世界の長寿地域に共通する健康長寿の決め手は、「植物性食品を中心とした食生活」にあった!

コラムNo.48

前回前々回のコラムでは、日本の長寿地域の特徴について見てきました。日本の長寿村と短命村の研究は、“正しい食”についての重要な手がかりを示しています。

一方、世界各地にも、日本の長寿村と同じような長寿地域が存在してきました。そこでは高齢者が畑仕事に従事し、病気もせず、毎日を元気で過ごしています。そして老衰で死を迎えることが当たり前になっています。

世界的な長寿地域と短命地域の食生活の比較研究を通して、食生活と健康長寿の関係が浮き彫りにされることになりました。野菜や果物を多く摂る「植物性食品中心の食生活」が健康長寿をもたらし、野菜や果物を少量しか摂らない「動物性食品中心の食生活」が病気短命をもたらすことが明らかになりました。

ホリスティック食事学で主張する“正しい食”とは、植物性食品を中心とした食生活のことです。“間違った食”とは、動物性食品を中心とした食生活のことです。世界各地の長寿地域の調査研究によって、その見解の正しさが証明されることになりました。人間を健康長寿に導く“正しい食”とは、穀類や大豆・野菜・果物などの「植物性食品を中心とした食事」であることが明らかになったのです。

数十年前より、循環器系疾患(脳卒中・心臓病)の原因として塩の多量摂取が指摘されていますが、「植物性食品を中心とした食事」にすれば、塩の害は取り除かれるようになります。穀類や大豆・野菜・果物・海藻といった植物性食品に含まれるカリウムやマグネシウムなどのミネラルや食物繊維・タンパク質によって血管の健康が維持されるからです。

魚油の中にはEPAやDHAといった成分が多く含まれているため、魚は健康に良い食品・循環器系疾患を防ぐ食品とされていますが、それは「野菜と一緒に摂る」という条件を満たしたときに言えることです。野菜や大豆を食べずに大量の魚を摂り続けるなら、健康にマイナスとなります。魚は刺身にしたり焼いたりして、野菜と一緒に適量摂ったとき、健康に良い効果をもたらすことになるのです。

長寿研究ではしばしば、ヨーグルトなどの乳製品がクローズアップされ、長寿食として推奨されますが、実際にはヨーグルトがストレートに健康長寿と結びつくわけではありません。ヨーグルトを大量に摂り続けても、決して健康にはなれません。「動物性脂肪」と「動物性タンパク質」が過剰になり、かえって健康を損なうことになってしまいます。ヨーグルトの長所は、多量の野菜と一緒に摂った場合にのみ引き出されるのです。

言い換えれば――「健康のためにヨーグルトを摂る必要はない」ということです。ヨーグルトを一切摂らなかった日本の長寿村の老人が、その事実を証明しています。乳製品を摂らなくても、植物性食品だけで骨が強くなることが確かめられているのです。

野菜の栽培に向かない寒冷地域などでは、どうしても放牧に頼らざるをえなくなり、植物性食品の摂取量が極端に少なくなります。そうした地域では、肉や乳製品を食事の中心に置くようになり、決まって短命になっています。この事実から、人間を健康長寿に導く“正しい食”とは――「植物性食品(穀類・大豆・野菜・果物・海藻)を中心とした食事」ということになります。これが人間にとっての正しい食であり、「自然法則(摂理)」に一致した食ということになります。

植物性食品をメインとする“正しい食”を続けてきた所に長寿地域が形成され、反対に動物性食品を多食してきた所に短命地域が形成されてきました。概して長寿地域は貧しい農業地帯で、大豆や野菜・果物を食べなければ生きていけなかったような所と言えます。

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