【廃墟マニヤ File053】
R宮城(茨城県)
(その4)
先ほどの立派な木の看板とブロックの間から下をのぞくと、激しいヤブと大量のクモの巣が待ち構えていました。雨も激しく降っているし、しばらく悩んだのですが、ちょっとだけお邪魔してみることにしました。
びしょ濡れになりながら必死で下っていくと、薮に埋もれて「桃源郷」の碑が。Mさんがどんな気持ちでこの地に移ってきたのか、いろいろ考えてしまいます。
ようやくドアに辿り着きました。でも鍵がかかっていて、実は半分ほっとしました。だって、もし開いたら入らなきゃならなくなる(?)じゃないですか。
……というのも、次第に、終わってしまったMさんの夢の残骸を見せられているようで、やりきれない気持ちになってきていたからです。
玄関のすぐ上は、どこがどうなったのかわからないほど崩壊しています。時計台の下あたりになるでしょうか。実は足下には屋根などの巨大な部品(?)が落ちています。
パラダイスのアーチも落ちています。ここまで行くのに、板と板の間に足をはさまれ抜けなくなったり、池があるのに気づかず危うく落っこちそうになったり(結構大きい上に深くて、底には絶対落ちたくない感じの濁った水が残っています)、もう大変です。
突き当たりにレンガ風の建物があり「ビックリおもしろ美術館」という看板が出ていました。ドアに隙間があるのが見えますが……
……やはり南京錠が掛かっていました。隙間にレンズを差し込んで撮ったカットです。
内部にまったく未練がなかったわけではないのですが、そろそろこのへんで引きあげることにしました。
建物の隣には碑が建てられていました。あたかもこの「R宮城」の墓石のようです。勝手な話ですが、ここは人の目に触れることなく、このまま静かに朽ちていくのが正しい気がします。
END
(2004.6)
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