野菜と果物の摂取と適度な運動が、乳ガンの再発による死亡率を減少させる
最新疫学研究情報No.19
カリフォルニア大学サンディエゴ校ムアーズガンセンターのジョン・P・ピアス博士(John P. Pierce,Ph.D.)の研究チームによって、「肥満であるかないかに関わらず、野菜と果物を摂り、適度な運動をすることは、乳ガンの再発による死亡率を半減させる」という研究報告がなされました。
この研究は、1991~2000年の間に初期の乳ガンと診断され、治療を終えた70歳以下の女性1490人(平均50歳)を対象として無作為割付方式で行われました。参加者は「WHEL(Woman Health Eating and Living)のプログラムによって食事改善の指導を受けるグループ」と、「何もしないグループ」に分けられました。WHELグループでは、植物性食品を多く摂るように指導を受けました。そして食事のパターンと身体活動について、5~11年の期間にわたる追跡調査が行われました。
その結果、1日に5サービング以上の野菜や果物を摂り、30分間のウォーキングを週6回行うと、乳ガンの再発による死亡率が半減することが確認されました。これは肥満であっても肥満でなくても同様の結果が出ました。
しかし、この死亡率の減少については、食事と運動のどちらかひとつのライフスタイルを維持しただけでは効果が認められませんでした。研究者は、「野菜や果物の摂取と適度な運動をするという両方の健康的なライフスタイルを維持することが、乳ガンの再発による死亡率を低下させる」と結論づけています。
※研究対象となった女性のこの研究への登録は、乳ガンの診断後平均2年でした。
※WHELは、UCSD(カリフォルニア大学サンディエゴ校)で行われている、電話による食事改善のカウンセリングです。
※1サービングは、中サイズの果物(リンゴやみかんくらい)なら1個分、葉野菜なら1カップ分、それ以外の野菜は半カップ分に相当します。
※肥満であるかないかは死亡率に影響しませんでしたが、肥満の人の場合、野菜と果物をよく摂り、適度な運動をするというライフスタイルを維持できる割合が低いことが確認されています。(*肥満でない人がこうした健康的な生活を維持した割合は30%であったのに対し、肥満の人の場合は16%にとどまっています。)
出典
- 『Journal of Clinical Oncology vol.25 2007年6月10日号』