運動による制ガン効果を高めるためには、適切な睡眠時間をとることが必要
最新疫学研究情報No.58
これまでの研究では、運動にガン抑制効果のあることが明らかにされてきましたが、 米国の国立ガン研究所のジェームズ・マクレイン博士の研究チームによって、「運動のガン抑制効果を得るためには、適切な睡眠時間が守られることが必要である」との報告がなされました。
研究チームは、ガンと診断されたことのない18歳以上の女性5968人を対象に、運動とガン発症リスクとの関係、さらに睡眠時間がガン発症リスクにどのような影響を及ぼすかについて、約10年にわたる追跡調査を行いました。(*調査の期間中に604人の被験者がガンと診断され、そのうち186人が乳ガンを発病しています)
調査の結果、運動量の多い女性は、少ない女性に比べて、乳ガン及びあらゆるガンの発症リスクが大幅に低下しました。しかし、運動量が多くても1日の睡眠時間が7時間未満の女性は、睡眠時間が多い女性に比べ、ガン発症リスクが47%も増加することが明らかになりました。(*ただし、65歳以下の女性における結果)
研究者は、「今回の調査結果によって、運動におけるガン予防効果を確実にするためには、睡眠が不可欠であることが示された。次の研究では、運動と睡眠がどのようにガンを予防しているのか、その潜在的なメカニズムを明らかにしていきたい」と述べています。
出典
- 『米国がん研究協会(AACR)年次総会 2008年』