1・1・1 序
第9話
カチャ カチャ カチャ
エース:ありがとう・・・ちょっと待ってくれ・・・・
サトシ:・・・う、うん・・・・
エース:やっぱり・・気のせいではなかったか・・・・・
サトシ:・・・?・・・
部屋の壁を探り、独り言を言うエースを後ろから見つめるサトシ。
見当が間違いではなかったことを確かめたエースはヤプールの発明品の袋から
あるものを取り出した。
サトシ:そ、それは・・・・
エース:あぁ・・・サトシも知っているエネルギーの制御装置だ
サトシ:そ、それが・・・証拠?
エース:気が付いたことがあるんだ・・・
この部屋はヤプールのバリアがまだ維持されている
サトシ:・・・・・・
エース:どうやら、この部屋を自由に出て行くには装置がない状態じゃないと
ダメみたいなんだ
サトシ:なんでそんなこと思うの?
エース:サトシが解放してくれてヤプールを倒しに行くとき、
歪んだ空間に飛び込んだんだ。
だけど、その時に腕が少し壁に触れたんだが、電撃で押し返されてね・・・
サトシ:・・・・そんなことがあったんだ・・・・・
エース:さぁ・・・これを私につけるんだ・・・・
サトシ:そ、それを聞いて・・出来るわけないよ・・・
エース:・・・サトシ・・・・・・・
サトシ:・・・・・?!・・・な、何をやってるの?
エース:さぁ・・・・これで逃げないってわかっただろう?
躊躇するサトシを前に、自らエネルギーの制御装置をカラータイマーに装着したエース。
呆然とするサトシを見つめながら、再び十字架の「牽引」のボタンを自ら押すエース。
光線により十字架に引き上げられ、アンチスペシウム鋼の重々しい拘束が
再びいたるところになされていく。
エース:さぁ・・・サトシ・・・君がしたかったことをするんだ・・・・
サトシ:・・・・僕のしたかったこと・・・・・・
エース:・・・あぁ・・・そうだ・・・・
サトシ:・・・エース・・・・ありがとう・・・
エース:・・・?!・・・サ・・・トシ・・・・・
サトシは知っていたのだ・・・
今、エースのタイマーについている装置が前のものとは別物であることを・・・
それも、特別な機能が備わっていることを。
装置の針が差すのは「seal」という場所だった。
文字通り、エースの意識も体も全てを封印し、仮死状態を引き起こすものだった。
これでサトシが目の前で何をしようともエースには認識できない状態へと
落とされてしまったのだ。
2度も命を助けてくれたサトシに限って酷いことはしないだろうと予想していたのだ・・・
この甘い予想が命取りになろうとは・・・・。
ど、どうしよう・・・でも自由にはできない・・・ → ![](next.gif)
自分の思い通りにするに決まってる! → ![](next.gif)
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