【廃墟マニヤ File053】

R宮城(茨城県)

(その1)

 ようやく辿り着いたR宮城

「R宮城」というと八丈島の民宿が有名ですが、実は茨城県にも乙姫の住む宮殿があったのです。まあ細かいことを言うと、八丈島のは確か「竜G城」ですが、こちらは「龍G城」です。

茨城なら近いし、いつか実物を見てみたいと思っていたものの、どこにあるのかわからずそのままにしていました。ところが先日、切り抜くだけ切り抜いてファイリングしていなかったポンチスクラップを整理していたら、なんとその中におおよその場所まで記された紹介記事を発見! 灯台もと暗しとはこのことでしょうか(違いますか……)。

 

この「R宮城」、TVなどで何度も紹介されてかなり有名でした。ただ建物自体より、R宮城を一人でつくったちょっとおかしなおじいさんの方が紹介のメインだったようです。芸術家として人々から尊敬されるか、変わり者として奇異の目で見られるか、内なる衝動を形にしているという部分において、両者は非常に近いものがあると思うのですけれど……。

さて、ここをつくった「茨城の浦島太郎」ことMさんですが、昔は北海道の紋別でビルの経営をしていたそうです。しかし景気が悪化して経営難に。苦労してなんとか作った借金は返しますが、その間に奥さんに先立たれ、一人となったMさんは寒い北海道を離れ、暖かい土地に移り住むことを決めます。そして1983年、この地に移ってきました。

Mさんは、とある宗教の熱心な信者だったのですが、ある日突然、その宗教とはまったく関係のない神様(白装束を着た白髪の神様だったそうです)から「『R宮城』を造りなさい」という啓示を受け、年金の大半である1500万円をつぎこんで自宅を改造。スイッチひとつで水が流れ始める人工の滝、乙姫様のベッド、ミニミニ水族館(「動く油絵」というのもあり、それは水槽の前に額縁をつけただけでした)、金の折り紙を張った黄金の間などを自分でつくり、一般の人にも公開していました。今回見つけられなかったのですが、奥さんのお墓も手作りで、これまたR宮城の形をしているそうです。

こんな「R宮城」でしたが、2001年4月にMさんは亡くなり、その後荒れるにまかせた状態となっています。今回訪れて、その荒れ果てた姿に夢の物語の終焉を見るようで、なんともいえない悲しい気持ちにさせられました。


満足度:★★★

 


NEXT(R宮城その2)

1234

この頁最初へ

廃墟マニヤMENUへ