マッケンジーの山 シルエット・ラブ・ストリーム (ハーレクイン)高木晶子訳・MIRAブックスあり
   ストーリー
ワイオミング州の小さな町ルース。
南部から新しく赴任してきた教師のメアリーと、自分の牧場を持ち、馬の
調教訓練の仕事をしているウルフ・マッケンジーが主人公です。

物語はウルフの16歳の息子、ジョーが成績優秀にもかかわらず学校に
出てこないのを心配したメアリーが、大雪の中“マッケンジーの山”を
訪ねるところから始まります。

雪の中で立ち往生していたメアリーを助け、内心は渋々ながらもウルフが
世話をするのが二人の出会い。
でも、この「世話」には思いがけなく甘いオマケがついておりまして(笑)。

インディアンの混血であり、レイプ犯としての誤認逮捕で刑務所に
入れられた過去を持つウルフ。
ウルフへの町の人たちの偏見に毒されることなく、彼自身を理解して
惹かれていくメアリーですが、ウルフの方はなかなかそう一直線には
いかないようです。

折しもレイプ事件が発生して、再びウルフに町の人たちの疑惑の目が
そそがれる中、メアリーにも危機が迫ります。 

さて、この事件の結末はどうなるのか?

「熱い闇」という作品でヒーローとして活躍する、ジョー・マッケンジーの
少年時代のエピソードも楽しめる作品です。

   みどころ&感想
リンダ・ハワードの大人気シリーズ「マッケンジー家」の始まりの物語ですが、
最初に読んだとき、これほどヒロインに魅力のある作品は初めてだと
思いました。
普通はもっとヒーローに惹きつけられるはずなんですけど、これに限っては
私の中でウルフは二の次(笑)。

序盤は正直言って経験豊富なヒーローと、平凡でうぶなハイミス 
(と、本人が言うのですけど、29歳はまだまだストライクゾーンだよね☆)の
ヒロインかぁ・・という感じで始まるのですけど、ストーリーが進むにつれて
メアリーに対する見る目が変わりますね。

住民たちの偏見ゆえに、優秀な生徒であるジョーの可能性が
見過ごされようとしている。そう思った時、メアリーの教師としての使命感が
燃え上がります。

ジョーに学業に戻ることを決意させる鮮やかなお手並みや、
教育委員会での見事な説得など、メアリーのプロ意識と誠実な姿勢には、
何度、胸の熱くなる思いをしたことか♪
これほどの女性に出会ったら、ウルフでなくともホレますよ真面目な話。

一見、華奢で繊細なメアリーですが自分の信念と愛情を貫き通す姿には、
ウルフをはじめ頑強な男たちもタジタジってところでしょうか。
 
のちにファンの間で「最強の母」と敬意を込めて呼ばれるようになる(笑)
メアリーと、「ウルフ父ちゃん」の呼び名がこれまたピッタリの
ウルフ・マッケンジーの物語は、最初から最後まで純粋に、
120%楽しめるロマンスでございます(^^)

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リンダ・ハワード作品ピックアップ&あくまで私的な感想   Page 3

  天使のせせらぎ ヴィレッジブックス (ソニーマガジン)林啓恵訳
   ストーリー
時代は19世紀。舞台はアメリカのコロラド。
まだコロラド「州」には、なっていない頃の田舎町、プロスパーに
10年ぶりに帰ってきた男、ルーカス・コクランが今回のヒーロー。

ヒロインとなるディー・スワンは、両親亡き後一人で谷に住み、農作業や
家畜の世話、そのほか生活のすべてを切り盛りしている、当時としては
目を見張るほど自立的な女性です。

プロスパーの繁栄の礎を築いたコクラン家最後のひとりとして、
政治的な野心もあるルーカスが、この一風変わった魅力を持つディーと、
彼女が住むエンジェル・クリークの両方に興味を抱くことから始まる物語。

きびしい自然を相手に家畜や牧場を守り、懸命に生き抜こうとする
人々の様子が、この時代ならではの雰囲気を感じさせる作品です。

   みどころ&感想
この物語にはディー以外に、生涯のパートナーを得る登場人物がいます。
それは、裕福な銀行家の娘として育ったオリビア。

優雅で控えめで、おだやかなお嬢さまであるオリビアと、自立心が強く
率直な物言いをするディーは実は親友同士。
対照的な二人が、周囲から見ると意外な相手を選び、それぞれの
誠実さと決断力で、恋を実らせていく過程が見所ではないでしょうか。

私は正直言って、ルーカスよりも、オリビアの恋人の方がヒーローに
ふさわしいような気がしましたね〜。
だって、ルーカスはリンダのヒーローの中でも1,2を争う石頭(笑)。
それゆえに、ヒーローがあれほどの教育的指導を受けるストーリー展開は
ある意味、貴重かもしれません。

