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 2006
 6.29

 週末は半夏生ですが、まだ梅雨ですよね。何かもう真夏のような陽気ですね。 いつもの便りです。

◎『変身!
 先日、谷津田に下りる斜面林の中の鬱蒼とした坂道を歩いていたら、サルトリイバラの蔓が垂れ下がっていた。
 葉の大きいものは10cm以上はある。黄緑色で艶のある葉は、手に取るとツルツルでしっかりとしていた。
 これが、印西地方に伝わる「ばらっぱまんじゅう」のばらっぱ(葉っぱ)です。

・ふと、脇の葉っぱをみると葉脈を残して葉の殆どはなくなっていた。その隣の葉も、またその隣も同じだった。何かの食べた痕らしかった。
 サルトリイバラの葉を平らげている犯人探しをした。
すぐに分かりました。
 半分になった食べかけの葉の裏にこの犯人はいました。 大人になると女性群に大人気の蝶「ルリタテハ」の幼虫がそれでした。
 よく見ると5、6匹はいそうでした。

・1週間ほどしてから、また同じ場所を通り探して見ましたがすでに大人になり飛び立ったのか全く見当たりませんでした。


サルトリイバラ・・・ユリ科シオデ属の落葉つる性樹木。鋭い棘がある丈夫なつるは、猿の行く手も阻むという意味で名がついた。秋に赤い実がなり、木の実を食べて山から生還したという伝説から「山帰来(さんきらい)」の別称がある。この葉でくるみ蒸かした饅頭をばらっぱ饅頭という。(素朴でうまかった。)

ルリタテハ…タテハチョウの蝶。雑木林に多く樹液を吸いに来ている。羽根に瑠璃色の帯がある大変綺麗な蝶である。食草(幼虫のエサ)は、サルトリイバラ等。
   写真をクリックすると、幼虫の写真に替わります
   ルリシジミ

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 2006
 7. 4

 7月4日は「ナシの日」。果物の梨の日です。制定の理由は、説明するまでもなく7(な)4(し)の語呂合わせです。 そういえば知り合いの梨農家のご主人の話を思い出しました。「夏、セミが発生すると梨畑は大変です。梨畑全体がネットで覆われているので、まるで金網でセミを沢山飼っているみたいです。体は勿論、顔や腕にぶつかってくるほどです。」‥と。
 子ども達にとって昆虫採集のターゲットの一つであるセミも梨畑では、害虫になるという。
ところで、益虫(鳥)・害虫(鳥)って何でしょう。

 『テントウムシって害虫?それとも益虫?
◎それは、人にとって役に立つのか、それとも害になるのかです。テントウムシの例でお話します。
・テントウムシにも幾つかの種類があります。種類は、星の数で分かります。中でも数が多いのが星2つの種類のものと星七つの種類のものがいます。
・それと、星10個の種や星20個のものもいます。
・星二つのものや四つのもの、十数個のものなどは、まとめてナミテントウという。
・星7つのものは、ナナホシテントウという。
・星20個のは、ニジュウヤホシテントウ、10個のものをトホシテントウという。
・益虫といわれるのは、ナミテントウとナナホシテントウ等です。作物に被害を出すアブラムシやハムシ、カイガラムシを食べるからです。
・反対に害虫と言われるニジュウヤホシテントウとトホシテントウは、作物の葉を食い荒らすからです。
 特にニジュウヤホシテントウは、ジャガイモ畑の厄介者だそうです。
・因みに黄色い色をしたキイロテントウは、なんとウドンコ病の菌を食べるという。ビックリ!益虫ですね。

テントウムシ…甲虫類テントウムシ科の昆虫。日本では現在約150種が知られている。集団で越冬する。



   
   (てんとう虫の成虫)

   
  (孵化したばかりのてんとう虫)

