『ヤスリ掛け、ペーパー掛けの方向は?どのくらいするの?』
「実際にもらった質問よ。ビシッと説明してね?」
「道具の使い方から説明すると、棒ヤスリは押すときに削れるから、引くときは部品に押し付ける必要はない。逆に押し付ける事で、ヤスリを痛めてしまう事もあるから気を付けなされ。
同じ棒ヤスリでも、ダイヤモンドヤスリと呼ばれる種類は押しても引いても大丈夫だ。紙ヤスリ、ペーパーの類も方向に決まりはないので、やりやすい様に使って問題はないぞ。
力の入れ具合で削る量が変わるのは、どのヤスリでも同じだけど、不必要に力を入れてもヤスリをダメにしたり部品を削りすぎたりペーパーの持ちを悪くしたりするだけなんで、『初恋の女性の肩を抱き寄せる』くらいの力でいいぞ。多少強引に、でも優しく、だ。」
「…それじゃ女の人には何て説明すんのよ?」
「爪ヤスリで爪を削るくらいの力でいいんだぜ。」
「最初からそう言えばいいでしょ……それで、実際合わせ目を消したりする時に、どの程度ヤスリをかければいいか?って部分なんだけど…」
「ハッキリ言って決まり事は無いんで、自分で納得いけばいいんだ。 …普通に考えれば、段差やキズを均したいときは段差やキズに直角にヤスリをかけるし、仕上げで均したい時は、更に力を抜いて車のワックスがけの如く円を描くようにペーパーを動かしたりする。難しく考える事はないだろ。
初心者がよく勘違いしてるのは、ゲート処理や合わせ目のはみ出しを削るのと、表面処理をゴッチャにしてる所だな。前者は削る、後者は均す…道具が同じなので勘違いも仕方ないんだけど、この作業は別物なんだ、って心構えで作業すると、自然に答えは出てくる筈だ。
本編で言えば、最初の400番が削り、後は均しと思ってくれ。逆に言えば600番の時点で接着の出っ張りが消えてない時は、まだ削りが足りないって事だ。」
「不要部分を削って、その後を均す…」
「均しは削りではないんだから、部品の形は変えない気持ちで。そうすれば自然に力も抜けると思う。」
「足りなかったら、足せばいい…かな?」
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