それから、ストーリー展開の重要なカギとなる酒場の女、ティリーの
男前〜な行動も、ぜひ楽しんで頂きたいと思います。

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  Mr.パーフェクト 二見ミステリコレクション (二見書房)加藤洋子訳
   ストーリー
今回は現代のアメリカ、デトロイトが舞台です。 
ジェインはコンピュータ会社の給与会計課に勤める30才。
2週間前に念願の家を購入して引っ越したばかりですが、お隣さんは夜中に
ドアや車の音をたてる不機嫌そうな警察官だし、母親から預かっている
猫はまったく言うことをきかないしで、少々うんざり。

そんなある日、仲良しの同僚女性3人と立ち寄った会社帰りのバーで、
ジェイン達は気晴らし半分、冗談半分に一枚のリストを作ります。
それが 「完璧な男性」 つまり 「Mr.パーフェクト」 の条件というわけ。

その場で終わるおふざけだったはずが、リストが外部に漏れたことから
マスコミに追い回される4人。 そのうち仲間の1人、マーシが自宅で殺され、
事態はどんどん深刻な方向へ・・。

ジェインと隣人である警官サムが結ばれるラブロマンスに、
殺人事件の謎解きをからめたサスペンス色の強い作品です。

   みどころ&感想
この作品の特徴をひとつあげるとすれば、
なんと言っても、ヒロインの空前絶後の口の悪さではないでしょうか。

翻訳者さん泣かせの、英語独特のスラングで悪口雑言を言い放っては、
自主的に25セントの罰金を払うジェインの几帳面さが妙に可笑しい☆
でも、めっぽう口は悪いけれど弱い者に優しくて仲間を愛し、気持ちが
まっすぐなジェインの魅力はサムでなくとも、うなずけるところかも。

前半はサムとジェインの舌戦が楽しいラブストーリー。
殺人犯の手がどんどん忍び寄ってくる後半は、犯人に関する謎解きへの
興味で読者を飽きさせない展開になっていると思います。

この作品に関しても、
くれぐれも良い子は結末から読まないようにして下さいね〜♪

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  ダンカンの花嫁 シルエット・ラブ・ストリーム (ハーレクイン)平江まゆみ訳・MIRAブックスあり
   ストーリー
100年続くダンカン家の牧場があるモンタナ。
34歳になるリース・ダンカンは7年前の離婚であらかたの財産を失い
今はたった一人で苦しい牧場経営をしています。

対するマデリンはNYに住む、スタイリッシュなキャリアウーマン。
兄のロバートが経営する会社で仕事をしてはいるものの、なんとなく
心の満たされない毎日を送っていました。

このまったく境遇の違う2人を結びつけたのは、忙しいリースが
時間節約のために出した 「花嫁募集」 の新聞広告。
前の結婚に懲りているリースは、心を移さずにすむような便宜的な妻と
子供の母になってくれる女性を望んでいたのですが、あまりにも美しく
魅惑的なマデリンの登場に、衝撃と同時に強い警戒感を抱いてしまいます。

終始まっすぐに愛を捧げるヒロインと、愛に迷いっぱなしヒーロー(笑)の、
結婚から始まる成長の物語です。

   みどころ&感想
この作品で個人的に最も印象的だったのは
初めて刊行された時 (98年5月) の表紙絵でした。

ダンガリーシャツを着て牧場の草地に座るブロンドの女性を、
後ろから抱き寄せる白シャツ+ジーンズ姿の男性・・という図なのですが、
この男性の顔が映画俳優のハリソン・フォード氏そっくり☆
こういうのって読者の先入観になっちゃいそうですが、作者の意図が
多少なりとも反映されてるのでしょうか。

リースは190センチ近い大柄な体格と、意志の強そうな厳しい顔。
「仕草のひとつひとつに男くさいセックスアピールが」 あるらしいのですけど
どうもいざという時になると、このハリソン・フォード氏の顔がちらついて(笑)
困っちゃいました。
せっかくのリンダ本なんだし、やっぱり自由に自分なりの想像を
広げる方が読みやすいような気がします。

そのぶん、マデリンは魅力的な女性像が想像しやすくて良かったなあ。

牧場の仕事に前向きな関心を持ち、持ち前の行動力や忍耐力で
立派にパートナーとしての役目を果たしていくマデリンの姿は、
単なるラブロマンスという枠を越えた、大きな見どころではないでしょうか。
それにしても、牧場経営と生活を支える家事って大変なんですね〜。

もしもアメリカの牧場主に見初められて結婚することになったら、
その時はきっと、この本が参考になると思われます(笑)。

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