 2006
 7. 7

 今日7月7日は、24節気の一つ小暑です。梅雨明けが近く本格的な夏になる頃という。
 この日は、七夕です。七夕のうんちくは省き、今回は谷津田と離れた話題を少し。

 『千葉市の市街地が焼け野原になった日!』
◎7月7日は、「七夕空襲」と伝えられている千葉県内最大規模の空襲のあった日です。
 ・1945年(昭和20年)7月7日、深夜1:30にB29爆撃機129機が来襲。投下爆弾889トンによる県内最大の空襲が始まったという。
 約3時間に渡り千葉市の市街地の殆どが焼け、軍都千葉は壊滅したのでした。死傷者は1200人を越えたという。
 ※爆弾の量889トンは、10万人が犠牲になった東京大空襲が1665トンだったので、なんとその半分以上だったのです。
 ・子どもの頃、父親から千葉寺(千葉市)付近の道路脇に遺体が沢山コモ(むしろ)をかけて放置されていたと聞いていましたが、悲惨な状況だったのですね。
 ・6月10日の空襲。敗戦までに計10回にも及ぶ空襲あったのですが、7月7日以外では、6月10日の空襲も悲惨なものだったという。
 以前職場の先輩(女性)から直接聞いたことがありましたが、その日の朝、7時半。今のJR千葉駅前の広場にあった千葉師範学校女子部では、校庭で朝礼をしている最中に爆撃されたと言っていた。逃げ惑う生徒に容赦なく機銃掃射がなされ、8人の生徒、1人の教師、1人の庸員が死亡、負傷者多数であったという。
 尚、この日の空襲で新宿・新田・富士見・登戸・蘇我一帯を焼き尽くしたという。
 ・私は、先輩からこの6月10日空襲の話を聞いてずっと疑問になっていたことがありましたが、最近やっと分かったことがあります。
 それは、米軍が、なぜ学校を襲ったのかということでした。(この時、県立千葉高等女学校【現千葉女子校】も焼けた)
・それは、当時学校は軍需工場の疎開分散工場となっていたことが原因だったようでした。日立航空機会社千葉工場の分工場として毎日3交代で零戦(零式戦闘機)の部品を生徒たちが作っていたのでした。つまり米軍は、学校が工場だったことを察知して狙い撃ちしたのです。


   

   

◆千葉師範学校女子部の記念碑…JR千葉駅前の大通り、京葉銀行前の車道際に空襲で焼けた学校の記念碑があります。もっとも通る人のほとんどが碑のあることも気がつきません。今度、近くに行ったら見つけてください。碑の背が低いので分かりにくいです。

 ・今も世界中で戦火の火がなくなった事はありません。人が生きている限り戦争は無くならないのでしょうか。
 笹に願いをつけるなら‥『永久に殺し合いのない世界を願いたい』‥をつけたい。

 2006
 7. 10

 今日、7月10日は四万六千日という。観音様のご縁日は毎月「18日」と伝承されていますが、これとは別に「功徳日(くどくび)」があります。この日に参拝すればご利益が百日分、千日分あるという。その功徳日の中
でも7月10日は、四万六千日分に相当する日なのです。この縁日に因み浅草寺では「ほおずき市」が開かれています。買ってきた人いますか。

 『鬼灯・酸漿?・・・・』
◎なんと読むのでしょう?すぐに分かったという人は、漢字通ですね。両方の字ともに植物の「ほおずき」と読みます。あの六角形の袋状の実(中に丸いオレンジ色の実が入っている)のなっている植物です。
・ホオズキの名の由来は幾つかあるそうです。その1は「頬突き」で、果実を鳴らして遊ぶ子ども達の頬から。その2は「ホオ好き」で、カメムシの古名「ホウ」がこの植物に集まってくるということから。その3は、見出しの漢字の「鬼灯」で、鬼灯とは、中国では小さい赤い提灯を指す。この提灯に似ているからとの説。
・なお、昔縁日の露店で売られていた「ウミホウズキ」は、全く別物。こちらは、植物ではなく巻き貝アカニシの卵の乾いたものです。

・里山にもホオズキの名のつく野草があります。
 今頃の時期から咲き出しているイヌホウズキがそれです。畑の脇の道や川沿いの場所などにあります。


実が小さくてちょっと見にもホオズキには思えません。
 この種にも在来のイヌホウズキと帰化種のアメリカイヌホウズキがあります。

   
   
写真は、在来のイヌホウズキ

アメリカイヌホウズキ…ナス科の草本。北アメリカ原産で現在では、全国で畑地や路傍に普通に発生する。花は、直径8ミリほどで淡紫〜白色。有毒。
ほおずき市のホオズキは、食用または、薬用であった。現在は、観賞用が殆どである。


 2006
 7. 16

 鹿島紀行をもとに「芭蕉は印西市木下にやってきたのか」とのテーマの講座に出てきた。ちょっとワクワクして面白い話でした。芭蕉は来たのだろうか。ほんとの所はどうだろう。

◎『谷津田を流れる排水路』に沿って歩くと、アシ(ヨシ)の葉がチマキのようにくるりと巻いたのものがありました。クモの一種のカバキコマチグモの巣です。
 アシの葉の奥に止まり「ジッ・ジッ・ジッ・・」と鳴いているのは、キリギリスの一種のヤブキリ。
 垂直に張った網の真ん中にX字のかくれ帯をつけ、中心にどんと控えているのは体長2センチ以上あるコガネグモです。このクモは、蜘蛛合戦で使われる種です。他にも何種かのトンボや蝶が飛んでいました。※クモの体長は、足を除く。
・この水路のあるU谷津も7月15日の早朝からの農薬空中散布(有人ヘリ)の該当地です。となると、今頃(7月16日)は、この昆虫達は、もういないのですね。死!

