SDRによる電波観測

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従来、流星電波観測を始める場合は、HRO専用の受信機または多用途に使える汎用無線受信機のどちらかを選択していました。最近では、パソコンに受信機の大部分の機能を負わせたソフトウェアラジオ(SDR;Software Defined Radio)が容易に入手できるようになり、汎用無線受信機と同等な機能が容易に実現できるようになったので、以下にSDRの選定情報から電波観測の立ち上げまでを説明をします。
なお、VORによる観測方法については、機材の調達からソフトのインスートルでアンテナの手配から立上までを解説をしているので、そちらも参考としてください。また、5,000円程度(除くパソコン)で観測システムが実現できる方法については、格安システムによる電波観測で紹介します。

1.SDRの選定

SDRは何十種類も実在していますが、実際に電波観測で使用している機種を主体に紹介をします。

(1) RTL-SDR
RTL-SDRは、最も普及しているSDRの一つです。その人気の理由は非常に低価格だからでしょう。RTL-SDRには何種類もありますが、品質はほぼ同じで汎用無線受信機と比較しても遜色がありません。RTL-SDRは、チューナーとして「Rafael Micro」R820Tまたは最新のR820T2チップを搭載し、24〜1,760MHzの周波数範囲で動作可能です。RTL-SDRに共通するもう1つの部品は、「Realtek」RTL2832チップで、復調器、8bitのADC(アナログ−デジタル変換回路)、およびUSB 2.0インターフェイスとして機能します。
RTL-SDRの製品の一つは、TVチューナー用としてヨーロパ向けに出荷している品名「DVB-T+DAB」(下記写真左側)がありますが、これはAmazonから入手できます。価格は2,380円からですが、安いのは周波数が50ppm(HROで2.7KHz)もずれている場合があるので、高精度で温度補償型の水晶発信器に取り替えられた改良品(5,950円)を購入すると良いでしょう。電波観測の分野で最も使用されています。入門編としてお勧めです。 
同じチップを搭載した製品に米国NooElec社製の「NESDR SMArt」がありますが、高精度で温度補償型の水晶発信器が最初から搭載されています。アルミ製ケースなので堅牢です。これもAmazonから入手できます。価格は3,295円です。

(2) Airspy Mini
Airspy Miniは24〜1,800 MHzの周波数範囲で動作し、人気のあるSDRソフトウェアの「SDRSharp」を作成したYoussef Touilによって設計されています。Airspy Miniは、12bitのADCで処理するため、再現性が格段に向上しています。高精度で温度補償型の水晶発信器を搭載しています。国内の代理店としてマルツエレック社から容易に購入できます。価格は15,180円なのでRTL-SDRと比較すると割高となっていますが、本格的に電波観測をするのにお勧めです。

   
        SDR; DVB-T+DAB+FM               SDR; NESDR SMArt

  
        SDR; Airspy Mini

(3) ColibriNANO
ColibriNANOはダイレクトサンプリング技術を取り入れている高性能なSDRです。10KHz〜 55MHz までの信号を受信する事ができます。サンプリング・レートは122.88MHzで14bitの分解能を持ったADCを使用しています。国内の代理店としてエレクトロデザイン社から容易に購入できます。価格は27,000円です。

(4) FUNcube Dongle Pro+
FUNcube Dongle Pro+は、150kHz〜240MHzと420MHz〜1,900MHzまでの周波数をカバーしています。16bitの分解能を持ったADCを使用しています。イギリスのアマチュア衛星FUNcubeからの電波を誰でも簡単に受信できることを目的に開発されたハードウェアで、高性能にもかかわらずリーズナブルな価格で簡単に使用できるデバイスとして、Howard Long氏が開発し販売もしています。国内に代理店がないので、FUNcube Dongleのホームページから直接商品を注文します。価格は£149.99です。


2.ソフトの起動

SDRの設定はSDR本体と駆動ソフトの組み合わせによって違ってくるので、本ページではRTL-SDRとSDRSharpソフトを主体として説明します。
「Airspy Mini」を使用する場合は、以下を一読後に詳しく解説されている設定方法をご覧いただきたい。
なお、文中の[]はフォルダ名を意味しています。

