主食のパワーアップを図る・・・“5分づき米と雑穀”

食事のよし悪しは、主食によって決まる

食事のよし悪しは、「主食によって決まる」と言っても間違いありません。主食でしっかりと必須栄養素を固めることができれば、あとは副食として、汁物と少しのおかずがあればよいということになります。副食は添え物として、主食の不足分を補うだけで十分なのです。

このように食事の質を決定してしまう主食には、パワーのある穀類を用いることです。特に主食の核となる米は、精製度の低い「茶色い米」でなければなりません。必須栄養素や食物繊維・植物栄養素をたっぷり含んだ米でなければ、食事の土台を固めることはできません。

食事改善においては何よりも――「主食としての米の力をアップさせる」ことが重要なのです。

玄米より5分づき米

自然食愛好家の間では一般に玄米が勧められますが、必ずしも玄米でなければならないということではありません。自然食やマクロビオティックでは、玄米はよく噛めば消化不良を起こすことはないとされ、ひたすら噛むことが奨励されますが、現実にはよく噛んでも“消化不良”を起こす人が多いのです。

玄米を食べるとガスが止まらないとか、吹き出物ができるというような消化不良の兆候がある人は、玄米は避けた方が無難です。豆類をたくさん食べるとガスがたまりますが、玄米も本質的には豆類と同じ種子であり、大量に摂ると、豆類を食べたのと同じことになるのです。

また100%の玄米食にすると、ひたすら噛まなければならないことから、食卓での楽しい会話が失われがちになります。食事は修行の場ではなく、笑いの絶えない楽しい場であるべきです。

玄米の調理には一般に圧力釜が使われますが、せっかくの玄米も圧力釜による高温化によって必須栄養素(ビタミン)の損失が多くなります。5分づき米であれば、ごく普通の釜で炊くことができます。昔は圧力釜などなかったのです。

したがって主食の基本としては、玄米よりも「5分づき米」を勧めます。5分づき米は確かに玄米と比べ栄養素が少なくなっていますが、それは麦や雑穀を多めに加えることで十分に補えます。幼児から高齢者まで無理なく食べられる主食としては、5分づき米と雑穀の取り合わせが最適です。(※大人だけの家庭であれば、3分づき米も勧められます。)

多種類の雑穀を加える

米が主食として広く日本人の間に普及したのは明治以降で、それまで米は、貴族や武士など一部の上流階級の人々だけが常食できるものでした。一般の人々、特に農民は、麦やヒエ・アワ・キビなどの雑穀を食べていました。米が主食として一般化した後も、農漁村の人々は、米に雑穀や芋・豆などを混ぜて食べていました。荒れ地にも育つ雑穀類は、米に劣らない高い栄養価・生命力をもっており、これによって昔の人々の健康が守られてきたのです。

したがって今、私たちが食事改善において主食のパワーアップを図るには、「雑穀の力」を利用すべきです。米に麦や雑穀を混ぜてみると栄養価がさらに高まり、おいしさが増大することが分かります。風味やコクが加わって、まさに“充実した主食”になるのです。

米や雑穀以外の穀類は、時々に

米は毎日食べても飽きない主食ですが、ときには炊き込みご飯・混ぜご飯・雑炊・おかゆなどのように調理法を工夫すれば、さらに食事が楽しくなります。また雑煮・めん類・パスタ類などを取り入れると、いっそう食欲が増すようになります。

ただし、こうした「バリエーションの主食」はあくまでも時々にとどめます。特に米以外の穀類を使った主食は、うどんやそばなどの伝統的なめん類であっても毎日のように摂ることは勧められません。米に雑穀を合わせたほどの栄養価はないからです。(※めん類は週に1〜2度程度にします。)

毎朝の主食をパンにするようなことをしたら、たとえそれが全粒粉のものであっても“食事改善”は根底から崩れてしまいます。小麦は米に比べて栄養価が低いだけでなく、パン食には動物性食品や油を使った洋風料理の方が合うからです。(※小麦粉に雑穀を混ぜたパンも出回っていますが、食事としては勧められません。ゴマペーストを塗って野菜サンドにしたり、スープを添えるなどすれば軽い食事になりますが、毎日の食事メニューに組み込んでは食事改善はできません。)

アトピー・アレルギーの人は、小麦製品やそばには注意が必要です。アレルゲンテストで反応の見られない人でも、ひんぱんに食べたり、一度に大量に摂ることは避けなければなりません。また玄米もちにたっぷりの野菜や魚貝を加えた雑煮はよい主食になりますが、アミノ酸の多いもち米は、うるち米に比べアレルギーを起こしやすいので、人によってはたくさん摂らないようにします。

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