入浴するのになぜ隠す

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 週末は郊外の銭湯に出向くようになった。気になるのは客がタオルで前を隠して風呂場に入ってくることだ。男湯しかわからないが老若にかかわらず下腹部を隠して入ってくる。混浴でもないのになぜ隠すのか理解できない。身体を洗うときや入浴するときにはスッピンになるしかない。

 気になって妻に女湯ではどうかと尋ねた。女性の場合は胸と下腹部のいずれかという興味も加わったが、下腹部を隠すようだ。「男の人も隠すの」と妻は呆れたような口振りだ。わたしは入浴時に隠してはいらないからたまたま気がついたようだ。

隠したり恥ずかしがるというのは他人の存在を意識した人間特有のふるまいだろう(動物学や行動学では類似したふるまいの指摘があるようだ)。生まれたままの人間はスッポンポンなのに現代社会はそれが許されず、衣服を着せられ身を装うことになっている(男のおしゃれや化粧はブログでもふれてきた)。これを原罪としてもちだすのが『ダ・ヴィンチ・コード』にも出てきた旧約聖書のイブ(エバ)のリンゴだろう。でも、日本の神話には岩戸にこもった太陽神をひきだすために裸おどりで盛り上がったほほえましい話もある。

最近は安易に裸になって手っとり早く小金を手に入れる娘もいるようだ。それが成り立つのは期待する裸体に対する潜在需要があるという反映だろうか。老化とともに美貌や姿態が崩れるのが人間である。だからちょっと可愛いくてスタイルのいい小娘にお金をふんだくられる間抜け男もいるのだろう。

ともあれ、羞恥(しゅうち)心を忘れた行動を醜いものがある。また、隠すふるまいにも身体的・精神的なそれなりの事情があるにちがいない。それをあれこれ詮索するのも下劣である。それはゴシップ雑誌や成人向けビデオにまかせよう。言いたいのは生まれたときはスッポンポンだったということ。そして、裸を恥ずかしがることもないというだけである。少なくとも日本の風呂場はそういう場所である。

【 追記 】

書き始めたらやけに長い文章になったのでこの先は(5ー1ー8)「裸は醜いか」に移して展開します。

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