの番手が分かるんだ。数字が大きくなれば、目は細かくなる。番手が小さい(荒い)物ほど削りやすいが、キズが目立つ。番手が大きい(細かい)物は、キズは小さいが、削る量は少なくなる。

 …下の写真の物だと、上が600番、下が800番だな。で、600番より800番の方が目が細かい、と言うことになる。
ペーパー裏面

合わせ目を消すくらいであれば、400〜800くらいが目安になると思う。改造したり、綺麗な全体塗装とかになると、もっと荒い番手ゃ細かい番手を使う様になるけど、そんなのは必要になってから揃えればいいのだ。」

「ふんふん?」

「そんじゃ手順の説明に入るぞ?…まずは、はみ出してる部分をナイフで大まかに削る。元の部品にキズつけたりしないように慎重に…全部切り取る必要はないし、自信が無ければやらなくてもいい。気楽にな。」
#400ペーパー掛け
「終わったら、次は適当な大きさに切ったペーパーでシャリシャリと撫でて、残ったはみ出し部分を削っていく。ここで使ってるのは400番。合わせ目を指で触ってみて、接着面の段差が感じられなくなったらOKだ。」
#400ペーパー掛け終了

「出っ張りがなくなったら、今度は600番でシャリシャリと撫でる。気分としては、400番のキズを消すつもりで…ここでも指で段差がない事、ツルツルとしている(400番のキズが消えている)事が確認できればいい。」
#600ペーパー掛け#600ペーパー終了

「…ちなみに、入り組んだり細かい場所は、ペーパーを折ったり丸めたり、細かく折ったベーパーをピンセットで持ったりして対応する。」
細かい場所のペーパー掛け

「次は800番。これも力は入れずに。これは仕上げだ。」
#800ペーパー掛け

「で、ここではこれで終了としておく。更に自分で納得が行くまで番手を上げてもいい。やり方は同じ。
番手を上げる時は、基本的に最大で2〜300番の範囲内で行う(1000番以上になったら500番や1000番飛ばしでもいい。)。理由はキズが消えにくいから。400番で処理後に、突然1000番なんかで磨くとキズが全然消えないので、あまり番手は飛ばさないのが結局早道になる。」
#800ペーパー終了
「んー…まぁ確かに見てるとそんなに難しい事はしてないわねぇ。案ずるより生むが安し、ってトコかしらね?」

作業のコツは、削りすぎない事。…例えば、合わせ目を消す事ばかり考えて、腕の丸い部品を削りすぎて平らにしてしまったり、逆に平らな部分を削りすぎて丸くしてしまったり、パーツのディテールを削って消してしまったり…合わせ目をこまめに触ったり見たりして状態を確認しつつ、削りが足りなければ足せばいい、くらいの気持ちで進めよう。削りすぎたら戻せないからな。」

「慣れてくれば、力の加減も分かってくるのね?」

「そうそう。慣れてくれば作業も早くなるし、自分なりの作業方法が出来上がってくる。ナイフの作業を、番手の荒いペーパーに置き換えてみたり、面倒に感じたら400番を使わずに600番から始めてみたり、プラモ用の棒ヤスリを使ってみたり…」

「雅晴はペーパーを使わなかったりするわよね?」

「適当にはみ出しを削ったら、ナイフの刃を立てて横に滑らせて均すんだ。これはカンナ掛けと言われる方法だな。上手くやればペーパー不要だ。俺はこの後に800で均すけどな。」
カンナ掛け
「基本と目的を押さえつつ、自分なりに色んな方法を試してみるって事かしらね?」

「例えば、さっき説明した折ったり丸めたりでは作業できない細かい場所や奥まった部分にペーパーを掛ける時は、割り箸などに両面テープでペーパーを張り付けて、自作のヤスリを作って使う方法もあるし、それ自体が商品として売っていたりするので、プラモ屋で見かけたら試してみてもいいかもな。
 同じ方法論で、細かくないけど平らな部分を楽に処理したい、なんて時はペーパーを平らで硬い物に巻き付けて使うと便利だ。使える道具も色々探してみるといい。本来、紙ヤスリ類はそうやって使う物なんだ。」

