TECHNIC Ⅱ

絵画技法材料その2
描画材料・技法他
テンペラ
メディウム-容量比で、鶏の全卵1、リンシードオイル0.5、ダンマールニス0.5、食酢少々を全て容器に入れ、ハンドミキサーで攪拌します。続いてガーゼで漉して、卵膜など不用の物を取り除きます。保管場所は、冷蔵庫です。
腐敗し易いので、容器やガーゼなどは清潔なものを使用することと、防腐剤を考える必要がありますが、一般的には酢を用います。その他、市販のテンペラ用の薬剤が画材店で入手できます。また、スパイクラベンダーオイルは、臭いも良いし防腐効果もあります。上述のメディウムに牛乳を少量添加すると画面に光沢が生まれますが、より腐敗し易くなりますので防腐対策をしっかりとる必要があります。
使用する時は、蓋をすることのできるやや深めの陶器の皿に、容量比でメディウム1に対して水を2~3の割合で希釈します。皿を少し傾斜させた中に顔料を入れると、絵の具の濃度調整がし易いです。先ず顔料を水で溶き、よく混ぜてからメディウムを加えます。粒子の細かい顔料は水にエタノールを数滴混合します。
筆で描くだけではなく、やすりを使って研ぎ出したり、スポンジなどでこすりとったり、刃物で引っかいたりなど、油彩では困難な技法を駆使し、様々な効果や画肌を得ることができます。
                 
油 彩
ほとんどテンペラで形や調子を整え、最後に固有色を油彩で彩色し仕上げる場合は、透明性の高い絵の具を使用します。テンペラと油彩を交互に用いる場合、生乾きの油の上にテンペラを乗せられますが、さらにその上に油を乗せる時は、下の油彩の層がある程度乾いてからにしましょう。あまり急ぐと、亀裂が生じます。溶き油はスタンドオイル、テレピンオイル(またはペトロール)、を容量比1:3~1:5の割合に混合して用います。それにダンマールニス加えることもできます。

描画手順(「変わらぬもの」/100P/板・布の場合)
① 下絵などの準備-私のような描き方では、写真だけでは不十分ですので、あらかじめスケッチをしながら対象の細部を観察したり、構図を検討するようにしています。
② 支持体への下描き-鉛筆を使用しています。染料を使った描画材料は、後で表面に浮き出てくることがあるので使用してはいけません。
③ 褐色系の顔料(バーントシエナ、ローシエナなど)を用いて、テンペラで鉛筆による線をなぞり、暗部から、明部の方向に、題材の質感を考え、色を置いていきます。ここでは、モチーフが樹木ですので、堅くざらざらした質感を表すために、筆を支持体に対して垂直に当てるようにします。この際、筆はいたちの面相筆、穂の中ほどで切り落としたものを使い、顔料は、バーントシエナ、アイヴォリーブラックなどです。メディウムは少なめに、つけすぎた場合は布に穂を当て余分を吸収させ、やや乾いた状態で用いるのが効果的です。色数は、先ず形を起こすことに専念するため限られたものにします。コバルトブルーや、青白く反射した部分には、ジンクホワイトとコバルトブルーをあわせたものをかけます。樹木の場合、私は明部にホワイトを用いず、やすりや小刀、スポンジなどを使って白色下地を浮き上がらせるようにします。
④ このままテンペラで仕上げることもできますが、もう少し強い色調が欲しかったので、油彩絵の具を透明にグラッシして仕上げとしています。
               

作品タイトル

テンペラメディウム用材-左、顔料・オイル-右

 

作品タイトル

描画手順①


作品タイトル

描画手順②

描画手順③

 

描画手順④