レッドタイガー・惨劇の虎(2)

 

 俺はその司教、堕天使ミカエルに「笑わせるなよー。邪教の堕天使さんよー。

強がりも程々にしておくんだな。お前と同じように大見得を切った司祭

さん達は皆仲良く冥界へと帰っていったぜー」と俺が嘲り笑い飛ばすが

奴は一向に声を荒立てず、あくまでも不気味な笑みで「お前が今倒したと言った

不甲斐ない司祭達は我の弟子達だ!。我が教団を邪教とぬかし嘲りの笑いを

飛ばす不埒な輩を始末できず、オメオメと我が冥界に逃げ帰った不肖の弟子は

師匠である我が始末してきた。見るがよい。あの逆十字に磔けられし司祭を」

と指し示す方を見ると、一昨日俺と闘い逃げ出した妖獣ゼウスのミイラ化した

哀れな姿がそこにあった。

 

俺は「能書きは沢山だ!。さっさとケリをつけてお前が信じる大司教の元へ

送り返してやるぜー。チェーンジ。レッドタイガー」と変身ポーズを取り

まばゆい光に包まれてバトルスーツへと変身を終えて、ファイティグポーズ

で身構えると、ミカエルは「おぉー。それがお前の姿かハハハ。

まるでか細い蜻蛉の様じゃのうー。では我れの真の姿を見せてやろう・・・・」

と言い終わらないうちに先ほどの妖しいオーラがその怪しい光を一段と強めると

背中には大きな黒い羽根を伸ばし、鎖骨の上から大きな長い2本の腕と左右の

わき腹からは長さの異なる3本の腕が伸びた不気味な上半身と馬のような下半身

が露になった。

 

俺は「さすが邪教の堕天使さんだ。化け物そのものだぜー。さっさと元いた冥界に

もどしてやるぜー。たぁー」っと奴の額目掛けて、タイガーキックを放った。

がしかし、俺の渾身を込めたキックを奴は1番下にある片手で軽く跳ね除け

教会の壁に俺は思いっきり背中かから叩きつけられた。

「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」と背中に両手をあてがい、逆海老の様に

仰け反る俺のマスクを掴むと、今度は床に思いっきり叩きつけ馬のようなその

太い足を俺の見事に割れた腹筋の上に落としグリグリと踏みにじる様に

全体重を掛けてきた。

俺は堪らず「ぐおおぉぉぉぉぉぉぉぉ・・・・」呻声をあげ悶えたが

「いい加減にしろよこの化け物がー。食らえタイガーソード」と叫び

ウエストのベルトの横から光に包まれたサーベル状の剣を取りだし、

俺の腹筋を踏みつけてる足の一本を素早く切り落とした。

 

 「ぎやあぁぁぁぁぁぁ・・・・お、おのれ蜻蛉風情がー」

と凄まじいまでの叫びと怒声が教会内に響き渡った。

そして「我が身体を傷つけた罪は償ってもらう」と凄まじい形相になり、

なにやら先ほどの呪文のような祭文を唱え始めた。

すると、俺は「なんなんだ?。か、身体が動かない!。奴に吸い寄せられる。クソー」と

全身に力を込め吸い寄せられるのに抵抗したが、すぐに奴の不気味な

両脇から生えている6本の腕に捕まってしまった。

1番上の手は頭部を掴み、真中の手は両手を引っ張り、そして1番下の手は俺の

1番のウィークポイント・・そう男のシンボルに伸びてきた。