公正証書遺言を作成するにあたってのポイント
 

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1.公正証書遺言による方式を選択する場合のメリット・デメリット

[メリット]


(1)公証人が関与するため、方式や内容が不適法であるとして、遺言が無効になる心配がありません。
痴呆などで遺言能力が問題になる方も、後で争いが起きないよう、場合によっては、医師の立会いを求めたりしています。

(2)公証人が遺言書の原本を保管するため、紛失や隠匿、偽造、変造の心配がありません。

[デメリット]

(1)作成のための手続きが煩雑であり、自筆証書遺言に比べ、費用がかかります。

(2)少なくとも公証人および証人には、遺言書の内容が知られてしまいます。


 
このような特徴から、、高齢入院中で遺言者の遺言能力が相続時に相続人間で争いとなる可能性や、遺言の内容をめぐって相続人間で争いとなるおそれがある場合には、自筆証書遺言よりも、公正証書遺言の方が向いていると考えられます。


(ご参考)
 公正証書遺言により指定された遺言執行者が、銀行に被相続人の預金の払い戻しを請求したところ、相続人全員の同意書を提出しなければ応じられないとして払い戻しを拒否したことが債務不履行になるとする判決が出ました(平成13年6月20日さいたま地方裁判所熊谷支部)。

 遺言により、預金などの特定財産を誰々に相続させる(遺贈する)ということが記載されていても、これを面白くないと思う相続人がいる場合、なかなか協力してもらえず、手続きが進まないことがありました。しかし、この判例によって、少なくとも、公正証書遺言で遺言執行者を指定していた場合には、相続人の同意書なしで払い戻しに応じてもらえる流れになるでしょうから、この点でも、自筆証書遺言よりも公正証書遺言がお勧めです。





2.公正証書遺言のつくり方

(1)証人2人以上の立会いが必要です。


(2)遺言者が遺言の趣旨を公証人に直接口述します(法律では、口授(くじゅ)と言います)。

(3)公証人が遺言者の口述を筆記し、これを遺言者と証人に読み聞かせます。

(4)遺言者と証人が筆記の正確なことを確認した後、各自がこれに署名押印します。 
但し、遺言者が署名できない場合は、公証人がその事由を附して署名に代えることができます。

(5)公証人が、その証書が適式な手続きに従って作成したものであることを付記し、これに署名捺印します





3.実際の作成の流れ

(1)公証人に公正証書遺言作成を依頼します。

(2)公証人と遺言財産や希望する遺言内容についての打ち合わせをして、遺言案を作成します。

(3)遺言者が証人とともに公証役場を訪れて、改めて遺言案の内容を公証人に口述し、公証人が証書を作成します。

 なお、遺言者が健康上の理由などにより、公証役場まで行けない場合には、公証人が自宅や病院まで出張してくれるサービスもあります。
 
気になる費用ですが、公証人の報酬は規定されていて、遺産の額によって変わってきます。詳しくは、インターネットの検索で、「公証人 費用」と入力していだければ、紹介しているものがでてきます。



  
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