「この作業で、処理した部分と処理してない部分のツヤや質感が違うのが気になる人は、【全体のツヤを合わせる -表面の保護-】を試してみてくださいねー。」


  【ゲートの処理】

「ゲートって?」

「プラモの部品はランナーに繋がってる、ってのは最初に話したよな?
そのランナーと部品が繋がってる部分の事を“ゲート”と言うんだ。ここはニッパーで切り離す部分だから、ここもキズが出来る。これを消す作業を説明するさ。」

「なるほど…んで、どうすんの?」

「説明する!と偉そうに言ってはみたけど…実は接着する部分に接してる所に関しては、前記した合わせ目の処理の時に消えてしまうんだ。」

「そっか。接着剤の『ムニュ』で埋まっちゃって、それも削っちゃうもんね。」

「それでも全てのゲートは消えない事もある…接着しない部分にゲートがあったりするし、問題はこの部分の処理な。
……これは、超入門編で説明した部品の切り離し方を少しだけ変える必要があるんだ。…切り方は憶えてるか?」

「んっと…部品から少し離れた部分をパチッと切って…」

ニッパー切断

「そして、部品にニッパーの平らな部分を合わせてパチッと切る。」

ニッパーゲート切断

「その合わせて切る時に、ほんの少しだけゲートを残したまま切ってくれ。」
ゲートを残した状態

「そんじゃ、ランナーが部品に残ったままでいいの?」

「この少し残ったランナーを、さっきの接着のはみ出しと同じ方法で削っちまうんだ。」

「…何かめんどくさくない?いーじゃない、スパッと切っちゃえば。」

「その方法だと、ニッパーの切り口に細かいヒビが入る事で色が白くなる『白化』という現象が起きてしまうんだ。これは圧力をかけて変形(切断)させるとプラ素材の特性上、かなりの高確率で発生してしまう現象なんだな。それとゲートは部品の端にある事が多いんで、不用意にパチッとやると抉ってしまう事もあるんだな。」

「ふーん…塗装しない時は目立っちゃう所に出来たら困っちゃうわねぇ…」

「それを回避するのには、ギリギリで切るんじゃなくて、少しだけ残して、残りはヤスリで処理する、って訳さ。こういう処理の場合はプラモ用の棒ヤスリで荒削りしてからペーパーで整える…と、効率よく出来る。お財布と相談してみてくれ。勿論、買った棒ヤスリは合わせ目の処理や、後で説明するパーティングライン処理にも使えるぞ。」
ゲート処理後
「方法は接着面の処理と同じだから、難しくはないわね。」

「初心者情報でよくある『デザインナイフでゲート処理』ってのは、多分初めての人は白化させてしまったり、部品をエグってしまったり、他の工作より手を切る可能性も高いので、ここではあえて推奨しない。」


  【パーティングラインの処理】

「これは、メーカーでプラモが作られる時に出来た接着線…と思ってもらっていい。プラモには必ず出来てしまうものだな。」

「最近のプラモは、メーカーもこのラインが目立たなくなるように頑張ってるわね。実際目立たない事も多いし。」
パーティングライン処理前
「古いプラモだと、やはり目立つ部分にラインが入ってたりする事もある。この部品では中心部分にゲートとパーティングラインが通っている線が見えると思うんだけど…んで、この場合の処理方法なんだが。」

「……うん?」

「これもやっぱり、合わせ目処理と一緒で、カンナ掛けかペーパーで均してもらえばいい。」

「へぇ…合わせ目処理と同じでいいんだ。えらく簡単ね。」

「他に説明のしようがないですわい。反復になるんで、練習のつもりで取り組んで見て下さいな。」
パーティングライン処理後
「気になるようなパーティングラインが無かったら、この作業は飛ばして構わないですよ♪」


