マルケ州からの農移民と地元生産者、そして大型製造元
1950年代後半のこと、失われた農民を補う為に施された政府の移民政策により、多くのマルケ州移民がこの地に降り下りました。ヴェルナッチャ種に同じく、イタリアを代表する古典的品種として有名なヴェルディッキオ種による白ワイン"ヴェルディッキオ・ディ・カステッリ・デイ・イエージ"を生産していた経験を持つことにより、ブドウ栽培に長けた民族であったとは言え、まともな製造蔵を持たぬために、ひたすら葡萄を生産しては、大型生産会社に葡萄を売買していたとのことです。
主にテリトリーの西北部はパンコレ地区に広がっていた彼らの敷地内において、トラクターなど存在していなかった当時の畑仕事は牛による耕作であり、古きよきエポックを描き連ねた多くの画家たちの手により、情緒豊かな風景画として残されているものです。
時が流れ、この地にて生まれた彼らの子孫になると、自らによるワイン生産を手掛け始める有志達が現れ始めます。
中でも代表的な存在は、パンコレ地区の"ヴィンチェンゾ・チェザーニ(Vincenzo
Cesani)"、"ルイジ・ヴァニョーニ(Luigi Vagnoni)"、サンべネデット地区の"フォンタレオーニ(Fontaleoni)"でしょう。
80年代後半から90年代にかけて行われた小規模ながらも近代的なテクノロジーの導入により、畑仕事を知る人間が造りだす品質の高い葡萄のみにおいて可能な素晴らしいヴェルナッチャが生まれ始め、他生産者の注目を集め集め始めます。
こうなると、地元生産者も負けていられません。
90年代初頭に一気に広がったテクノロジー改革により、"シニャーノ(Signano)"、"ピエ―トラセレーナ(Pietraserena)"、"カーザ・アッレ・ヴァッケ(Casa
alle Vacche)"、"サン・クイリコ(San Quirico)"、"パラジェット(Palagetto)"などの地元組み達も、ハイ・クオリティ・ワインを造り上げてきます。
従来、買い付けた葡萄のみでワイン醸造をしていた名門製造会社も、自らの畑確保などの方向へと進んで行きます。地域に長いこと密着したワイン生産を続けていた名門"バロンチーニ(Baroncini)"、地区南部のカステル・サン・ジミニャーノーコッレ・ヴァルデルザ地区に雄大な畑を構える、"ゾニン・グループ(Gruppo
Zonin)"のパラッジョ(Palagio)"、かの"グルッポ・イタリアーノ・ヴィーニ(Gruppo
italiano Vini)"が運営を行っているポッジボンシ地区の"メリーニ(Melini)"そしてトスカーナ全土に畑を所有している名門"チェッキ(Cecchi)"などが、活動的に時代の要求にこたえるワインを造りだしていえると言えるでしょう。
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