市川の歯科技工士にここだけの言いたいこと
(第20話)
  歯科技工士の潜在能力(技術)と誇りをマイセンポーセレンから、また、世界の寺川、桑田、
 山本眞先生からの教えを紐解いて見ます。

  歯科技工のラミネートベニアのケースのように、歯科用ポーセレンボディー陶材筆積み築盛、
 また、カットバック、焼成時の切縁部の形態修正、歯科用ポーセレンの筆、築盛、ステイン
 技法、形態修正のカットバックの技術には、想像を絶する技術的妙味、芸術性の存在がある
 のです。ラミネートベニアの0.6mmの空間、その切縁の中に描かれる筆積みカットバック、
 築盛技術には芸術的、繊細な技法が存在するのです。また、切削によるカットバックにおいても
 絶妙ともいえる繊細な技法が描けることを報告したいのです。

  前回報告、300年前のマイセンポーセレンの器具と筆者のポーセレン器具を思い出して
 下さい。類似性の多い器具、絵筆の種類、パレットは同じような形のものが使われています。

  実際に下記のマイセンポーセレンのパレットと同じ形式のものを使っています。

 

  という意味では
 繊細で精密な技工技術、筆積み技法はすべての技工士、誰もが持ち合わせている技術です。

  歯科技工技術の筆、絵画の絵筆を繊細に動かすと同じ感覚です。ポーセレン築盛時の
 カットバック、その切縁先端には繊細で芸術性豊かに模様が描かれている。このような繊細な
 模様が絵を描くように出せる技工に誇りを持ってよいといえます。

  

 実際のポーセレン築盛技術を画像を改良したものです。

 

 左側は筆者・寺川先生

 

  寺川国秀先生は「審美」の探求そのものが歯科医学の本質に通じる。人は健康で美しく
 生きたいからこそ食生活があり、審美を回復してあげることで患者の心理面を回復してあげら
 れる。歯科医学はサイエンスであり、歯科医術は芸術である。患者の顔貌や表情や個性との
 関わりを審美的関係として判断する方法を、絵に描く要領、感覚的にいえば芸術であり美術で
 あることを表明しておられます。

  寺川先生の言う絵画を描く要領から生まれるものであることを改めて教えられた思いです。
 筆者は、この言葉を思い浮かべてマイセンポーセレンの技法を観察したことで多くさんの美的
 感性を見出すことができたと思います。こうした素晴らしい繊細な技法、美的感性を
 歯科技工士の誇りとして持ち続けたいものです。世界の桑田正博氏、山本 眞氏らは
 ポーセレン技術の先達者であり、30数年間の長期に渡り多くの歯科、歯科技工士に白い歯
 への夢、ポーセレン技工への夢を与えてもらった。夢があり、誇りがあるからこそ新しい技術に
 挑戦できる。世界に誇れる磁器「有田焼、柿右衛門の朱色を手本としたと伝えられる」芸術性、
 美的感性があったからこそ、世界に認められるマイセンポーセレンの芸術、美術品が生まれた
 のではと思うと有田焼「備前焼」の芸術、美術品に大きな誇りが持てた想いがするのです。

  言い換えれば、マイセンポーセレン秘法から、日本人の持つ芸術性豊かな感性に気がついた
 ことになるのです。

  つまり、思わぬことから歯科補綴ポーセレンの審美「色彩」を作り出す原点、筆先の繊細な
 芸術性を感性として受け取ることになります。有田焼、柿右衛門の朱色研究が世界に誇れる
 芸術なら、歯科用ポーセレンの内部ステインテクニック工法等は柿右衛門の朱色技法の
 類似性であり、芸術性ある感性として受け取れるように思うのです。

(第19話)
    ポーセレンと芸術性、潜在能力を生かす歯科技工士技術は生き残れる
 
 図1 マイセンポーセレン作品を買い求めて5点ほど買い求めてきました。

 

 図2 岡山県での備前焼き窯元での筆者の作品です。マイセンポーセレン工房の美術品を
    比較するのは少し無理がありますが、芸術品的な感覚で物事を視る感覚を養う意味で
    報告しています。

 

 図3 マイセンポーセレンの器材、器型の一部です。

 図4 我が家の備前焼宝物・筆者の作品も1点含まれています。

  前回報告したマイセンポーセレン工房そのものが歯科技工室の配置、感覚など多くの点に
 類似性があります。

  また、歯科技工誌において中込敏夫:陶材硬化液(CHL-1)によるオリジナル臼歯部
 人工陶歯の製作Quintessence of Dental Technology Vol,30/2005 April P383
 このオリジナル人工歯の製作技法を歯科技工の潜在能力として視ることが出来たように
 思うのです。

