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    色を塗って更に格好良く!

  プラモ制作の方法を公開。



「さて、ここでは塗装方法を勉強しましょう〜!」

「ここからはスプレー塗装とピンポイントの筆塗りを紹介するんだけど、スプレーに関しての基本は【ツヤを合わせる】で紹介した通り。

 今回は、スプレーを使用して一つの部品を塗り分けする時に必要な技術『マスキング』と、筆塗りの基本、使用する塗料の種類を覚えていって下さい。」

「塗装はプラモをグッと引き立てますよー!頑張って下さいね〜☆」




  【ワンポイントでスプレー塗装】

「さてっと、早速本題ね。スプレーの使い方に関しては、「ツヤを合わせる」を参照して下さいね☆」

「トップコートは全体塗装だからそのまま吹いたよな?単色で塗る場合は同じ方法でいいんだけど、今回は部分限定でスプレーを吹く場面を想定して、塗装部品に少しばかり仕掛けを施してやる。“マスキング”ってやつですな。」

「ますきんぐ……」

「まず必要なのがマスキングテープ。粘着力の低い紙テープみたいなものだ。プラモ屋、DIYセンターで売ってる。100円ショップでも売ってる…けど、100均は質が悪い事も多いから、最初はプラモ屋で買うのが間違いない。
 色んな太さの物があるが、これも必要に合わせて買う事になる。基本的には中くらいの太さの物があればいい。大は小を兼ねるし、後は利便性の問題だ。
マスキングテープ
 あ!それと、小さくてもいいからカッティングマットも一緒に買っておこう…前項の工作でも下に引くのにも使える。」

「机を傷だらけにするのはよくないからね。…それで、買ってきたら?」

「例えば、この部品の、上の段差部分だけを塗りたいとする。さすれば、ここ以外をマスキングするんだけど─」
この部品の上部分だけを塗ります。
「ふんふん?」

「だいたいマスキングが要求される部分って、こんな曲面や細かい部分である事も多い。

 基本的にはカッティングマットにテープを貼って、適度な大きさにテープを切って塗り分ける『フチ』に貼りつけていく。ここを読んでるってことは、ピンセットは持ってるはずだから、剥がしたり貼ったりはピンセットを使おう。
カットした鋭利な部分で塗り分け部分をマスキングする事は、テープの剥離も防ぐし、仕上がりもよりキレイになる。
マスキングテープのエッジ出し
マスキングテープの糊は強くないから、マットに貼ってもすぐ剥がせるし、部品にもちゃんとくっつくからだいじょぶ。
当たり前だけど、マットにはゴミはついてないか?切るカッターの刃は鋭利か?欠けたりしてないか確認してから作業してくれ。」

「貼ってから形に合わせて切ったらいいじゃない。一発で終わるし。」

「キスカット(部品を切らずにテープだけを切る)だな…細かく貼り重ねるより塗装のはみ出しの可能性は低くなるし、作業時間の短縮にもなるけど、部品に傷を付けたりキレイにカットできないと塗り分けがガタガタになる事もあるからなぁ…初心者には『奥の手』と思ってもらうとして…発動は各個人の判断にゆだねよう。
 貼ってアタリを付けて一旦剥がしてマットの上で切ってから再度貼る、ってのもいいかも。

 通常作戦で曲線をマスキングする時は、テープの適度な柔軟性を利用して引っ張り気味に曲線に馴染ませて貼ったりする。それにも限度はあるので無理して引っ張ったりせずに、一旦終わらせて新しいテープを重ねたりしよう。

…そんで、塗り分け部分に貼りつけが終わったら、それに重ねて塗らない部分をカバーしていく。
ここからは幅の広いテープをそのまま使ったり、場合によっては新聞のチラシを目止めとしてテープで貼ってもいい。
マスキングゾルという液体マスキング剤もあるから試してみてもいいだろう。」
マスキング終了
「塗り分ける部分はしっかり形を出して貼りつけて、後は塗料さえ入らない様にすればいいのね。」

「で、塗る前にもう一回、爪楊枝や綿棒でしっかり押して塗り分け際の部分や、テープを重ねて貼った部分の接着を確認する。で、取っ手を付ける。」

「そしたら、普通にスプレーすればいいの?」

「うい。塗りたい部分に色が乗れば終了。分厚く塗らないようにな。」

「なんで?しっかり塗らないとダメでしょ?」

「塗った所と塗らない所の段差が目立って汚く見えるからだよ。スマートに仕上げるには塗装もスマートにな。」

「ふんふん…で、塗り終わったらテープをはがす…」

「薄く吹いてあれば、すぐ剥がしていいよ。剥がす時、特にフチの部分はゆっくり優しくな。そして完全に乾かす。
完全に乾いてから剥がすと、塗り際の乾燥した塗料がテープに引っ張られてガタガタになるからな。」
塗装後マスキング外します。
「剥がしてみたらはみ出してた!…ってなったらどうすんの?」