  【スミ入れをする】

「スミいれ?」

「ぶっちゃけて言えば、凹んでる所とか、段差を黒く塗ってメリハリをつけてやるんだな。方法は色々あるんだけど、今回は手軽至上主義に乗っ取って、これを使うぜ。」

スミ入れペン

「がんだむまーかーすみいれよう、ふでぺんたいぷ…ガンダムは道具までタイプ呼ばわりなのね。」

「細ペンタイプもあるから、好きな物を使えばいいよ。理屈が分かれば、使い方も分かるはずだ。」

「目的は同じだもんね。」

「まずはどうするかと言うと、こういった形の部品の凹部分とか、角の段差の付け根をなぞる────」
スミ入れ直後

「なんか、はみ出してるし…」

「で、間違ってはみだしたり、必要のない部分をティッシュや綿棒で拭き取って、あとは乾かすだけ。水性だから、丸一日くらいでいいんじゃないかな。」
スミ入れふき取り中

「細ペンタイプは、消しゴムでこすれば消せるそうよ。でも細ペンの場合は凹んでる所をゆっくりなぞっていけばそんなにはみ出す事もないわね。」

「はみ出した部分を拭いた所が完全に取れなかったりした場合も、消しゴムでこすってやればOKなり。」

「で、全体にスミ入れしたのがこれね?…白い部品の方が分かりやすかったんじゃ…?」

スミ入れ後

「この作業で注意しなきゃないのが、無塗装の部品にスミ入れする時に、合わせ目を消したりパーティングラインを消したり…ペーパーを使った部分にスミ入れすると、綺麗にふき取れない場合があるんだ。これはペーパーの細かい傷の中に塗料が染み込んでしまうために起こる現象なんで、最初からはみ出さない覚悟で細ペンを使うとか、はみ出した部分を1000番くらいのペーパーで塗料ごと削ってしまうのが楽だな。ガンダムマーカーには『消しペン』もあるので、それを使ってみてもいいだろう。」

「このスミ入れペンって、いろんな色があるから、色々試してみるのも面白いわね。」


  【全体のツヤを合わせる -表面の保護-

「んーと、んじゃまずは。缶スプレーを買って来よう。『トップコート』とか『スーパークリア』と呼ばれる透明塗料。これには水性とラッカー系の物があるけど、これはお好みで買っていいと思う。俺は、もっぱらラッカー系を使ってる。」
クリアスプレー
「そして、ラッカーと水性にはそれぞれツヤの出る『光沢(グロス)』と『ツヤ消し(フラット、マット)』、そしてこの中間の『半光沢(セミグロス)』の3種類があるのね。」

「ガンプラには一般的には半光沢が使われる事が多いかな。でも自分でテカテカのツヤツヤにしたい!って時は光沢を使えばいいし、自分の好きなツヤに仕上げればいいよ。」

「で、どうすればいいの?」

「まずは、部品を気分の乗りに合わせてバラバラにする。
…本来はバラに出来るパーツは全てバラすべきなんだけど、初めてだったら面倒だし時間もかかるから、初めてなら頭、胴体、手と足、くらいにバラしておく。見える部分にスプレーをかけられるくらいにバラす、と考えればいいよ。

 そんで、バラした部品に取っ手をつける。この取っ手は、スプレー後の部品に触らなくてもいいようにつけるんだ。
ガンプラだと、ランナーのが丁度ポリギャップに刺さる太さの場合が多いんで、ランナーの横枝を切って使うのもいい。」

「雅晴は100円ショップの竹串を使ってるわ。値段と長さが雅晴には丁度いいんだって。ここは好みの問題ね。」

「次は、取っ手の付いた部品を触らず乾かせる『部品立て』を準備する。これはMr.ネコの手とかペイントベースなど、取っ手と部品立てがセットになった商品もあるから、購入を考えてもいいだろう。