  マイセンポーセレン職人の高度で確かな技術を観察する中に「中込の人工陶歯製作法」を
 想定できたことは幸運だったように思うのです。

  つまり、マイセンポーセレンの硬化液材を使った技法と中込氏の陶材硬化液(CHL-1)を
 用いたオリジナル臼歯部人工陶歯の製作の一場面をダブらせての見学、そのような感じが
 して思わず見とれてしまったのです。

  また、技術者の指先の動きが芸術性センスの中にこそ生まれる繊細な技術であり、
 その技法を克明に観察できたことが幸いでした。歯科技工技術、ポーセレン技工の中に
 マイセンポーセレンの芸術性の一面があることに気が付いたので紹介しました。

(第18話)
    ドイツ、マイセンポーセレン工房 実技講演を見学して

  前回までは、歯科技工業が生き残って行くための戦術について、過去の生き様を資料
 にお話をしてきました。丁度、時期を同じくして医療専門誌においても同じような問題提起
 がありました。ただ、具体的な方向付けは示されないままの状況のように思われます。

  「日本歯技」に技工学校の入学者激減の報告がありました。人気回復手段に歯科技工業
 の潜在能力を世論に訴えるべきことを投稿しました。いずれ、2ケ月くらい後に掲載予定。
 
  ここに、歯科技工士の個々の潜在能力、誇りとなる(Art・Science)をお話します。
 前回の300年前、ドイツ、マイセンポーセレン工房の展示室の図は、一昔前の歯科技工室に
 類似性があると思いませんか。特に、絵付け用の筆、パレットなどは現在のポーセレン器材、
 そのものと言えます。

 図1

  デモの始まり、中央の横顔が筆者です。日本人向けのイヤホーンを耳に付けて技術説明、
 外国人と一緒に興味深く見学しました。

 図2

  歯科技工士のポーセレン、ステインテクニックと全く同じです。絵筆の動き、目線、指先へ
 の集中力、指先の固定方法など学ぶべき点が多い。1回のデモ時間はおよそ15分間ほど
 であるが、何としても知りたい、学びたいと思うことがあり3回の見学をしたのです。4回目
 のデモに入る直前、筆者の熱意に、身近で見学することが許されました。

  感激のうれしさはさておき、ポーセレンで言うステインテクニックは3回の観察でおおよそ
 学べた感はありました。しかし、ステイン、艶出し用の溶液、グレジング材の濃度に触れ
 てみたい衝撃は抑えきれなくなりました。手話的な物まねで絵の具に触れても良いかと
 聞いて見ましたが即座にダメの仕草が出ました。筆者の英語は通じなかった。
 
  触れる事は断念しましたが、30cmと離れない目の前にある各種の絵の具を混合した
 もの、色調の量的濃度をコントロールしたものなどつぶさに観察できました。また、絵付け
 の終わったカップを目の前に差し出され描かれた繊細な線は本当に美しいものでした。

  また、身近に数本の細筆が立てかけてありました。まさに、歯科ポーセレン、ステイン
 テクニックとの類似性を感じながらの観察です。

  また、歯科用の艶出し材より高い濃度であることを感じ取れました。つまり、途轍もない
 大きななツボ型入れ物で、口先は50〜60cmはあり、高さも1mはありましょう。

  図3に示す(4の数値)絵付けした皿の半分に艶出し材が塗布されたものです。直径40cm
 はあるかと思われる大皿です。この皿が自由に出し入れできる入れ物に艶出し材(溶液)
 がタップリ入っています。この絵の具材の混合比率、艶出しの溶液の濃度こそが300年の
 秘法として守り続けられる技術であることが推察できました。

 図3

  桑田正博先生の教えに、自らの技工に置き換えて芸術性作品を見ることの重要性を
 受け取れたような想いで見学できました。
 現状の歯科技工に教育、生き残りに何が必要かと問うとしたら、芸術性、Scienceを
 技工技術レベルに置き換えることではないかと思います。
 Scienceと言うと、途轍もなく難しく考えるように聞こえるでしょうが、技、術を磨くという
 意味に取れるように思います。