「フチがはみ出したりしていたら、下地は塗ってないからカッターや2000番くらいのペーパーで削っちゃえばいい。スミ入れ出来る所なら、スミ入れしてしまえば目立たなくなるよ。」

「これで完了ね。ツヤを合わせれば完璧よね。」

「この場面で、初めての人の失敗のほとんどは『マスキングテープをちゃんと貼らないが為に、はみ出してしまう&テープの隙間から塗料が入り込む』のと、『スプレーを吹きすぎてしまってドロドロ』だと思う。

 まずは吹く前にしっかりテープが貼ってあるか確認するのと、まんべんなく薄く吹く事…これに尽きる。クリア吹きの時もお話したように、一回の吹きつけで終わる事はない。“足りなかったら足す”でいこう。

 …それともう一つ。当たり前で忘れやすい事なんだけど…スプレー作業中に色の濃さを気にしてると、スプレー缶の攪拌(カシャカシャと振る)や、距離を忘れてしまう事も初心者には多い。

結果を焦ると、ついスプレーを部品に近づけすぎてドロドロにしたり、部品に向かって直接ボタンを押してしまったり。今度はそちらを気にしすぎると、塗装のし忘れや、部品立てを倒したりしてしまう…」

「うんうん…あたしもハンバーグ作ってて、こねるのに必死になってると調味料入れるの忘れたり、ボヤッとしてると、お肉に手の熱が入っちゃったりすんのよねぇ…一つミスするとアワアワアワ〜、って。」

「トップコートを最初に薦めたのは、それも理由の一つなんだ。あれでスプレーに慣れてもらえば、塗装は色が見えるから簡単だ。プラモに塗料が『乗る感覚』を掴んでいれば、こちらで失敗する事は格段に減るぜ。」


  【ワンポイントで筆塗り塗装】

「まず最初に…。初めて筆で塗装する時は、ワンポイントの小さい部分にする事。例えば、広い部分を筆で塗ろう!とか思っちゃダメ。まず最初は目とか角だけとか…ともかく小さい部分に限定するのを強く薦める。」

「広い面には、筆で塗装は出来ないの?」

「出来る。出来るけど…初めての筆塗りでは、まず思った通りにはならない、と言い切ってしまおう。」

「え゛〜…」

「その最たる要因が『塗った塗料に筆跡が残る(筆ムラが出る)』って事なんだけど、こればかりは一発逆転のウラ技はないんで、塗り方に慣れてもらうしかない。真っ向勝負だ。

今回紹介する筆塗りなんだが、極力失敗し辛い小さい部分でトライするのがお利口だと思う。失敗したときのリカバリーも楽だし、まだ慣れてない時の塗装ミスは精神的なダメージが大きいからな…俺って優しいだろ?」

「自己申告は価値下げるわよ…でも、経験者は語る、な部分ね。…方法は教えられるけど、最後は個人の腕に頼る作業って事かぁ。」

「最近はガンダムマーカーも色々出てるから、それを利用する方が簡単だけど、好きな色を使えるメリットもあるし、どちらにせよ避けて通れない道だ。

 ここでは、それに伴って使用する塗料の種類の話もするぜ。塗装するモデラーとしての基本的な知識になるので、筆塗りを頻繁にしない人も、これを押さえておけば、いずれはエアブラシで…なんて時に役に立つぞ。」

「ここからは、説明がこのコーナー最長になりますんで、一息入れてから進んでね♪」

「そっか。じゃ、お言葉に甘えるとしようかのぅ……」

「いや、あんたに言ってんじゃないから。」




「まずは、プラモ塗装用の塗料の種類から説明するさー。」

 Mr.カラー C1 ホワイト (白) 光沢 ガイアカラー 001 ピュアホワイト 光沢
「まず、『ラッカー系塗料』と言われる塗料。写真のMr.COLORやガイアカラーが、この仲間だ。瓶のガンダムカラーは、この種類になる。
 濃度としてはトロリ、って感じ。乾燥後の塗膜が強く、この三種類の中では、最も乾燥が早い。

