ウエットランドガイド・阿部純の谷津田だより　　　

ウエットランドガイド　阿部　純

	－ページ〔１〕-	谷津田だよりのトップへ戻る
2004 1.15	谷津田 ◆谷津田とは、北総台地特有の台地に刻まれた谷を谷津といいます。その谷津に作られた田を谷津田といいます。　地域によっては、谷戸とか棚とか言います。（谷戸や棚は、もっと傾斜のきつい谷。そこに作られた田を、谷戸田、棚田と呼びます。本来は、湧き水と雨水で稲作のすべての水をまかなったのです。今は、違いますが。サケの遡上　 ◆12月の初旬に印西市の松山下公園の下の谷津田にサケが遡上し、産卵しました。推定で20尾程でした。新聞や、ＴＶの取材もありました。あの、ケビン・ショート氏も見学に来たんですよ。見学した方ありますか？
2004 1.16	ノスリ ◆講座の日も、小倉台の自宅から中央公民館に向かって自転車で出かけたのです。松山下公園の下の谷津田まできたら、ものすごい風でハンドルを取られて進めませんでした。諦めてバスにしました。　そんなすごい風の中を、１羽のノスリ（タカの一種）が１０羽以上のカラスと大空で争っていました。戦いは、どうやらカラスたちの圧勝のようでした。　ノスリは追われてどこかに行ってしまいましたこんなドラマが谷津田の上空でしょっちゅう行われているんですよ。
2004 1.17	サケの遡上口 ◆昨日のメールで印西市の谷津田にサケが遡上したと書きましたが、川に入ってきた入り口は、ＩＴ講習会をした部屋の窓下の（手賀沼の）排水路なのですよ。 ◆サケは、毎年利根川を遡上しているのは、確認されています。ただ、今回確認された印西市の小川（亀成川の支流で浦部川という）のように幅が狭いところでは、２メートルにも満たないような川に遡上し、しかも産卵が確認されたのは非常に珍しいことです。　北里大学水産学部のＩ助教授は、「スニーカーでサケの産卵が見られるなんて岩手やアラスカに行かない限りないことです。いくつもの偶然（ラッキー）が重なっての産卵です」とコメントを寄せています。確かに、水は澄んで見た目にもきれいになっています。（COD ８mg/l）　下水整備や合併浄化槽で排水がきれいになっているのは確かです。その他に河川の護岸や川底の状況、流入水や植物、水棲昆虫等の諸条件がすべて関係していると思います。 ◆皆さんは、アカガエルをご存知ですか。男の方なら、子供の頃捕まえて、ポケットから急に取り出し女の子を脅かしたり、膨らませて遊んだり、中には焼いて食べたなんて方もあるかも知れません。	皆さん達多くの方は、今も、「谷津田に行けばアカガエルやトノサマガエル（トウキョウダルマガエル）がうるさいほど鳴いている。」と思っているのではないでしょうか。しかし、今そのアカガエルは、印西市から絶滅しかかっているし、いわゆるトノサマガエルもほとんど見られなくなっているのです。それだけ、いつのまにか環境が変わってしまったのです。　　　　　※2005.1月の護岸改修で様変わり！　　　　写真は　こちら
2004 1.18	カワセミ ◆Ａさん、Ｉさんメールありがとうございました。　Ｉさんのメールにカワセミのことが出ていましたので今日は、カワセミについて紹介します。〈カワセミ…翡翠と書く。宝石の翡翠（ヒスイ）は、カワセミの背中の色に似ているので翡翠（ヒスイ）という名がついたといわれている。〉　今、カワセミがよく見られるポイントを（内緒で？？？）４箇所紹介します。 ①千葉ＮＴ駅南のニュータウン大橋（内野小学校の西にある大きな橋）の下あたり…戸神調整池：　★ほぼ、いつでも見れますが、距離が遠く双眼鏡がいります。 ②東京基督教大の下にある谷津田を流れる戸神川…基督教大の正門の脇から斜面、林の中の道を降りて谷津田に出ると戸神川にぶつかります。橋がかかっている左手あたり。　★大体、いつも見られます。ただ、数箇所を移動していますのである程度時間がかかります。 ③木刈中学校の脇の浦幡公園…公園内にある調整池　★最近あまり見られませんが、粘ればきっと見られると思います。	④亀成川　・・・木下街道　木下に向かって亀成橋を超えたら信号を右折して300ｍくらいで亀成川にぶつかります。（青年館の南）　そのあたりで川岸をきょろきょろしてみましょう。見つかるかも知れません。なにしろ、生きものですのでカワセミさんのご都合もあります。見れるかどうかは、運次第。見れなかったらごめんなさい。いずれにしろ、小さくてもよいので双眼鏡があるといいですね