  芸術性を受け取るとは、陶芸、彫刻、絵画を其々の美を鑑賞する意味と同じくして、
 他の歯科技工士の方々が作り出した補綴物を、どこが、美しい作品かを鑑賞できる目、
 心を養うことから、自身の技も芸術性豊かさとしての技工技術であり、潜在能力とし
 て生まれ出るものと思うのです。

  次回は、自らの陶芸作品の実際、その中から何を芸術性センスにつなげるか、
 繋がらずとも感覚で受け止められか、お話してみます。

(第17話)
  ドイツ、マイセンポーセレン工房を訪ねて、歯科技工の芸術性、技術の真髄を、
 歴史の中から忘れてしまっているものを見つけよう。

  前回までは、歯科技工業が20〜30年後を生き残って行くには料金単価、潜在能力、
 芸術性と技工技術、日本型マイスター(管理歯科技工士)ラボ開設者資格認定制度、
 歯技分業などの問題をあらゆる角度から自然の摂理に置き換えて、解説を行なって
 参りました。

  業界の流れの中だけで改革するのは難しい、医療改革の進んでいるときにこそ改革
 に手をつけることが大切と、いったことを話してきました。
 ここまでは、あまり難しい問題が続きました。少し息抜きの意味で、楽しみながら、遊び
 の中に私たちの職業を見直す、潜在能力を探り出す方法を申し上げましょう。

  どの専門雑誌にも審美性という言葉が多く使われています。また、補綴物の審美には
 芸術性センスのようなものを受け取る事こそが最も重要であることは、私自身機会
 あるごとに報告して参りました。

 @ 審美歯科の流れに芸術的センス、美的感性が不可欠・著名な方々の文章を思い
   出そう。(日本の歯科、歯科技工は世界から遅れている)歯科技工誌,医歯薬出版社、
   投稿資料 市川和男
  
  エステティック、白い歯は化粧品感覚、女優は歯が命、美しさこそ歯科治療の原点
 とした言葉は日本発として世界中を駆け巡った表現といえます。

  前述のように歯科医療、臨床の実際において、輝く白い歯、歯の健康、患者の満足度
 についての表現が紙面をにぎわすことが多く、当たり前の如く見られるようになっています。
 さらに、歯の健康と歯科審美の関わりもサイエンスに基礎を置く芸術性、美的感性に
 ついての報告も多く見られます。歯科大学のカリキラムでは白い歯が当たり前といった
 表現となっています。

  審美の象徴的な表現「白い歯は化粧品感覚」としてずいぶん永い期間にブーム、
 流行語として生き残ってきたことはたしかですね。

  審美歯科とは、歯科治療全体を含んだトータル的な口元の調和を図ることであるとい
 います。つまり、歯科治療は種々の機能回復と同時に歯牙の健康、審美的考慮が図
 られることであり、純粋な芸術的な美は別として自身の個性に合った合理的な美を
 探ることであるともいわれるのです。

  桑田正博先生は、歯科技工士も芸術的センス、美しさへの感性を磨くこと、それには、
 美術館、画廊などへ出掛け、ミロ、ピサロ、シスレー、マチス、ピカソなどの作品を見て
 回り、何が美しいかを理解する能力を養うべきであることを表明しています。

 A ドイツのマイセンポーセレン工房を訪ねて日本の陶芸、柿右衛門の朱色の美が
   原点にあることを聞かされて。

  桑田先生の教えを想い浮かべ、さらに、日本陶芸の美の原点を想い、芸術的センスを
 全身に受け取っている錯覚さえ覚えていました。技術者の実演を3回も繰り返し見学
 しました。
 
  300年前のドイツ、マイセンポーセレン工房、展示室です。この芸術的センスの受諾
 実感は次回に報告します。

   マイセン、ポーセレンで造られた時計台の鐘、筆者

  300年前のマイセンポーセレン工房、展示場

(第16話)
    患者満足度には技工料金単価、潜在能力を見直せ。

  今年のスタートから少し難しい問題です。ここでのホームページ報告と同じような問題が
 各専門誌の中で「患者満足+歯科技工士・単価料金・潜在能力的分野のパイの拡大・
 歯科技工士の将来の展望」がメインテーマになってきています。 

  つまり、歯科医療改革、歯科医療の流れに応じて技工業界も流れに逆らわず、応じる
 ことの必要性を15回にわたり報告してきました。歯科医療の流れを自然界の流れに
 置き換え、自然の摂理として技工界がどのように受け取るかをお話してきました。

  浜松支部の限られた技工士のお話でなく、全国の技工士に要約して報告せよ。また、
 歯科医療関係者に報告することに意義があるのではとのご意見を頂きました。日技
 会報、2007年2月号にて掲載が決まりました。

