資料室で、大下は考え込んでいた。
「銀星会をぶっ潰したのは俺らだから、そいつらからしたら、俺らは恨む奴はいるかもしれないけど、
400からの的に命中させる腕を持つ奴なんて、いないぜ・・・。やっぱ、鳩村がらみかなぁ・・・」
「一応、やっときましょうよ」
「だな」
しばらく沈黙が走る。
「大下さんは、平気なんですか」
立花が、呟いた。
「ん・・・? 何が」
「俺が、鷹山さんを巻き込んだかもしれないんですよ」
「そういうこともあらぁな。俺が、鳩村を巻き込むかもしれないし」
「俺を責めないんですか」
「・・・お前責めたって、変わんないよ。あとは、タカが気付くの待つしかないし。俺らは俺らで、
出来ることをするしかないだろ」
大下は、資料から視線を外さずに、そう言った。
「大下さん」
「んー?」
「優しいんですね」
「そっかー?」
「それで、何で女性にもてないんでしょうね」
「・・・・果てしなくでっかいお世話だ、この野郎」
大下は、ちらりと視線を上げて、照れくさそうに笑った。
「立花さん、電話ですよ」
暫くしてから、瞳がそう言って、部屋に入って来た。
「あ、はい」
立花は立ち上がり、電話のある部屋へと移動した。
一人資料室に残り、ページをめくっていた大下の耳に、駆け込んでくる足音が聞こえ、ドアが勢い良く開いた。
「ドア、壊れるぞ」
入ってきたのは、立花だった。
「た、大変ですっ。五代さんが狙われたそうですっ」
「五代? 誰、それ」
「昔、ハトさんの同僚だった人で、団長の妹婿ですよっ」
「・・・なんだって?」
大下は、資料をそのままに、部屋を立花と共に飛び出した。