2004 1.20	メジロ ◆冬は、昆虫も木の実も少ないので、椿や山茶花の花の蜜が野鳥にとって大切な食料です。椿の花には、ヒヨドリやメジロがやってきます。　ウグイス色で目のまわりに白い輪があるのが、メジロです。 ※写真はこちら	（よくウグイスと間違えられます。ウグイスは、もっと地味でめだちません。）　今の時期、ヒヨドリやメジロが庭や、生垣、街路樹などできっと見られると思います。　パソコンで目が疲れた時にでも、ちょっと外に目をやって小鳥たちを探してみませんか。
2004 1.23	結縁寺の谷津田 ◆Ｓさん、「谷津田だより」読んでいただきましてありがとうございました。　Ｓさんが歩いている結縁寺の谷津田は、市内でも自然の状態が大変よく残っている場所の一つと思います。　春には、アカガエルの卵が見られ、夏にはチョウトンボ（蝶みたいに見えるトンボ）が見られたところです。　ただ、今、谷津田の真ん中を流れる小川（排水路）の改修工事をしていますので今年はどうなるか？　それから、今の時期猟銃を持って歩いている人がいます。派手な格好をして歩くのが正解ですね。　ちなみに狩猟期間と狩猟場所を参考に書いておきます。狩猟時期　１１月１５日～２月１５日狩猟場所　市街地及び狩猟禁止地区を除く場所 ※上記の狩猟時期以外でも害鳥獣駆除の場合は行われています。　とにかく気をつけてください。	オオイヌノフグリ寒い日が続きますが、先日戸神川に沿って歩いたら早くもオオイヌノフグリの小さくて可憐な花がいくつか咲いていました。
2004 1.25	農閑期の谷津田 ◆今日、サシバ（渡り鳥の鷹の一種）の巣営木の調査に谷津田を３カ所歩いてきました。風は冷たかったですが、陽だまりなどはポカポカと温かく気持ちが良かったです。　谷津田は、農閑期ですので静かです。たまに散歩をしている人に会うくらいです。干上がった田にある二番穂の実を狙ってキジバトなどの鳥が来ています。	又、田と田の間や斜面林の裾の湿地に生えているアシやススキの枯れた穂には、スズメやホオジロ科の鳥がやってきています。　印象に残ったのは、谷津田の中と脇を流れる小川の水が澄みとてもきれいでした。寒いのにコエビやカワニナ（ゲンジボタルの餌になるという巻貝）などが活動していました。
2004 1.28	印西の谷津田 ◆印西には、まだ自然が残っています。それは、ニュータウンの開発が、台地部分から宅地開発していったからです。そのため、谷津田は開発されずに残っているのです。比較的、駅や市街地に近いところにも、里山といわれる昔から人の手が加えられながら続いてきた自然がある理由です。市川市や松戸市などは谷津田がもうありません。　市川市でかろうじて残っているのは、市川動植物園の自然観察路として残されているものだけです。　松戸市の２１世紀の森も谷津田を残して公園にしたものです。鎌ヶ谷市では、鎌ヶ谷駅の西側の谷津は、現在開発され消えてしまいました。一部が貝殻山公園として残っているくらいです。　そのことから、考えると印西の自然は本当にすばらしいと思います。子ども達や孫達に残していきたいものです。　でも、その印西の谷津田を中心とした自然も少しずつダメになっています。	それは、農家の方々の高齢化により谷津田の最奥部の田が放棄され陸地化してしまい、湿地が減少していることです。それと、放置された荒れ放題の斜面林です。　また、最近では谷津田に続く斜面林の中に不法投棄されたゴミの山も問題です。家電や家具、中には車もあります。それに、私たちの講習会でもっとも大切なパソコン等のＩＴ機器もあります。見ていると情けなくなってしまいます。せっかくのゴミリサイクル法が何にもなりません。それどころか法が施行されてから投棄が増えているのですから。　ちなみに千葉県は、ゴミ不法投棄全国ワーストワンなのです。　でも、最近は里山を散歩したり、探索したり、観察や調査をする人たちや子ども達が随分増えたようです。一人でも、多くの市民が里山に出かけ、いい空気をいっぱいに吸って、野の花や樹木、蝶やトンボなどの昆虫、野鳥なども見たりして、それらの話題を多くの人に提供するようになれば、印西の自然は守れるなあと思っています。
2004 1.30	タゲリ ◆今、谷津田は一年の間で一番静かな時です。たまに散歩をする人に会うか、夕暮れ時に枯れ草を燃やしている農家の方を見かけるくらいです。　でも、その静寂の世界の中で、オオイヌノフグリは可憐な花を咲かせ、ナナホシテントウは、忙しく飛び回っています。小川の水の中では、コエビが泳ぎまわり、田の脇の土手にはモグラ塚がたくさんありました。　昨日、基督教大の下の谷津を流れる戸神川に沿って歩いたところ、脇の田の少し水が残っている所に、タゲリというチドリの仲間の鳥が何羽もいました。タゲリは、ハト位の大きさで頭に黒くて長い飾り羽をつけた全身が緑がかったきれいな鳥です。３月位まで日本で過ごし、４月位になると繁殖のために主にユーラシア大陸中部から西部に繁殖のため帰ります。
	トップページに戻る　　　次へ進む