  日技への投稿文の一端です。

  現状、歯科技工界に大きく取り上げられている生き残り問題、低技工料金問題と過剰
 歯科技工士、ラボ乱立問題に対して多くの提案事項が出されていますが問題解決へ
 の決定打はないように思われます。

  ラボ開設問題は、日技から歯科技工所常備録が発表されました。この常備録内容により
 今後、新設ラボ開設者には厳しい管理が浸透する事となりましょう。ラボ開設乱立の歯止め
 となることは間違いないといえます。

  問題は、歯科医療業の改革が始まっている実際(患者の主訴、満足度、歯を削らない
 治療、予防歯科、歯の健康、再生歯科医療)との関わりからの歯科技工業は何を改革
 できるか。

 @       現状に起きている過剰歯科技工士、乱立ラボ、低技工料金問題と現状のラボ
     開設者の生き残り策。学校縮小、海外就職、単価、潜在技術の単価、自然淘汰、
     患者主導型とラボ開設者の関係強化策。

 A       ラボ開設者のラボ開設更新試験制度、免許更新試験制度。

 B       補綴治療から歯の健康を守る時代に入ったこと。歯を切削しての印象物は
     30年後には大きく減少してくることを知らせる。

  この種の問題と入れ歯師の医師開業試験、マイスターのラボ開業資格制度とをリンク
 させて関心が集まったと解釈しています。
 
  こうした情報は全国の仲間にも知らせてはどうかとのメールを受けました。
 ここに、ホームページでの報告を要約したものを日本歯技会報に投稿いたします。

  歯科医療の改革の訪れ、歯科技工業の生き残りに何を考えるか。

 ・   明治維新の医師開業試験制度と入れ歯師の自然淘汰から学ぶ。

 ・   ドイツ、マイスターのラボ開業資格制度を学ぶ。

 ・   日技会報への報告の一端、ドイツのマイスターのラボ開業資格制度から学ぶ

  ドイツのマイスターシステムを取り入れた日本型マイスター、管理歯科技工研修
 学校の設立が必要です。既存の研修教育所を利用することも良いかと思います。

 @   日本型マイスターの資格者にはラボ開業資格が与えられるシステムにする 
    ことです。

 ・   ドイツのマイスター制度は資格獲得に最大の厳しい試験制度のあること、
    マイスター有資格者でないとラボ開業が認可されないシステムであることです。

 ・    明治維新の医師開業試験制度、ドイツ、マイスターの入学試験の厳しさ、
    試験システムを学ぶ必要があります。「開業資格制度の類似点」が見えるよう
    に思います。

 ・   ドイツ型の技工料金システム、30年後の単価レベル、患者主体型の技工技術、
    展望を考えましょう。

 ・   30年後の補綴物単価価格、潜在技術料の価格を考えるチームを作ることです。

 A   海外委託システム等は患者不在の商法を公にした指摘をする。

 B   パイの拡大、30~50年後の医療機関の治療方法に沿った技工技術―芸術性
     と学校教育。

 C   生き残れる歯科技工士像、30年後、患者の1本の補綴物、被覆冠をつくるの
     に1日、5時間を費やしたとしても、患者に満足を与えられる技術を行ったと誇れる人。

  言い換えれば、患者の願望を理解し、受け入れた技工、天然歯とそっくり、寸分も変
 わらない、補綴物とは思えない精巧さと美しさと機能を持つものを完成させる技術を
 心得ていることです。患者さんに技工技術の結果を誇れる歯科技工士は生き残れる
 一人になるように思うのです。

  一言での結論は難しいが被覆冠を例に考えると、芸術性を織り込んだ審美性、機能、
 材質的にも天然歯により近い硬度のものであり、咬合衝撃力も天然歯並の機能が
 要求されるようになろう。

  また、50年後の技工士が、大きな利益はないけど、50年前より良い生活環境?技工
 技術の仕事に胸を張って誇れるといった会話が囁かれるような、技工業を作って置
 きたいものです。

  私のホームページでは150年前の医療変革期を振り返り、現在の歯科、歯科技工の改革
 時をリンクしながら歯科技工業の将来像に置き換えて、話を展開しているのです。目に
 見えない形で歯科医療の変革は始まっています。

