露天風呂をめざして
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屋外に風呂があるから露天風呂だと思い込んでいたら、野天風呂と表記されていて驚いた。野天は「のてん」と読む。それを「やてん」と読んでゆうずうのきかぬ野暮天(やぼてん)を思い出した。また、屋根付きだから野天と思ったがそうでもない。最近は露天風呂にも屋根が付いている。辞典をひくとどちらも屋外にある屋根や囲いがない風呂とある。
というわけで、スーパー銭湯や温泉で見かけるのは屋根付きで囲いのある屋外の風呂である。定義からズレていても屋外風呂は公衆衛生と風紀の要請で囲いがされている。男女いずれの風呂に入れるのは幼児だけである。日差しがきつい外の風呂に入浴すれば日焼けや熱射病のもとだ。それでは客が来ないから屋根や囲いをするのだろう。
山歩きをしていた頃には温泉がある縦走路を選んで歩いた。八ケ岳なら赤岳鉱泉や渋の湯、北アルプスなら大町温泉郷や平湯温泉などがある。でも、囲いのない温泉はごくわずかで、混浴だって少ない。浴場で欲情なんてしゃれにもなるまい。北アルプス最後の秘境といわれた高天ケ原(たかまがはら)で入浴していたときは、あとから来た女性集団に占拠されて出るに出られずのぼせた男もいる。怯えきっていたその男の股間は萎えていたにちがいない。(この話は2ー1に詳細を記録した。)
ともあれ、屋外でのんびり湯につかるのも楽しい。風呂嫌いのわたしもこれだけは拒まない。月や星を眺めてゆったりすごすのも乙である。また、内湯と外湯を行き来するのはサウナと似ていて異なる入浴ほうだろう。サウナには忍耐や苦痛が伴うのはわたしだけだろうか。
露天風呂や野天風呂に人気があるのは解放感にあるように思われる。最近では少なくなったが浴場内にこもる湯気の圧迫感が露天風呂にはない。多少の雨が降っても風が吹きさらしても利用する人がいるのは風流だけでなく、このなんともいえない解放感にひかれるのではないか。よせばいいのに寒風にもめげず、家族サービスなど度外視して露天風呂へ出向く風呂嫌いのわたしもいる。
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