まるで七曲署に突っ込むかのように走り込んで来たのは、西部署の覆面車、
スカイラインGT。
だが、運転は大下がしていた。
「規律違反・・・」
ぼそっと呟く水木の声を無視するように、二人はまず五代に会った。
「五代さん、無事ですか?」
「・・・君たちは?」
「自分は西部機動隊の立花功です。こちらは、TOP探偵社の大下さん」
大下は、軽く頭を下げた。
「・・・ああ、僕の後に入ったのって、君なんだ」
五代は軽く微笑んだ後、大下に向かって、言った。
「鷹山さんの同僚ですか」
「ええ。で、状況はどんな感じなんですか」
「狙撃者に、西條さんがいち早く気づいてくれたおかげで、僕は無事でした。犯人は逃走しました。緊急配備を敷いたんですが、まだ確保出来てません」
「・・・西部署、緊急配備甘かったんじゃないの?」
大下は腕組みをして、立花始め、西部署のメンバーの顔を順番にその視線で捉えて行った。
「・・・そう言われても仕方ないわな」
山県も腕組みをして、大下に言った。
そこに、病院から西條が戻って来た。
「よかったよ、実家近くて」
妙におどけた物言いに、大下と立花が、西條を見た。
「・・・オイ、西條、お前やられたのか」
「ドックさん?」
「まあ、ちと掠っただけだ。平気だって言ったんだけど、親父の所に連れてかれてさぁ・・・・」
どうやら、署の近くにある、西條外科医院に連れて行かれて、西條は不満たらたららしい。
「ライフルマークは、確認いつ頃出来るんだ」
大下は、せっつくように西條に言った。
「バカ言うな、すぐにすぐ出来る訳じゃないのは、お前だってわかってるだろが」
「だから、いつ頃って聞いただろ」
「・・・早くとも、あと4時間はかかるだろ」
「おせえ。三時間でやってもらえ」
「・・・お前なぁ・・・」
「鳩村と五代さん、この二人の共通点は、大門軍団しかねぇだろうが。それを中心に洗えばいいだろう」
そこまで言った大下に、山県が
「そんなことは分かりきってる。すでに、ハトが資料の洗い出しをしてる」
と、フォローした。
「よし、一度鳩村の所に戻ろう」
大下は、立花を従えて、七曲署の玄関を出た。
念のため、五代はこのまま七曲署に残る事となった。
「大門軍団を狙った、連続狙撃事件、か」
ハンドルは、立花が握っていたが、口数は遥かに少なくなっていた。
視線は正面。大下の方を見ようともしない。
ふ、と、大下は嫌な感覚を受けた。
「コウ、お前、怒ってる?」
「当たり前です。仲間が狙われたんですからね」
「・・・それだけか?」
「そうですが、何か?」
「・・・いや?」
大下は、立花の危うさに、不安を感じかけていた。