  また、現代の歯科医療の患者重視に置き換えての話題、情報提供をしたいと思うのです。

  この、20〜30年くらいの間に歯科治療が大きく変わって来るであろうと話しを進めています。
 歯を削る方法から、歯を再生する治療へと変ることを示唆する研究者も多くあるように
 思われます。

  「歯牙の再生分野と歯科技工士の役割は別の機会に話します」

  これらの問題を含めてホームページでは、目先の技工料金問題だけを考えるのではなく
 補綴物を患者の気持ちになり作業することを訴えていきたいと思っています。

  第17話からは、患者の満足度を勝ち取るには自費補綴物だけでは生き残って行けない
 こと、保険補綴物を製作する歯科技工士90%以上の存在を忘れてはならない。

(第15話)
    歯技分業 直接請求問題・自然の流れ

  前回の、歯技分業問題とは・歯科技工にとって最重要問題です。保険歯科医療の中から
 技工技術の分離を行うことは技工料の直接請求に関連する問題となります。

  モノ・技術の分離・歯科医療から技工技術をモノとして分離することです。分かりやすく
 言えば医薬分業の問題と同じことを言っているのです。歯科医療から技工技術を7:3配分
 している問題そのものを整理せねばならないでしょう。

  (本当に重要か、歯科の特殊性のシンポジュウム)より引用

  特殊性を具体的に表明している問題を羅列しておきます。

 @       技工物製作料7:3管理料の区分が必ずしも明確でない。

 A       現行の7:3の技工料は院内技工を前提にしている。

 B       技工士が作ったものから歯科医師が利益を得ている制度。

 C       医薬分業・医科における薬科差益と歯科における技工の問題の類似性がある。


 ・ モノの対価=メーカー、技工料/薬剤費が医療機関を通じて

  (技工所/薬剤卸、製薬会社に流れる仕組みが差益を生むことを指摘しています。
 医科の中における医薬分業と同じような仕組みと理解すれば分かりやすいでしょう。
 歯技分業はとても難しい問題です。よって、歯技分業の詳細は日技会報にて報告します。

  今年は、私の人生の流れで71歳、本当に充実した1年間でした。54年目の技工士人生を
 振り返りながら,この1年間、何が充実していたか、どのような喜びに恵まれ年を越そうとして
 いるか述べて見ましょう。端的に一言で言えば、自然の流れと歯科医療、技工業の流れは
 合い通じるものがありますね。その想について報告しましょう。

  今年は、大学院の研究室も少しサボった形での研究生生活でした。学生と研究生との
 ちがいから緊迫した時間、研究から開放感のほうが強かったのかもしれません。

  おかげで、週間、2回の魚釣りに励むことが出来ました。仕事も、実労技工も少なくてすむ
 環境になりました。時間的ゆとりも出来る年齢となりました。特に、9月の大鮎友釣り(30
 センチ)の醍醐味は37年のキャリアに初めて味わいました。

  また、10〜12月(写真,奥浜名湖)午前5時の暗い中でのハゼつり(25センチの大型)に
 10年まえの若さに戻った感じで嬉々と竿を立てました。12月、年の瀬ということもあり平日は
 高齢者ばかりです。のんびりと一日の時間の流れに身を委ねることの出来る幸せの一時
 でした。50年以上厳しい技工労働に耐えてきた功労賞とでもいえますか。

 
  
  獲物は、刺身、塩焼き,天ぷらです。自称ですが、魚料理はプロ並の腕前です。暮れ、正月
 の料理、その目玉は、私の出番です。孫たちに本当に喜ばれています。

  振り返れば、魚釣りをしている時間は、研究のこと、技工のことを全く考えずにいられる私の
 うれしい一年でした。時間、学問、研究、ラボ運営に追い回されてきたのがうそのようです。
 うそのように思う中で一つだけ答えのあるのが、自然の摂理に逆らはないことだと思います。
 歯科技工の流れは歯科医療の改革、転機のおとずれに、いち早く追随した技工技術の転換
 が重要となります。

  かって、医療機関にエアータービンが開発、登場した時点にポーセレン、審美歯科、白い歯
 ブームの到来を先取りした人ほど医療の流れに乗りきれたことになります。

  2007年は、

 ・  患者満足度

 ・    患者が治療方法を指定する(システム・12月12日、静岡放送)

 ・    歯を削らない治療、治癒の流れに技工は、どう逆らわずに乗っかれるかにあります。

 ・    新しい設備投資は協業化の対応、方法が良いように思います。新しい補綴物の技法は
    患者の願望から始まるのです。

 ・    世界の歯科医療業の流れを見てからでも遅くないです。

  この報告が届く頃は、2007年度の元旦となっているでしょう。
 毎月のホームページで、時の流れに応じて、医療業界の流れを報告します。

  まずは、明けましておめでとうございます。

  今年は問題山積です。下記の内容を含めて報告できましょうか?

