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こちらはリンダ・ハワード「マッケンジーの山」ネタバレOKのページです。



「マッケンジーの山」がシルエット・ラブストリームの一冊として刊行されたのは、
98年4月20日ですが、私がこの本を手に入れたのは5月のなかば、出張先の
岡山で立ち寄った小さな書店だったと思います。


片隅に置かれていたハーレクイン本の中、ふと目についた一冊の本の表紙には、
ピンク色のノースリーブセーターを着て座っている、ふわりとしたブラウンの
セミロングヘアの女性。 そのそばにかしずくように座り、彼女の手を握る
黒髪の男性のイラストが描かれていました。


目を伏せた女性の顔をうっとりと見つめながら、彼女の言葉に耳を
傾けているような男性の雰囲気が気に入って、「リンダ・ハワード」は
初めて読む作家だけど、ま、いっかという気持ちで買ったことを覚えています。


思えばこれが、めくるめくリンダワールドへの危険な一歩だったのですね(笑)
今回再販されたMIRAブックスでは、このイラストが使われていないのが、
ホントに残念☆



「マッケンジーの山」は私にとって、ヒロインの魅力にハマッた一番の作品です。
しかし正直言ってこのメアリー、序盤のやぼったさも随一(笑)ですよ。


堅実でつましい叔母から育てられた彼女は、化粧もしないし服装も流行遅れで、
自分でも自らのことを「平凡なハイミスの女教師」と呼ぶほど。
しかし、外見は平凡でも中身は非凡なメアリー。
ジョーの一件で、私もすっかりやられましたね〜。


メアリーから 「空軍士官学校に入る気はないのかと聞いているのよ」 と
言われたときの、ジョーの反応や、あらゆる偏見に惑わされずに教え子の
未来を守ろうとするメアリーの闘志には、何度読み返しても涙が出てしまいます。



ストーリーの前半は、メアリーの強さにウルフ親子がちょっと押されていますが、
後半は事件の被害者になったメアリーを守ろうとする、ウルフの大活躍が
ワクワクするところではないでしょうか。
ウルフが泣く子も黙る特殊部隊にいたことを知って保安官のクレーが
驚くシーンや、戦士の本能を全開にして犯人を追跡する場面など、
ようやくヒーローらしくなったよ、がんばれウルフ(笑)って感じでした。



で、ラブシーンに関してなのですが、
正直言って、最初のキスは数に入れない方が良いと思うな。あれは一種の
アクシデントみたいなもので、ん〜学園ものにたとえるなら・・・


朝、学校に遅刻しそうになってトーストくわえて走っていたら、転校生と廊下の
角でぶつかっちゃった主人公の女の子。
「倒れ込んだときに間近で見たアイツの目が綺麗で、ちょっとドキッとしたんだけど、
この変な気持ち、これは・・・恋?(爆)」   って感じでしょうか☆



二人がホントに互いを理解し恋していくのは、教育委員会の集まりがあったあと、
メアリーがウルフのつらい過去の話を聞いた晩。


それまでのウルフにとって、肉体的な欲求不満がメアリーの肌を求める理由の
大半になっていたけれど、このシーンからは精神的な欲求に変わっていきます。
なので、メアリーの真の美しさが描写されるのもこの場面から。


金色に近いほど淡い茶色の髪と、スレートブルーの瞳、バラの花びらを
思わせる透明な肌のメアリーに、後光が差す天使を連想したウルフが
「胸をつかれるような感じにとらわれて」いくという心情は、そこのところを
うまく表現しているなあと思います。




そして二人の最初のラブシーンで印象的なのは、
叩きつけるような雨と空気を震わせる雷の描写。
夜明け間近の薄暗い部屋の中、脈動する生命力と発散する熱気が、
セクシーというより、もっとせっぱ詰まった雰囲気を感じさせて圧倒されるわ〜。



ただ、こういう激しさと同時に、繊細な愛情の表現が描かれているのが
リンダのうまいところ。
たとえば物語の後半、ウルフが自分のたくましい褐色の手で、メアリーの
身体を優しく撫でて、そのデリケートに白い肌をいつくしむことが
よくあったという描写がありますね。


揺れるランプの明かりに浮かび上がる、なめらかな陰影。
ウルフが日に焼けた自分の手と、赤ん坊のようにきめが細かく透明な肌の
対比を、感嘆と賞賛を抱きながら飽きずに眺める様子が目に浮かぶよう。


ベッドシーンそのものではなく、ゆったりとした甘い余韻とウルフの愛情や
憧れが感じられる、短いけれど大好きな場面です。





そんなこんなで迎えたハッピーエンドの告白&プロポーズだけど、どんなに
ウルフが頑張っても、最後までメアリーの方が一枚上手というところが
ちょっと楽しかったりして♪



このシリーズをお読みになった読者の皆様も、たぶん納得ではないでしょうか。
マッケンジー家の息子たちが皆、揃いもそろって
ヒロインにぞっこんメロメロ&男性ホルモン暴走状態なのは、
この遺伝子のせいなのね〜(笑)








さて次回のピックアップは今度こそ、前回の予告通り
「天使のせせらぎ」 をご紹介させていただきます。


このヒロインも、メアリーとは別な意味で強い女性ですし、ヒーローとの
バトルには痛快で、胸のすくような場面もありますよ〜♪








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