遠井ロミ、彼女が立花たちの狙っているターゲットだった。
取り立てに行った木元の話では、金を寄越せと言った途端に、逆に脅されたらしい。
「女に脅されて、おめおめ帰ったら、組で何言われるかわかんないよねぇ」
ふっと笑った大下。確かに、その通りなのである。
殺されるのがいいか、それとも組でしめられるのがいいか、それとも。
「その女、このモンタージュに間違いない?」
「は、はい。間違いありません」
「で、お前さんが、拳銃売ったんだよね?」
「はい」
「出所は、組?」
「・・・・・」
「まあ、あとでいっか。とにかく、現逮ね」
「守ってくれるんだろうな?」
「男は守備範囲外」
「そんなぁ・・・」
西條の言葉に、木元が泣きそうな顔になる。
「で、その女、何か言ってたか」
「いや・・・、何も」
「言うわけないか」
その途端、立花の携帯が鳴り出した。
「はい、立花携帯・・・あ、はんちょ・・・・えええええ?」
立花の大声に、西條と大下は視線を向けた。
「ふ、ふ、ふふふふふ・・・・」
電話を切った立花は、乾いた笑いを漏らした。目が笑ってない。
「コウ?」
「立花?」
「ハトさん、出かけたって・・・。どこまで、あの人は・・・」
ミシっと、握りしめた携帯から音が出る。
分かっていたから。
鳩村が出かけた理由が。
多分、自分を囮にした。
「ふざけるな・・・・」
何の為に、自分はいるのか。その存在理由が揺らぐ。
彼にとっては、大門団長が全てなのか。
その尻拭いの為なら、自分の命すら投げ出すのは当たり前なのか。
「やばいぜ、あいつ」
「キレる直前な感じがする・・・」
西條と大下は、そら寒い気配を感じていた。
続いて鳴った携帯は、その最悪の事態を伝える物だった。