 ・ ついに来た!歯科保険診療の崩壊

 ・ 患者様獲得の手順(国外技工物も医師の裁量権でOK)(中間業者パンフレット)

 ・ 海外技工物、保険給付せず(12月12日)日本歯科新聞)厚労省見解

 ・ 患者が治療方法を歯科医院に指定できるシステム(12月12日)静岡放送7時

(第14話)
  前回までは、自然の中にある現象、遊びの中で学べる自然の摂理を技工界に
 当てはめて問題提起してみました。自然界には数え切れない自然淘汰の現象の
 あることは避けてと通れないことは誰もが知るところです。

  図1 有毒ガスの発生による大木の立ち枯れ
                                 現象を示す。秋田、白神山中

  煙、温泉湯のように目で見える現象ではなく、発生した猛毒ガスの発生、迷いこんだ
 一人を助けるために多くの犠牲者があったとのことです。この地域一帯は立ち入り
 禁止となっている由です。ただ、観光道路から数百メートルの距離です。観光の案内
 区域なのです。また、何時何時に猛毒ガスの発生があるかは予測できないとのこと
 です。

  歯科技工士にとって10年〜30年後の死活問題となる補綴物減少時代が来るであ
 ろうことは知るところであります。猛毒ガスの発生問題はどこまで近づくことが危険か
 を予測できますね。

  補綴物の減少に対処しておくべきか、指導的立場にある者は、今、何を改革、指導す
 べきか、言い換えれば、30年後の死活問題は在る程度予測できる問題ですよね。
 それを、どのように指導を受け取り、生き残って行くかが問われているのです。
 図にあるような立ち枯れ現象だけはいやです。この3−4年の新卒者の就職、労働、
 活動現象を厳しく調査することも参考になりましょう。

  歯科医療学者、研究者の歯科の将来像報告、また、学校教育のカリキュラム内容を見
 ても、歯牙を切削しない治療、患者の満足などが取り沙汰されるのが当たり前の時代
 の到来です。技工業における目先の料金問題だけにとらわれていて良いのだろうか、
 20代の技工士減少、自費の技工だけは繁栄している専門誌発表に喜んでいてよいの
 だろうか。90%以上の技工士は生活問題に苦しんでいることの解決策、改革が欲しいね。

  もっと技工業の本質面、改革を忘れていないか?
 そのための資格制度、料金=潜在能力の確立問題、直接請求に関わる歯技分業
 問題をどのように確立するか。こうした、生き残りへの結論、改革への道となるかを
 自然の摂理に置き換えてルル申し述べてきました。

  技工士の将来に憂いを持つ方々からは励まし、次なる重要な情報としてメールが送ら
 れ てきています。技工料7:3問題が国会で取り上げらた事、技工料の潜在能力の
 掘り起こしこそ技工物の単価UPにつながるなど、名古屋の友人安藤嘉明氏、仙台の
 安藤申直氏 などが今年だけで30通以上のメールを届けてくれています。

  次回は、直接請求「歯技分業」問題をより詳しく、魚つりの自然の設理に置き換えて
 報告します。

(第13話)
  海抜1千メートル級の白神山地全山が紅葉一色となった山道、湿地帯の疲れも忘れて
 満喫できました。

  図1 白神山地・田苗代湿原への入り口 

  図2 海抜1千メートル以上の白神山地の紅葉
                             少し不思議に思う光景を感じませんか?

  紅葉真っ只中でありながら、紅葉の合間の中に青々とした杉の木の群生が気になりました。
 つまり、戦後、60年前に日本の復興を目指していた時期です。秋田杉の需要に応えてこの
 地域の紅葉樹を伐採して、秋田杉の植林を命じた県の偉い人がいたようです。
 地元で代々の林業を営む人達は1千メートル以上の山地には杉の木は育たないことは
 知られていることだったようですが、命令で仕方なく紅葉樹を伐採してスギの木を植林した
 とのこと、50〜60年たっても杉の木々は大きく、太く育たず、雪の重みで根元から曲がった
 形となり、高さも3―5メートルくらいにしか育たないといっていました。