 自分はというと…100円ショップで竹串とクリップ、小さい密封容器と油粘土を買ってきて使ってる。人によっては発泡スチロールブロックに刺したり、段ボール製のネコ用爪研ぎや網目の小物入れを使ったりと方法は千差万別だ。
部品立て
 ともかく、塗料の乾いてない部品を倒さす触らず置いておける物であればいい。」

「で、スプレーするの?」

「まだまだ。…次は塗装する場所の確保だ。候補としては『換気、塗料が飛び散っても掃除可能な場所』。初心者なら塗装ブースも持ってないから、屋外で作業するのが望ましいかな。ベランダとかで行う場合は、新聞紙とかを敷いて、塗料が飛び散っても汚れないようにしておくこと。スプレーは思ったより飛び散るから丹念にね。」

「そうね。雅晴は塗装が終わってから鼻かむと、凄い色になってたりするもんねぇ…」

「…そうそう。屋外とはいえ、防毒マスクもあった方が安全なんだが…結構高価なんで最低でも間違って直接塗料を吸い込まないようなマスク、それと手にスプレーがかからないように手袋。それと…

  1.作業は湿度が低い日に行う。
      →湿度が高い時(ジメジメした日や雨の日など)は、スプレーの塗料が部品に吹き付けられるまでに、
        空気中の水分も塗料と同時に吹き付けてしまい、塗料乾燥時の気化熱で結露が発生する。
        そうすると、塗料が白く濁ってしまう症状が出る場合がある。
        【↑この症状を『塗料が“かぶる”(かぶった)』と言います。】

  2.風の影響を受けない場所を選ぶ。
      →狙った場所に吹けない。風に塗料が押し戻されて、溶剤と霧になった塗料を吸い込むハメに…
      →塗装後の部品にゴミがついて汚くなる。場合によっては部品立てごと倒されてパーツ全滅。
      →塗料の乾燥中に風に含まれている水分のせいで“かぶる”場合がある。


        ……とまぁ、こんな感じかな。

『換気』と『風の影響を受けない場所』ってのは矛盾するように思うかもしれないけど、要はスプレーから部品の間に風が吹いてなくて、吹き付けられなかった溶剤や塗料ミスト分が滞留せず速やかに流せる場所であればいい。

それと当然だが、有機溶剤を含むスプレーや塗料を扱う時は火気厳禁だ。
スプレーの場合は溶剤成分の他に可燃性ガスも吹き出す事になるから、更なる注意を怠ってはいかんぞよ。」

「で、準備が終わったら、スプレーの使用方法に沿ってプシューと吹いていくのね?」

「これは色んな所で色々言われてるけど、基本は缶の説明通りで問題はないよ。
気を付けるのは、吹く前に、しつこく振る事。俺は一つ部品に吹いて、次の部品に吹くまでの間もカラカラ振ってる。

それと、もう一つ重要な事は、『吹き出しと吹き終わりは部品に吹いてはダメ』って事。

           ┣━部品の大きさ━┫
       ├──スプレーの移動距離──┤
       ↑                  ↑
     吹きはじめ             吹き終わり

       ────動かす方向─────→


 …これは、スプレーの吹きはじめと吹き終わりには、細かい粒子になりきらない塗料がププッと出る事があるんだ。これが部品に付くと、仕上がりが汚くなる。それを避けるためなんだな。」

「なるほどねぇ…」

「手を動かすスピードは言葉で表すと“ボタン押→シュッ→ボタン離”って感じ…とは言っても、写真や言葉じゃ伝わらないだろうから、この動画を見てくれ。

      スプレー塗装の動画タミヤHPより)

