食餌 |
主食:県内ではほとんどの場合、ブナ科コナラ属のコナラが利用されている。コナラとクヌギが混生する場合でも、ほとんどがコナラに産卵されている。
代替:クヌギ、ミズナラ、カシワ、ナラガシワ、アベマキなどブナ科落葉樹のうちナラ類はほとんどすべてが利用可能。ブナ類やクリは食べないようだ。他県では常緑樹を食べる例があるが、まだ試していない。
増殖:コナラ:実生、挿し木、取り木(高取)が可能。実生は10月中旬〜11月に地上に落下したての、孔のあいていないものを採集する。 次いでコップなどに水を入れ、採取した堅果を水に入れる。浮いたり漂ったりするものはすべて虫食いなので廃棄する。落下後すぐに発根して冬を越す性質を持つので、そのまま過湿と乾燥に注意して植木鉢などに植えつけ、明るい日陰で管理する。挿し木及び取り木は一般的な落葉樹の方法に準じる。
挿し木の適期は3月〜4月上旬。 |
採集 |
ステージ:卵、幼虫(中齢以降)。卵は、薄暗い環境に生えた壮年以降の食樹のひこばえの基部や、高さ2m以下の若木の枝の分岐部などに1個〜2個程度で産付されることが多いため、見つけるのは結構簡単。若齢幼虫は膨らみかけた新芽に穿孔して内部にいるので発見困難。中齢以降は展開した葉裏にいることが多いので、見つけるのは難しくない。
適期:卵であれば7月〜3月中旬まで。幼虫であれば、4月中旬以降。 |
難度 |
幼虫:比較的容易。食樹さえ十分に供給できれば、ほとんど手がかからないくらいカンタンだが、新芽と柔らかい若葉しか食べないので、室内などで飼育した場合は食樹の調達がやや難しい。食樹の水揚げがあまりよくないので、鉢植えもしくは地植えの食樹を利用するほうが無難。ただ、晩春に卵で採集した場合、枝を挿し木の要領で水漬け粘土挿しにすれば、
萌芽と共に孵化し、それに潜り込むので若齢時は飼育可能であるが、中齢以降になると葉が足りなくなる。
成虫:不明。成虫の生態を考える限り、ほとんど不可能かもしれない。
採卵:成虫の生態からみて、非常に困難と考えられる。 |
飼育法 |
年内に卵を採集し屋内などの暖かい場所に置いておくとほとんど孵化しない。これは卵の休眠が解除されるためには低温期を経過する必要があるためだが、そのような場合は冷蔵庫などで1ヶ月〜2ヶ月程度冷やしてやるとよい。その際、冷蔵庫内は極度に乾燥しているため、密閉容器などに入れて乾燥させないようにすること。幼虫段階では若葉が不足しない限り食樹を離れることはほとんどないので、基本的にはネットがけも不要である。ただ、蛹化の際には地上の落葉の間などに潜り込むことが多いので、蛹化が近くなったら容器内に枯葉などを入れてやるとよい。 |
備考 |
卵はタマゴヤドリバチ類の寄生リスクがやや高い。卵の側面などに小さな穴があるものは寄生された卵である。 |