・家(団地)に帰ってきて、エレベーターホールの壁に何か止まっていた。近づいてみたら、オオツノトンボでした。
 私は初めてみました。何だかチョウとハチとトンボの合体のような体で不思議な気がしました。見たことありますか。


 小さなデジカメでの撮影のため、ピントが甘いのは、了解下さい。

   

オオツノトンボ…ツノトンボ科の昆虫。低山地から山地にかけてのススキの生えた草地に見られるが多くない。幼虫はアリジゴクのように生活するという。トンボに間違えられますがどちらかというとカゲロウに近い。体長22から25ミリ

 2006
 7. 18

 今週は梅雨空が戻っています。でもこれをすぎると本格的な夏になるのでしょうね。また、猛烈な暑さとなるのでしょうか。そうなると連日、市の広報スピーカーから、「光化学スモック注意報」の知らせが流れるのでしょうね。今日7月18日は、「光化学スモックの日」です。

枯れ枝にコブ?』
◎谷津田の斜面林にそった細道を歩くと炎天下で火照った首筋や腕がひんやりとして気持ちが良い。市街地からほんの5分もかからない谷津田の斜面林脇の気温は確実に数度低いのは確かです。
 カーブの場所には、上からクズやツタが垂れ下がり鬱蒼としています。そこには、羽が黒く「神さまトンボ」の名で知られるハグロトンボが乱舞していました。
・カーブを過ぎて、サルトリイバラやトキリマメの蔓が絡んでいる場所から突き出た枯れ枝に目が止まりました。「何だろう?」、地上30センチくらいの所に突き出ていた枯れ枝の途中にコブが見られました。
・近づいてかがんで覗いてみましたら、コブでもふしでもありませんでした。羽化後まもなくのセミでした。枝の下側には、抜け殻がしっかりとついていました。
 薄暗い中でのセミの体は、保護色になっているのですね。ちょっと見てもセミの存在に気がつかないくらいです。 羽化後はすぐには飛べませんので敵に見つからない知恵なのでしょうか。



 ・数枚撮影していると飛び去ってしまいました。
もしかしたらストレスを与えてしまったのでしょうね。飛び去った後、乾いた泥のついた抜け殻をみて種類が分かりました。小型のセミ・ニイニイゼミでした。

ニイニイゼミ…セミ科の昆虫。30から40ミリ。平地や低山地に多く、町中にも見られる。チーチーと一日中よく鳴く。抜け殻は泥に覆われる。


   

 2006
 7. 23

土用丑の日】とは、スーパーの牛肉売り場の張り紙。勿論鮮魚コーナーの脇には、「土用丑の日」の張り紙がいっぱい。今日7月23日は、大暑・土用丑の日でした。ウナギ食べましたか。
 夏バテ防止にウナギを食べると良いとされる「土用の丑の日」の由来は、江戸時代の平賀源内が知人のウナギ屋に頼まれ張り紙を出したことが起源という。
 もっとも、ウナギでなくても【う】の付く物を食べればよいという所もあるので、梅干でもうどんでも何でもいいようですね。
 私は、と【う】ふを食べました。これも「あり」かな。

 『なぜ、光堂というの?』
◎先日、散策会の午後の部に寄った所が、印西市小倉にある通称「光堂」と呼ばれる宝珠院観音堂です。
 室町期の創建と推測される茅葺寄せ棟造りの質素で上品なお堂です。
 内陣には、極彩色で塗られた建物の中央部に、これまた、美しい色彩装飾を施された厨子が置かれています。
・内側の「光り輝く色彩」から付いた名前が「光堂」と思っていたのですが、どうも名の由来は、窓のない堂内の厨子の中に観音が納められており、暗い中で一点の光を持って観音に接するということから付いたようです。