  最近になりやっと、現在の偉い方々の決断により紅葉樹、ブナなどの木々に植え替えら
 れる計画が決定したとの説明がありました。
 また、この地域の山林は三菱財閥の跡継ぎが保有している土地が多く、膨大な面積と
 なっているようです。秋田杉を植林して大きく育った地域もあるようですが、いざ、伐採
 出荷出来る時期となっても需要と供給のアンバランス,外材木との価格競争、木材の伐採
 費用との関わりも絡んで、また、ダム工事などにより出荷道路も寸断され、
 川の流れによるイカダの出荷方法も水の流れが浅くなり、イカダ出荷も出来ない
 状況、採算も合わないなどの問題から一般道に隣接する秋田杉のみが伐採されてい
 るとの説明がありました。

  半世紀に及ぶ自然山林の植栽と商法を見定めること、世界遺産となるブナの山林、
 観光地のメインとなるなど世の中の流れを計算することは至難と言うしか言葉が無い
 のでしょうか。

  歯科医療業界の30年先を予測するのは至難のことというのと同じかも知れません。
 第11話の中で申し述べた「歯技分業」“モノ”と“技術”の分離問題(直接請求)    
 「歯科医療・“明日の課題”の中での、“技工料を歯科保険医療から外す”日本歯科新聞、
 アポロニア2000・6号」この問題は10年ほど前に問題提起されたものです。

  現状において、保険歯科医療の崩壊が取り沙汰されることから考えると、医科における
 薬剤と同様に歯科補綴技工も保険から切り離すことの提言問題、歯技分業が最熱して
 くるように思います。問題は、地域によっては7:3問題が「4:6」といった技工物製作料
 と管理料が逆転している%が横行しているとのうわさもあります。

  保険歯科医療の崩壊、補綴治療の終わりが問題提起される時期です。崩壊につなが
 る問題となってから技工業に歯技分業問題の再熱となっても遅きに?つながりかねない
 ように思います。 

  次回は、1千メートル級の山林に置ける自然の摂理、自然淘汰の木の立ち枯れ現象をみて
 歯科医療業に置き換えてお話をします。

(第12話)
  世界遺産、原始の森、白神山地を訪ねて、ブナの原生林の中に日常繰り広げられ
 る生存、生き残り、その自然の摂理を観察して。

  白神産地それは「いのちの森」と紹介されています。青森県から秋田県にまたがる、
 約13ヘクタールに及ぶ山々が白神山地で、手つかずの自然に抱かれ、世界で最大
 級のブナ原生林をもつ。かってブナ林は北日本によく見られたが、いまでは残り少ない。

  これだけの広大なブナ林を育む圧倒的な保水力は、豊な生態系を養い、栄養素を含む
 清らかな水は、川から海に至り、豊富な恵みを与える。

  図1、いのちの森ブナの群生林への入り口

  自然のまま原生するブナの林を奥深くへ歩きながら不思議な体験を受けました。

  図3 世界遺産、白神山地、

  ブナの木に聴診器をあてがい水脈、地面から水を吸い上げる水の流れの音、水脈を聞く、
 不思議な体験をしました。樹齢200年と紹介されました。   矢印聴診器

  よく森林浴という言葉を耳にすることも多いのですが、ここでは1回ごとの呼吸が頭の
 真髄まで浸透するような感覚で味わえます。あるいは、森林匂という表現が正しくの
 かもしれないです。ふと、一瞬ですが技工室のホコリッポイ空気を思い出してしまいました。    

  また、山々が雪で閉ざされても、ブナ林特有の水を蓄える能力があるといいます。樹齢
 150〜200年の大木は8トンもの水を蓄えると言います。紅葉を目的でしたが1週間ほど
 早かった感がありました。なんと言ってもいのちの森、清らかな水の紹介に相応しい
 森林浴には大きな満足が得られました。

  1つだけ、大きな怒りを感じたことがありました。樹齢200年と言われる樹木に落書きが
 ありました。S 49、?、?、市川春夫。それも2本の樹木に切り刻む落書きでした。
 同じ市川の姓を名乗る一人として本当に腹立たしい思いでした。おそらくS、昭和49年頃、
 幼い年齢16~17歳と推定すれば、現在50歳に近い年齢では?と思います。世界遺産の
 原生林を散策されたことのある方は、きっと憤慨して見て帰られたことでしょう。

  図2 世界遺産、白神山地、ブナの木に聴診器をあてがい水脈、
 地面から水を吸い上げる水の流れの音、水脈を聞く、不思議な体験をしました。樹齢200
 年と紹介されました。   矢印聴診器