(1) ドラバのインストール
・Windows7以降なら最新の「zadig-2.4.exe」(2018.07.26現在)をクリックしてダウンロードする。 Vistaなら「zadig-2.2.exe」をクリックしてドライバをダウンロードする。
・この時点で、SDRを接続する。
・ダウンロードした「zadig-2.4.exe」をダブルクリックするとzadigが起動するので、OptionsをクリックしてList All Devicesをクリックする。
・USBデバイスの一覧が表示されるので、RTL2832Uを選択する。
・Install Driverをクリックする。
・インストールが開始され、しばらく経つと「The driver was insalled successfully.」が表示しインストールが完了する。
・念のためにドライバが正常にインストールされているかを確認するには、「コントロールパネル」から「ハードウェアとサウンド」を選択して「デバイスマネージャー」を開くと確認できる。
・インストール方法については、詳しい説明が紹介されているので、参考にされたい。

(2) SDRSharpのインストールと起動
AIRSPY Downloadから「Windows SDR Software Package」の「Download」をクリックしてダンロードする。
・ダウンロードした「sdrsharp-x86.zip」を右クリックして「出力先を指定して解凍」をクリックし、任意のフォルダに解凍する。
・指定したところに[sdrsharp-x86]が生成されているので、その中のinstall-rtlsdr.batをダブルクリックで起動する。
・Dosウインドウが自動的に開くのでインストールが完了するまで待つ。
・[sdrsharp-x86]内に「rtlsdr.dll」があるかを確認して、無ければパソコンによって「rtlsdr.dll(32bit)」または「rtlsdr.dll(64bit)」をダウンロードして入れておく。
・[sdrsharp-x86]内の「SDRSharp.exe」をダブルクリックで起動する。
・電波観測用の設定を以下に説明するが、SDRSharp画面を開いておくと理解しやすい。

,鬟リックしてRTL-SDR(USB)を選択する。
△鬟リックして、RTL-SDR Controllerを開く。
をクリックして、3.2MSPSを選択する。ただし、CPU処理に負荷がかかり過ぎるようであれば、適宜下げる。
AGCのチェックを外す。
RF Gainを最大にする。
Closeをクリックして閉じる。
Use AGCのチェックを外す。(WFMモードでは、非表示となっている。)
Radioで任意の受信モードを選択する。
周波数を設定する。数字の上部をクリックすると増加し数字の下部をクリックすると減少する。
をクリックしてスタートする。停止もをクリックする。
インストール方法は、詳しい説明が紹介されているので、参考にして下さい。
エラーメッセージが表示されて起動しない場合は、インストール方法の詳しい説明を再読して確認をしますが、 それでも起動しない場合は、下記に問い合わせを願います。

(3) hrofft100の起動
HRO画像の生成プログラム「hrofft100.exe」は『流星電波観測ガイドブック」(CQ出版社)』の付録にありましたが、既に絶版となっています。互換性のあるMROFFTソフトが公開されているのでダウンロードして使用するこができますが、「hrofft100.exe」を使用したい場合は下記に問い合わせすれば入手方法をお知らせいたします。
「hrofft100.exe」と同じフォルダ内に「Header.txt」があるのでダブルクリックして、氏名・住所・機種等の内容を事前に変更します。
音量は、無信号時の受信ノイズで「Signal」の数値が平均で「105」(設計値では60〜80)を示すようにSDRSharpの出力とパソコンのスピーカ出力とマイク入力(*)の3箇所で調整します。その後、「Signal Level」で画質を調整しますが、「15」前後が目安となります。MROFFTソフトを使用した場合は、「Signal」の数値を「32 〜 35」にするとよいでしょう。
詳しい設定方法は、流星電波観測国際プロジェクトの観測をやってみよう や日本アマチュア無線連盟技術研究所の「宇宙の電波を受信する 」にも掲載されているので参考として下さい。

(*)パソコン本体の音量調整
最近のパソコンは、「ステレオミキサー」が内蔵している機種が多いので、これが内蔵していれば、それを使用すると簡便です。
確認と調整の方法は、下記のとおりである。
・「コントロールパネル」から「ハードウェアとサウンド」を選択し、「オーディオデバイスの管理」を選択すると、「サウンド」プロパティが表示されるので「録音」をクリックする。
・プロパティの中央付近で、右クリックし「無効なデバイスの表示」をクリックする。
・「ステレオミキサー」が表示されれば、右クリックして「有効」をクリックする。(「ステレオミキサー」を使用すると、音が漏れるので音声出力(ヘッドフォン)端子にステレオプラグをダミーで挿すとよい。)
・「ステレオミキサー」がなければ、パソコンの音声出力(ヘッドフォン)端子と音声入力(マイク)とをオーディオケーブルで接続する。音声出力はステレオで音声入力はモノラルなので、本来は変換ケーブルが必要となるが、暫定的には両端がステレオプラグのケーブルを使用する。この場合、Left側の音声だけが入力される。
・「コントロールパネル」から「ハードウェアとサウンド」を選択し、「オーディオデバイスの管理」を選択する。
・「サウンド」プロパティの「再生」をクリックし「プロパティ」をクリックして「レベル」をクリックして仮に音量を中間付近にして、「OK」をクリックする。
・「サウンド」プロパティの「録音」または「ステレオミキサー」を選択し「プロパティ」をクリックして「レベル」をクリックして仮に音量を中間付近にして、「OK」をクリックして終了する。