・この堂には、左甚五郎作という「竜の尻尾」があるという話が伝えられている。

※内緒のお話…この観音様は33年に1度のご開帳です。
 普段は、お堂に行っても堂の扉がしまっているので外から見て帰ってくるだけです。月に一度、観音講が開かれます。

 その時なら写真右上のように扉が開いていますので、檀家の人に断ればお堂の中に入ることができます。ただ、観音様は見ることはできません。


   

宝珠院観音堂…昭和9年国宝指定。昭和25年文化財保護法改正により重要文化財に指定。昭和30年厨子と棟札も指定された。

   

 2006
 7. 31

 明日、8月1日は八朔です。贈答をして祝う習俗のある日です。なお、今年の旧八朔は、閏の7月があるため9月22日となります。
※柑橘類の八朔は、文旦と他の柑橘との交配という。旧8月1日頃に食べられるのでついた名前と言われるが、実際の八朔の食べごろは、2月から4月ごろですのでその辺は、よく分かっていません。いつもの便りです。

 『レースが素敵な一夜花
◎市川動植物園自然散策路は、午後7時過ぎ頃から”ホタル”見学の人で混み合っていました。
・自然の谷津をできるだけそのままに保全した散策路には、両サイドの台地からふんだんに水が湧き出ており、小川となって湿地帯を潤しています。
・今の時期は、ここで生まれ育った蛍(ヘイケボタル)を求めて人があふれます。午後7時半ごろから木道の脇の斜面林の裾部やアシ原の中にチラチラと丸い光が見えてきました。人の数の方が蛍のそれよりも随分多いみたいでしたが、それでもそこかしこに光る幻想的な光に歓声があがっていました。
・途中、つる性の植物に花が幾つも咲いているのが見られましたが、殆どの人は、暗闇の中に咲く真っ白でレースのような花に気が付かないようでした。
これこそ、夏の里山の夜の女王とも言える「カラスウリの一夜花」でした。


 早朝には、しぼんでしまい花の存在すら気づかないといわれるこの花は、何度見てもうっとりしてしまいます。

   
  
※花の大きさは、全体で約10cmぐらい。

カラスウリ…ウリ科カラスウリ属の植物。秋に赤く熟す実はよく目立ち、皆知っているが、夏の夜暗くなってから咲き、翌朝しぼむレース状の花はあまり知られていない。種の形が大黒様とか蟷螂の顔とかに似ていて面白い。


 2006
 8. 3

 セイタカアワダチソウ(通称、キリン草)というと、花粉症のあれ?‥と聞き返す人が案外多いが、花粉症で指摘されているのはブタクサであって、この種ではありません。秋になると2メートルを超える茎上部に黄色い花をつけその群生する様は、綺麗で雄大です。
 このセイタカアワダチソウは、北米原産の帰化植物です。戦後日本全国に広まっていったのですが、その広まった原因には、養蜂用(はちみつ採取用)によいとのことがあったそうです。今日、8月3日は、「はちみちの日」です。由来は、勿論8(はち)3(みつ)の語呂合わせです。ちなみに、みつばちの日は、3月8日でした。

 『草深の森親子生き物探検隊に同行して』
◎7月の下旬、印西教育センター主催の観察会に市広報のレポーターとして参加しました。
・森林インストラクターの方々のガイドで午前中、草深の森の中で自然観察、午後は、館内で丸太切りが行なわれました。
・森の散策では、前に「たより」に載せたことがある昆虫・オオヒラタシデムシに「キャー」とか、「何これー」といいながら棒で突いたり、手のひらに乗せたり大はしゃぎでした。
    
シデムシをつつく子ども達
   


・午後の丸太切りは、どの子も初体験のようで最初は四苦八苦していましたが、終わりの頃はいっぱしの「杣人(そまびと)」に変身。どの子も切り終えた汗一杯の顔はいい表情でした。
・それから、森から館に戻る途中、インストラクターがやって見せていたカタバミの葉で10円玉をこすると、とても綺麗になったのは面白かったですよ。
    
カタバミの葉で磨いた10円玉
   

・この取材は、印西市の広報10月15日発行号に掲載予定です。

オオヒラタシデムシ…シデムシ科の昆虫。草地や森にすみ、動物の死骸等に集る。森の掃除屋さんと言われている。05年7月16日のたよりも参照。)
 ここをクリック

カタバミ…カタバミ科の野草。道端や空き地に普通に見られる。葉は、ハート型。ロケット型の小さな実ができる。葉にも実にも全体にシュウ酸を含み、この作用で10円玉が綺麗に磨ける。


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