基本的にはこんな感じになる。手のスピードと、最初と最後はプラモに向かって吹いてない事が分かると思う。初めてのクリアー吹きの時は、この動画より心持ち手のスピードを上げた方が吹きすぎる失敗は少ないだろう。
……で、実際の作業の話に戻るんだけど、まず一つ目の部品にシュッと吹いたら部品立てに立てて、また次の部品を手に取りシュッとやる。そしたらまた次の部品に…

「ちょ、ちょっと!動画と吹き方が違うんじゃないの?全面に吹いてないじゃない!」

「初心者で、かつクリアーならそれでいい。適正な吹きつけ量ならば、全部の部品に一吹きした頃には、最初の部品は生乾きになってるはずだ。
この状態で部品の角に塗料が溜まってたりする場合は、動かすスピードが遅いか、部品とスプレーの距離が近すぎるって事。上手く行ったら、最初に吹いた部品の吹き残している所にまたシュッ。また次の部品の吹いてない部分にシュッと…全面に吹き終わったら、そのまま乾かす。これで終わり。」

「部品との距離と動かすスピードに気を付けて、ローテーションで吹くのね?」

「慣れれば吹き終わりの部分で止めないでまたスタート地点に折り返したり、紹介した動画のように一回で全面に吹く事も出来るけど、それは慣れてからの話。それまでは一吹きしたら次、一吹きしたら次、とローテーションで吹いた方が失敗が少ないよ。
 クリアー吹きに関して言えば、厚吹きしてリカバリー不可能な失敗するくらいだったら、足りない部分に吹き足せる吹き残しの方がマシだと俺は思う。慣れてくれば、もう一回くらい吹いても大丈夫だな、と思えるようになる。後は経験だ。」

「足りなきゃ足せばいいんだもんね。お料理の味付けと同じかな?」

クリアー吹きの目的は部品表面の保護と、ツヤを揃えることだから、その目的が達成できれば、それでOKだよ。」




「…ま、工作の基本はこんなもんだな。」

「んー、なんかスプレーが難しそうよねぇ。」

「実はスプレーには色々口で説明出来ない部分ってのがあるんだなこれが…だけど、実際やってみるた後でこの文章をもう一回読んでもらうと『こういうことか』ってのは分かってもらえると思う。」

「最初に言ってた『まずは一個作ってみて』ってのは、そういう意味もあんのね。」

「俺みたいなオッサン世代はお金もなくて、高価なスプレーで泣きながら会得したけど、今なら100円ショップのスプレーを使って練習も出来る。色々試行錯誤するのも、プラモを作る楽しみに含まれてんだよ。」

「補助輪なしの自転車に乗る、みたいな?」

「そーそー。正直な話、プロレベルのモデラーでも失敗はするんだ。プロは、その失敗に対してのリカバリー術を山ほどの失敗の中から会得してる。数を作れば上手くなるって事は、失敗のパーセンテージを下げると同時に、失敗してもそれをカバーできる技術が身に付くって事なんだな。」

「失敗をカバー出来れば、失敗じゃなくなるもんね。」

「それが経験値ってもんだ。増えれば、レベルが上がるぜ?新しい技も憶える。」

「はは、リアルRPGね。」

「ここまで来れば、後は塗装だな。」

「それじゃあ、↓から更なる高みに進むのよーっ!」


 

 【1】初心者歓迎!ガンプラを作ろう!

  説明書が読めれば、誰でも作れます!

 

 【2】一手間かけて、自分のガンプラを!

  ちょっとしたコツで、更にカッコよく仕上げます。

 

 【3】色を塗って更に格好良く!

  スプレー塗装と筆塗りで見栄えよく仕上げます。

 

 【4】「完全体」に挑戦!

  合わせ目消しから全塗装まで試してみましょう!

 

 【5】おひねり「Q&A」

  【1】〜【4】までの中での問答集です。疑問に思ったらどうぞ。


 おまけ〜旧キットの制作〜

     ここまで出来れば、こんな事もできますよ?