3.各脂肪酸の摂取状況(飽和脂肪酸・オメガ9・オメガ6・オメガ3)

過剰摂取の「飽和脂肪酸」

食生活の欧米化によって、「飽和脂肪酸」の摂取量は大幅に増加しています。飽和脂肪酸を多く含むラード(豚脂)は、これまで家庭ではあまり使われてきませんでしたが、安価で酸化しにくい(腐りにくい)ために、業務用としてよく利用されてきました。植物の油にも、飽和脂肪酸を多く含んでいるものがあります。南方地域のヤシの実から採れるパーム油・ココナッツ油です。(※動物の脂肪は、飽和脂肪酸・一価不飽和脂肪酸がかなりの割合を占めていますが、リノール酸やアルファ・リノレン酸も少し含まれています。その脂肪酸バランスも、家畜の生産システムの変化によって崩れてきています。牧草で飼育された牛には「アルファ・リノレン酸」が多いのですが、穀物飼料で育てられた牛には「リノール酸」が増えているということです。)

オリーブ油に多く含まれる「オメガ9」

一価不飽和脂肪酸の「オメガ9」は、オリーブ油に大量に含まれています。全体の70〜80%がオメガ9(オレイン酸)で占められています。このためオリーブ油は植物油の中で、特に酸化しにくい油ということになります。またオリーブ油には、血管系統のトラブルを予防する働きがあることが確かめられています。こうした点から調理用としては、オリーブ油が最も安全性の高いものとして勧められます。他にオメガ9を多く含む油として、キャノーラ油(新品種の菜種油)があります。

極端に過剰摂取の「オメガ6」

多価不飽和脂肪酸のうち「オメガ6」は、サラダ油・テンプラ油などに多く含まれ、最も一般的に使われています。また、そうした精製油をベースにしたマヨネーズ・ドレッシングなどは、毎日の食卓に欠かせないものとなっています。

オメガ6は「リノール酸」と呼ばれ、現代人が極端な過剰摂取に陥っている油です。(※先に「植物性油の害」について述べましたが、それはこの「リノール酸」のことです。)

深刻な欠乏状況にある「オメガ3」

すべての脂肪酸中、最も不飽和度が高い「オメガ3」は、ブロッコリー・芽キャベツ・小松菜などの冬野菜や海藻などに含まれています。また最近知られるようになった亜麻仁油・シソ油・エゴマ油には、オメガ3が大量に含まれています。

植物に含まれるオメガ3を「アルファ・リノレン酸」と言います。現代人の大半は、「オメガ3」を大きく欠乏させています。現代栄養学では、食事の中に“亜麻仁油”を取り入れることを勧めています。(※海の野菜と言われる海藻には、生であれば少し「オメガ3」が含まれていますが、残念ながら乾燥後には失われてしまいます。しかし海藻は、ミネラル・繊維源として欠かせない食品です。)

食用植物油中の脂肪酸組成

次に、一般に最も多く使われている食用植物油の脂肪酸組成率を挙げておきます。

食用植物油中の脂肪酸組成

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