活発なライフスタイルは、脳卒中の症状を軽減させる
最新疫学研究情報No.59
デンマークのコペンハーゲン大学付属病院の研究者らによって、「日頃から身体をよく動かすことで、脳卒中の症状を軽減させることができる」との報告がなされました。
研究者は、脳卒中を初めて発症した歩行可能な患者265人(平均68歳)を対象に、「身体活動と脳卒中の関係」について調査研究(※1)を行いました。被験者に対し、脳卒中を発症する前の身体活動についてのアンケート(*家事・散歩・庭仕事・スポーツなど1週間分の記録)を行い、そのトータル活動量(※2)によって4グループに分け比較研究しました。2年間の追跡調査の結果、最も身体活動が活発なグループは、最も活動しないグループと比べ、脳卒中が軽症ですむ割合が2.5倍も高く、症状の回復も良好なことが明らかになりました。
研究を指揮したKrarup博士は、「運動は脳卒中の発症リスクを低減させるが、今回の研究では、スポーツだけでなく家事や庭仕事など、日常の身体活動によっても有効であることが示された」と述べています。
※1この研究は、ExStroke Pilot Trial と呼ばれる脳卒中患者を対象とした臨床試験に参加している人 の中から、初めて虚血性脳卒中(脳梗塞)を起こした患者を選出し調査を実施したものです。
※2身体活動量は、PASE(Physical Activity Scale for the Elderly)によって算出されます。PASEは、高齢者の身体活動度を表す国際指標です。
出典
- 『Neurology 2008年10月21日号』
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