…けど、筆ムラは乾燥が早い塗料ほど顕著に現れるので、その点から言えば、この塗料は筆塗りには適さない。
通常、この塗料を筆塗りに使う場合は『リターダー』という添加剤を塗料に足して使う。

Mr.リターダーマイルド 40ml
 リターダーは塗料の乾燥を遅らせる効果がある。乾燥までの時間を長くして筆ムラを消えやすくする、って訳ですな。
添加量は筆塗りの場合は基本的に塗料の10%。単純にいっぱい入れれば乾燥はそれだけ遅くはなるけど、添加が多くなれば乾燥に何日も待たなくちゃならなくなる。何事も限度は大事だよな。」


 タミヤ・アクリルミニ X-17 ピンク プラモデル 水性カラー GSIクレオス H-1 ホワイト(白) 光沢 基本色
「お次は『アクリル系塗料』。写真のタミヤアクリルの他に水性ホビーカラーなんてのもある。最近は他にも海外製の物や国産で多種多様な物がある。濃度は物によって様々だが、ここでは比較的入手しやすい前述の2種を基準として説明する。濃度はトロサラな感じ。

 基本的にプラモ用アクリル系塗料は全て水性。道具洗浄が楽。…でも、乾燥固化の時間が長かったり、プラ素材に対しての定着性が他の塗料に比べると弱かったり…メーカーによって使い勝手がかなり変わるので、初心者には扱いが少し難しいかも…とは言っても、慣れの範囲内である事には変わりはない。」


 タミヤカラー エナメル X-2 ホワイト
「最後に『エナメル系塗料』。これはタミヤエナメル。ハンブロールという海外製品もある。トロトロな感じ。乾燥は種類中最も遅いが、塗料の延びは一番いい。

 延びがよく乾きが遅いこの塗料は、筆塗りに最も適しているとも言える。最初に筆塗りをする時は、この塗料を勧める。この理由は後述するぜ。」


「話が前後するけど、前項の【ツヤを合わせる】で、クリアースプレーにはラッカー系と水性の二種類ある、と説明したよな?…それは塗料属性の『ラッカー系塗料』と『アクリル系塗料』という事になる。

プラモ塗装に使う色スプレーも、この二種類がある、って事なんだな。

 それと同時に、グロス(光沢)、セミグロス(半光沢)、フラット(つや消し)という『ツヤ』に関しても別れている。必要な物を選んで揃えよう。
基本原色は各種のツヤが発売されてるけど、ミリタリー系の色にはグロスが最初から販売されてなかったり、買いに行ったときに目的のツヤがなかったり(←実はこのケースが結構多いのだ)するから、ツヤを揃えたい時は、塗装後にクリアー吹きをする事になる。」

「ふんふん…んで、筆塗りにはどれを使えばいいの?」

「塗料の種類のチョイスは状況によって変わってくるんで……まずは、下の表を見てくれ。」



下地\重ねる塗料 ラッカー系 アクリル系 エナメル系
無塗装
ラッカー系 ×
アクリル系 × ×
エナメル系 × × ×

…重ねて塗れる
×…重ねて塗れない



「左は塗装したい部品の下地、上は塗装したい塗料の種類だ。筆塗りの場合はこれに沿って塗料を決める。

 塗料紹介の時にエナメルを勧めたのは、塗料属性が筆塗りで失敗しにくい事と、どの下地にも重ねて塗れる事。後々モデラーとして成長した時にスミ入れにも使えるから慣れておいた方が得、という理由で推薦してみた。」

「ふむふむ…それで、この力関係…例えば『アクリル系の上にラッカー系はダメ』とかっていうのは、どうしてなの?」

「アクリル系の塗膜を、ラッカー溶剤が溶かしてしまうんだ。他の例も同様だよ。筆塗りに限らず塗装する時は、これを頭に入れておくのが必須な。」

「ん?…ちょっと待ってよ。

 この表の通りだったら、エナメル系とか塗装しちゃったら、クリアースプレーはラッカー系とアクリル系の2種類しかないから、クリアー吹きは出来ないじゃない?」

「お、めざといな…

 スプレーでクリアー吹きの場合は、筆みたいに下地を触る事無く、塗料だけをふんわり薄く置く事が出来るんで、下地の塗料を完全に乾燥させて、スプレー塗装の基本を守っていれば、ここで紹介している程度の部分塗装なら問題はないはずだ。」