(4) 受信の調整
最初は、最寄りのFMラジオを選局して操作を覚えます。ラジオの音声がスピーカで確認できたなら、「hrofft100.exe」を起動してHRO画面でも確認しておくとハード的にシステムの正常性が検証できます。 この段階でFMラジオが受信できないようであれば、下記に問い合わせされたい。
次にUSBやLSBモードで受信することとなりますが、50MHz帯のアンテナでも構わないので、最初は近距離のVOR(東京付近なら羽田空港)で直接波(112.200MHz)の受信を試みるとよいでしょう。 受信周波数の設定が、送信周波数の+900Hz(LSBモードの場合)であれば、HRO画像の中心付近に明確な横線が現れます。 しかし、横線が現れない場合は、VORの周波数が±300Hz以上ズレていることも考えられます。その際は、受信周波数を500Hz上下に変化させると見つかります。強く入感した場合は、±30Hzの変調波も現れます。これで、システムの正常性を確認することができました。
福井県立大学からの電波(53.755MHz)で流星観測を開始するなら、周波数を53,755,900Hzに再設定(LSBモードの場合)します。その際、HRO画面で音量を再度確認してください。その後は、HRO画面の中心付近(900Hz)に「点」や「塊」が現れるのを待ちましょう。300Km以内なら航空機によるエコーがHRO画面上にて斜めの「筋」として現れることもあります。


3.その他

(1) その他のSDR駆動ソフト
FMラジオでの受信はできたが、VORの受信を試みてもHRO画面に流星が現れない時があります。パソコンによってはSDRSharpソフトとUSBやLSBモードとの相性が良くない場合があります。 その際は、別のソフトを使用してもよいかもしれません。下記のソフトは、どれもRTL-SDRが使えます。
HDSDR
HDSDRは、SDRSharpが稼働後に不安定となったときに、代替えとして使用するとよいでしょう。安定して稼動を続けてくれるので頼もしいソフトです。古くから使用されているソフトですが、最近、バージョンアップをして更に使いやすくなりました。別のページでHDSDRのインストール方法と留意点を解説しています。
SDRradio
SDRRadiioは、多くの便利な機能やツールを備えた強力なソフトウェアで、定期的に更新されていますので最新バージョンをインストールしてください。同時に最大6チャネルの独立チューナー(VFO)として受信できるのも魅力的です。2チャネルならステレオ端子から出力もできます。流星観測にとっては、着信電波の受信強度[dB]を50m秒刻みでデータとして記録できます。当然、0.1秒などのエコーも確実に捉えて再現してくれます。 SDRradioの設定は、一つ前のバージョンですが、分かり易いので参考としてください。
SDRuno
SDRunoは音質が良いことで知られているソフトで、当初はSDR(SDRplay)に同梱されていましたが、その後フリーソフトとして公開されました。何故か、USBとLSBの機能が逆となっていますが、比較的使いやすいソフトです。SDRunoのインストール方法を参考にすると、簡単に稼動します。

(2) SDRの接続
同軸ケーブルを接続する際に留意することは、SDR側はMCXコネクタやSMAコネクタなので「変換アダプタ」を事前に準備することとなります。さらに、SDR本体を直接パソコンのUSB端子に挿しこむと、同軸ケーブルが硬いのでコネクタやUSB端子に大きな“力”がかかり損傷しやすくなるため、短めなUSBケーブを介するとよいでしょう。

(3) 時刻補正
WindowsのOSでも自動的に時刻を補正してくれますが、1秒以内の精度を常に保つのには独自にソフトを入れておく必要があります。フリーソフトで捜してインストールしておくとよいでしょう。


4.ご質問、ご提案等

掲載内容の誤り、ご質問、ご提案等がありましたら、杉本弘文まで連絡を願います。




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