正午過ぎにヴェネツィア(サンタルチア駅)に到着した私たちを待っていたのは、アクアアルタ(高潮)でした。カナルグランデ(大運河)の水位が上がり、運河沿いの道路は何カ所か浸水していました。



2002年 ヴェネツィア (1)

ヴェネツィア1日目 曇り。
予約していたホテルは駅から歩いて10分位。重い荷物を抱えて太鼓橋をいくつか越えなければならず、また、浸水している道の強行突破に失敗して迂回もしたので、結構疲れてしまいました。

ホテルに着いたと思ったら、今度は宿泊の予約が入っていないというハプニングに遭遇です。でも、すぐに隣のホテルに案内され、まずは一安心でした。

ヴェネツィアでは路地裏を歩いてみたいので、今回はできるだけ水上バスに乗らないつもりです。ホテルでもらった地図を片手に、歩いてザッテレの海岸に向かいました。



  今、何て言いました? 

1年ぶりのヴェネツィアには、日本人の旅行者が幾分増えていました。(といっても、サンマルコ広場かリアルト橋あたりです。)
日本人のオネエチャンが、すれ違いざまに「うわ〜ここって、ディズニーシーみたいじゃない?」と宣うておりました。やはりディズニーシーの影響かあ。

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ゴンドラ造船所
サン・トロヴァーゾ運河のゴンドラ造船所。
対岸から見学することができます。



   ザッテレの海岸   地図…ザッテレの海岸

アカデミア美術館の裏側を歩いていくと、ザッテレの海岸にぶつかります。
ここは昔、材木の積み卸しをするために整備された海岸で、材木の運搬に筏(いかだ)を使っていたことから、筏を意味するザッテレという名前がつけられたそうです。

本島の南端にある海の税関へと続く遊歩道が整備されており、対岸にはジューデッカ島が見えます。サルーテ教会の近辺には、テラスが運河にせり出したトラットリアなどが並んでいます。 

ザッテレの海岸
ザッテレの海岸にて。
この先、遊歩道は更に広くなります。




運河を進む大小様々の船をぼんやり眺めながら散歩を楽しみました。でもあまり天気が良くないせいか、人の姿はまばらでした。

散歩の途中、釣りをしている何人かの男性に出くわしました。足を止めて傍らのバケツを覗き込むと、手のひらほどのコウイカが数匹こちらを睨んでいました。(このイカは熱を通しても硬くならず、美味しいのです。)

私たちがサルーテ教会に着く頃には、マッジョレー島の空に小さな虹が出ていました。
(これらは、作り話のように聞こえるかもしれませんが、すべて実話です。)

ザッテレの海岸のオープンカフェ
ザッテレの海岸のオープンカフェで
ジューデッカ島を見ながら食事を楽しむ人々。




   サンタ・マリア・デラ・サルーテ教会   地図…サルーテ教会

巨大なドームを支える八角形の外観が特徴のサルーテ教会は、カナルグランデの入り口にあり、ヴェネツィア・バロックの最高傑作といわれています。

この教会は、17世紀、ペストの終焉に感謝し、聖母マリアに捧げるために建てられました。毎年11月21日にはお祭りが開かれ、カナルグランデの対岸からは船を使った特設の橋が架けられるそうです。このお祭りは宗教的な色彩が濃く、1年間の“健康(サルーテ)”を祈願する市民がたくさん訪れるということです。

サルーテ教会
水上バスから見たサルーテ教会
(2001年撮影)



この教会の外側は125体の彫刻が飾られています。窓からたくさんの光が差し込む八角形の内部には、いくつかの祭壇が設けらています。他の教会に比べると簡素な感じがする聖堂では、床の大理石のモザイクと祭壇に供えられた蝋燭が彩りを添えていました。

教会の奥には聖具室があり、ティントレットやティツィアーノの作品が収められています。聖具室の入場料は1.5ユーロ。

サルーテ教会 内部
床のモザイクが美しいサルーテ教会の内部です。
中央に少々ヘコんでいるので 端の方から見るだけ。
珍しくカメラ撮影OKの教会でした。

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  バーカリ(居酒屋)で オンブラとチケッティ 

ヴェネツィアには「バーカリ」という酒屋兼居酒屋があり、ここでは、立ったままカウンターに軽く寄りかかってワインを飲んだり、おつまみを食べたりします。

狭い店内には、入れ替わり立ち替わりお客が入ってきて、ワイン片手におしゃべりに興じています。ご主人は次々と注文に応じながらも話の輪に加わり、楽しそうに働いています。かなり賑やかな雰囲気の店が多く、ときおり地元の人に混じった観光客の姿も見られます。

「オンブラ」とはイタリア語で陰という意味ですが、ヴェネツィアでは、グラス1杯のワインをオンブラと呼びます。バーカリでは何種類かのオンブラを用意しており、1杯1〜2ユーロで飲むことができます。

かつて、サンマルコ広場でワイン商人が日差しを避けて、鐘楼の日陰(オンブラ)でワインを売っていたことに由来する。太陽が傾き、陰が移動するたびにワインの樽を移動させていた商人が、「アンディアーモ ペル オンブラ(陰のほうに行こう)」と言っていたのが、「グラスワインを1杯飲もう」になったらしい。

(〜以上 羽石宏美さん著『暮らすように旅するイタリア』より)
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私は、ワインの他に、ヴェネト地方名産の微発泡酒・プロセッコを飲んでみました。辛口でよく冷えており、美味しかったので、日本に買って帰ろうと思いました。しかし、店主に「飛行機の中は気圧が低いので、破裂する可能性があり、危険だからダメだ」と教えてもらいました。


「チケッティ」というのは、楊子などで食べる少量の酒の肴(1つ1ユーロくらい)のことで、店内のショーケースに何種類か並んでいました。イワシと小玉葱のマリネ、シャコの身をほぐしたもの、干した鱈をペースト状にしたもの、チーズ、プロシュート(生ハム)など、お店によって種類は様々です。少し塩辛い味が多く、ワインに良く合う味です。

チケッティを片手にオンブラを飲むスタイルが小洒落ていて、私はとても気に入りました。「真っ昼間からワイン?」と自分にツッコみながら、何回かオンブラを楽しみました。 

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  コッレール博物館  地図…コッレール博物館

サンマルコ広場のナポレオン翼はサンマルコ寺院の正面にあり、2階と3階はコッレール博物館になっています。館内には、絵画やガレー船の模型・古地図・中世の硬貨などが展示されており、当時の風俗や生活を知ることができます。ここでは、ヴェネツィアにある博物館の共通入場券を買うことができます。

コッレール博物館
正面の赤い幕にはコッレール美術館と書いています
(サンマルコ寺院のバルコニーより)




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