「おっけー。分かった。んで、どうやって塗るの?」

「まずは必要な塗料と薄め液だな。塗料によって薄め液が違うからちゃんと確認して、その専用の薄め液を買う事。」

「え?アクリルは水性なんだから水でいいじゃない?」

「ここで紹介したアクリル系塗料の“水性”ってのは、“塗料乾燥前の道具洗浄のみ、水が使える”と覚えてくれ。有機溶剤である事に変わりはない。『水性ホビーカラー』なんて名前からして水性な塗料ですら、塗料専用の希釈溶剤が販売されているくらいだ。」

 水性カラーうすめ液(中)110ml


「なぁんだ。水オンリーじゃないのね。」

「そんで塗料と薄め液買ったついでに、塗料皿と筆も買おう。筆は細かい部分を塗るんだから、面相筆や小さい平筆でいいだろう。値段はピンキリだけど、通常は高い物程使い勝手が良いな。お得なセット物もある。ここは自分の財布と相談が必要だな。」

「塗料皿は?」

万年塗料皿
「これも塗料を売ってる所には大抵置いてある。『万年塗料皿』とか、クレオスの塗料皿とかがポピュラーかな?
自分は通常使うのは梅皿かな。陶器なんで適度に重さがあって、間違って引っかけてこぼす事も少ないし。」
梅皿豆(85mm径)

「それと、溶剤を直接手で触れるのはよろしくないので100円ショップ等で売ってるビニールやゴム製の使い捨て手袋、塗料を皿に移す時や撹拌する調色棒、薄め液を皿に移す為のポリ素材のスポイトとか用意しておくと便利だ。」

「ふんふん。んで、買ってきました、と。…次は?」

「ラッカー系は強烈な、アクリル系もシンナー臭がある。エナメル系は強い灯油臭がする。塗る時は換気の出来る場所で。基本的にスプレー使用時と大差ない場所がいいと思うが、塗料ミストが飛び散らないので、そっちはあまり気を使わなくてもいいな。

 スプレーの時も話したけど、出来れば防毒マスクもあった方がいいんだが…簡易マスクでは揮発溶剤を遮断できないので、より換気に気を配ろう。スプレーなら意図して顔を離す事も出来るけど、細かい作業の筆塗りは、無意識に部品(塗料)と顔が近づく事が多くなる。作業する手元には原液の溶剤や塗料もある。揮発した溶剤を近距離でダイレクトに吸い込む危険も多くなるからな。

…それと、くどいようだが、有機溶剤を使用する時は火気厳禁。これは絶対だ。

 塗装する作業場は新聞紙等を敷いて養生しておいた方が間違いが少ない。それと…使い古しのTシャツとか肌着、あるいは2度と使わないボロ布を一枚用意しとく。後はティッシュ(←毛羽立たないクッキングペーパーを推奨。)と綿棒だな。部品にはスプレー塗装と同じように取っ手をつけといた方がいいだろう。取っ手を付けたら乾かす場所も確保しておく。これで準備はOK。」

「けっこう準備とか心構えとかあんのね。…それで、いよいよ塗るの?」

「後の作業は、皿に塗料やリダーターを使う分だけ移して、適度に希釈して塗る、ってだけだ。学校の授業で絵を描く時にパレットに塗料を乗せて、水で薄めて塗るのと同じだ。
 瓶の塗料は、底に塗料分が沈殿してる事が多いので、フタを開けたら調色棒でかき混ぜてから皿に移す…くらいかな、気をつける事は。」

「……ここからどう塗ったらいいか?ってのが重要なんでしょー!サッパリと終わらせてどうすんのよ!」

「先に進む前に、もう一度確認しておく。」

「…ん?」

「よく筆塗りの説明で『下地が透けるくらい薄い塗料を直角に塗り重ねる』なんて話を見聞きした事があるかもしれないけど、あれは基本方法で間違いではないが、初めてで成功は難しいと思う。

だから、ここでは広い部分に対応する筆塗りの方法は無視して、最低限の基本を押さえつつ、極力簡単に小さい部分をピンポイントで塗装する手法を説明するぜ。気持ちを楽に実践に挑もう。」

「正攻法じゃないって事?誰もあんたにそんなの望んでないわよ。さっさと先に進んでちょうだい。」

「それでは…今回のお題はこちらです。」
ガンダム30th30th頭部
「HGお台場ガンダムの顔ね。小さすぎて逆に難しそう…」

「こんだけ小さけりゃ、初めてでも筆ムラを出す方がよっぽど難しい。初めての時は、この程度の大きさを基準にすると良いと思う。
 …まずはこの顔の塗り分けはこんな感じになる。ま、お馴染みのカラーリングだよな。」
30th箱絵
「下地の白はそのまま無塗装で進めようか…となった時に、目の周りをどういう順番で塗るかだが…どうする?」