  ブナの木は硬くて丈夫な木であるが、樹齢300年くらいになると木皮の表面に腐りが現れ
 木内部の水も腐敗して大木が自然崩壊してしまうようです。倒れた木の周りの小木は
 一気に成長が始まる、つまり自然の摂理に従いブナの森林は自然淘汰されて、次々
 に世代交代が始まるのです。また、倒れた大木には草木の新芽、キノコなどが繁殖して
 無駄なく次ぎの世代を育てる肥やしとなっているようです。

  図2 崩壊したブナの大木、
  
  含んだ水が乾燥し始めると大きな音と共に割れ目ができる ようです。
 今年の春先に台風の襲来で倒れ、通路の真ん中に根もとがあったために根を 切断した
 ようです。自然な環境も人間の保護も必要ということでしょう。

  歯科医療にも自然の摂理、世代交代(高齢者の引退、年齢制限、免許更新、歯科医療
 改革、転機)が叫ばれている

  ことを歯科技工に当てはめて考えるのは私だけだろうか。

 ・    歯科技工業の過剰ラボ、過剰歯科技工士をどうするか、(自然廃業、自然淘汰)

 ・    免許更新、ラボ開設の試験制度、設備構造基準、環境整備の監査制度を厳格化、
      学校教育の転機。

 ・    需要と供給のアンバランスは益々進む。

 ・    7:3問題も国会で取り上げられた。

  H18・10・6日参議院議員 大久保 勉 

 「国外で作製された歯科技工物の取り扱いに関する質問主意書」 

  H18・10・11日参議院議員 桜井 充 

 「歯科医療に関わる診療報酬点数等に関する質問主意書」

  内容は必要に応じて報告           

 ・       保険歯科補綴の歯技分離案の再浮上、利益率,税金問題から補綴物が重荷になって
     から歯技分離を図っては遅い。直接請求への布石を考える

 ・       保険歯科医療、技工料金問題論争、管理では(海外委託においしい部分だけを
     盗られる)

 ・       単価、潜在能力(価格)

  問題は山積しています。難しい問題ばかりです。ただ、一つでも誰かが発言、声を出ないと
 問題解決、前に進みません。

  図3 崩壊したブナの大木、含んだ水が乾燥し始めると大きな音と共に割れ目ができるよう
 です。

  今年の春先に台風の襲来で倒れ、通路の真ん中に根もとがあったために根を切断した
 ようです。第14話にて、紅葉真っ只中の白神山地、素晴らしい紅葉の八方山は次の機会に
 報告します。

(第11話)
  この8月の盆休みに、ひるが野高原に出かけました。その頂上には日本海と、太平洋に
 流れ出す水の流れ「分水嶺」を観光しました。
 歯科医療業の改革、転換の分かれ道に差し掛かっているような思いで、しばし分水嶺、
 水源池を眺めました。我が人生を水の流れに委ねると言うのではありません。

  歯科、歯科技工士の変革、転換期を、分水嶺のように、どちらに流れようがお好きな
 方向へというのではなく、変革の行く先には何があるかの見定めをするべきことを、念頭に
 考えました。

  また、分水嶺の源、小池には小さな子魚がいました。この子魚とて何時かは池から出るこ
 ともあるかな?という想いで観察しました。水源の左右、上流に少し遡って見た所、右側の
 水の流れは100メートルほど上流では僅かな流れとなっていました。小魚の群れを見ると
 水流、水量のある左側方向に多くの群れが列を成して泳いでいます。魚の生き伸びる
 本能でしょうね。

  歯科、歯科技工業界に50年以上の永年、何とか生き延びて来ました。数え切れない技工
 技術の経験を積重ね、さらに、最高のコンビを組む仲間たち(社員)に恵まれ、多くの幸運
 も手伝い現在に到達しました。そして、欲、得を考えなくてすむ生活環境を得る年齢になり
 ました。

  これからは、永年の経験を生かして、仲間たちに(歯科技工士全体を含み)20〜30年後の
 歯科医療業に合致した指針、生き様を示しておければよいなと言う想いでいます。

  目標、行く先が小魚のように本能的な感覚で定められるといいですが、なかなか、そうは
 問屋が卸さないのが世の中の流れですがね。

  次には、秋田、青森の県境に存在する世界遺産となったブナの木の群生、群生地の中に
 見る生き残りと自然淘汰の現象に想うことを報告します。

   図11:水の流れと歯科技工士の行く先に置き換えて