「え?どうするって…鼻と目の下の赤塗って、目の周りの黒塗って、目をチョンチョンと…」

「こういう時は、彩度の高い色、薄い色から塗るんだ。まずは目の黄色と鼻の赤。ここで使うのはラッカー系。この程度ならリダーターは無理に使う必要はない。

 適量を撹拌棒の耳かき型の方で適量を皿に移して(皿に移す時に、自分で好きな色を混ぜてもいい)、まずは筆に漬けて余ったランナーなり皿に塗ってみよう。面相筆で目の黄色を塗るには、この濃度では少し濃い気がする、余計な部分まで色がつきそう…と思うかもしれない。

 そしたら溶剤をスポイトで一滴ポトリ。筆でクルクルと混ぜて、皿の縁でキュッとしごいて、改めて筆に含ませて再度しごいて試し塗りしてみよう。塗ってみてモッタリしてたり、塗りがかすれたりしてたら溶剤をもう一滴入れて繰り返し。
『あれ?透けてんなー』と思ったら塗料を足して様子を見て、濃かったらまたスポイトに戻る。

…これを繰り返すと(一滴でそうなる事もあるので注意!)、塗料が筆にモッタリ付いてないのに、抵抗なくスッと塗料がかすれず塗れる濃度になる。これで準備完了。
 
一旦筆をティッシュ等で拭いてから、書道の要領で塗料を含ませ穂先を整えて、目をペタっ。赤の部分も方法は同じ。

 ここの薄め具合レシピと、筆の感覚は覚えておくといいぞ。数をこなせば目分量でいける様になる。」
赤と黄色を塗りました
「偉そうに講釈たれてるくせに、ヘッタクソねぇ。はみ出してるじゃない。」

「赤を塗ったときに下のマスク側にはみ出した分は溶剤で拭き取るか、乾かしてから番手の細かいヤスリで削ぎ取る。デザインナイフで軽くかき取ってもいいな。凹部分には便利だぞ。
他の黒く塗る部分にはみ出した赤や目の黄色は無視していい。」
マスクにはみ出した塗料を取ります
「無視って…だいじょぶなの?」

「目とマスクの塗料が乾いてから黒い部分を塗る。この黒はエナメル系。
塗料は今までとは違って、必要分を皿に取ったら薄めずにそのまま使う。塗る部分が凹面なので難しいと感じるかもしれないが、なるべくはみ出さないように…でもはみ出しても気にしないで、塗るべき部分にしっかり塗る事を優先しよう。」
黒を塗ります
「矛盾してる気もするけど…気持ちの問題かしらね?」

「目や赤マスク部分はエナメルの溶剤では溶けないラッカー系で塗ってあるので、綿棒やコヨリにしたティッシュ等にエナメル溶剤を適宜染みこませて、はみ出した黒を丁寧に拭き取っていく。細かくて拭き取りにくい場合は、キレイな筆に溶剤を含ませて塗り落とす事も出来る。(塗料を塗る時と同じで溶剤を含ませすぎない様に注意!)乾かせば完成だ。
はみ出した黒を取ります
 黒い部分はアクリルでもいい。こちらも基本は希釈しなくても大丈夫だけど、そこは個人の感覚次第だな。」

「へえぇ…何とかなるもんねぇ…」

「…細かくて大変だけど、難易度は高くない。
塗った部品だけをズーッと見てると部品の大きさに慣れてきてショボく見えるかもしれないけど、組んでみると思ったより目立たないはずだ。

初めてだったら『おおーすげー!』ってなること請け合いだ。
完成です。
組み立てると思ったより目立たないのです



「…さてと、塗装が終わったら道具を片付けるとしようか。

 新しい塗料皿に、薄め液だけを入れる。それで筆を洗うんだ。色が出なくなるまで掃除する。
(この溶剤だけ入れた皿は、作業開始時から手元に準備しておいて一作業終わるごとに筆を洗うのが理想。でも換気には注意しよう。)

 塗料の入った皿は拭き取れるだけティッシュで拭き取って、固まった塗料を筆を洗った溶剤を移して再利用して拭き取る。足りなければ新規に入れて繰り返し。塗料や薄め液を吸い込んだティッシュや綿棒類は、屋外で溶剤分を揮発させてからゴミ箱へ。

揮発後も臭う時は、ビニール袋に入れて捨ててもいいな。

 筆はティッシュで拭くと紙の繊維がこびりつくから、粗拭きはティッシュでも仕上げ拭きは最初に用意していた布きれを使う。

この布きれは、こぼした塗料を拭いたり、ちょこっとシンナーに浸してティッシュで粗拭きした道具をキレイに拭くのに使ったり、塗り作業中に筆を拭いたり…使い終わったら、この布きれも使った道具と共に外で乾かそう。そのままにしておくとシンナー臭いし体にも悪い。何かの拍子に引火する可能性もある。

以降、この布きれは塗装の相棒だ。一回限りで捨てないで、使い倒して紙類の消費を抑えよう。

 アクリル系塗料の場合は、それこそ普通の絵の具みたいに水バケツをあらかじめ用意しておいて、全部放り込んで洗っていいぜ。固まってしまった場合は塗料皿の塗料はこすり落とせるならそれでいいが、ダメなら溶剤を使う。方法は同じだ。

揮発させて捨てる、とか面倒に思うかもしれないが、有機溶剤を下水に流して捨てるのは絶対ダメだぞ?」

「アクリル系は水を使えるけど、ラッカー系とエナメル系は溶剤必須なのね。これは換気に気をつけなきゃ…気持ち悪くなっちゃうわ。」

「集中してると気がつかなくて、ハッと気がついたらひどい頭痛が…なんてこともあるからなぁ…
それと、家族や近所に迷惑をかけない様にするのも大事

「思いやりの心もモデラーには大切よ♪」

 小さい子供がいる、室内でペットを飼っている所では塗装作業時もだが、塗料等の保管場所にも気をつけるべきだよな。これは工作作業時、工作道具保管も同じ事が言える。

…こういう趣味はなかなか理解されづらい事もあるし、気を使いすぎるくらいでいいのではないかな。」

「まとめてしまっておける道具入れや箱、場所があるといいわね。子供やペットの手に届かない場所で。」

「うむ。未来のようなお子ちゃまにイタズラされるとかなわんからな。」

「あんたみたいに頭の悪いペットにイタズラされても困るしね。」




「作業説明は以上。失敗する要素を極力排除して、筆塗りの超基本的部分はお伝えしたつもりであります。」

「筆塗りはスプレーより時間をかけてじっくり乾かして下さいね。クリアー吹きする時は、2.3日は置いておいた方がいいかもね。」

「おまけに、多少の筆ムラはフラットクリアーを吹く事で目立たなくなるぞ。

……と、これは補足だが、フラット(つや消し)塗装を施した後でスミ入れをした時に、はみ出したスミ入れ塗料をキレイに拭き取れない場合がある。」

「ん?あぁ…そんな感じの話、前にも聞いたわね。」

「理由や対処は前に話した通り…無理に覚える事でもないけど、詳しい理屈はこちらで説明するとしよう。」






「さぁて…ここまで来ると、今までとは全然違うプラモが作れるようになってるはずだよ。…疲れた。」

「ご苦労様。…ここまで読み進めてきた人は、モデラーとしての初心者は卒業ね。」

「今までの技術を修めて、やっと世間で言う所の『簡単フィニッシュ』が可能になるんだな。」

「言う程に簡単じゃないのねぇ。」

「誤解されやすい部分なんだが、雑誌の『簡単』ってのは『全塗装に比べたら簡単』って意味だから。
…逆に、これだけ出来れば全塗装も出来る、って事なんだぜ。」

「へぇ〜、それじゃ試してみるのもいいわね?」

「試すも何も、本当にこの手法で普通に出来るんだってば。」

「それじゃ、次のコーナーで実証してもらいましょーっ!」


 

 【1】初心者歓迎!ガンプラを作ろう!

  説明書が読めれば、誰でも作れます!

 

 【2】一手間かけて、自分のガンプラを!

  ちょっとしたコツで、更にカッコよく仕上げます。

 

 【3】色を塗って更に格好良く!

  スプレー塗装と筆塗りで見栄えよく仕上げます。

 

 【4】「完全体」に挑戦!

  合わせ目消しから全塗装まで試してみましょう!

 

 【5】おひねり「Q&A」

  【1】〜【4】までの中での問答集です。疑問に思ったらどうぞ。


 おまけ〜旧キットの制作〜

     ここまで出来れば、こんな事もできますよ?