ヴァレンタインが嫌いな我が悲しき同志たち悲しい人たちが、「ヴァレンタインなんて下らん」という理由付けに使われる定番文句。でも、悲しいかな、これ嘘です。
確かに聖ヴァレンタインさんと日本のヴァレンタインデーは関係ありません。これほんと。でもって、日本のお菓子メーカーが1958年にヴァレンタインには女性から男性にチョコレートを、とわけのわからんたわごとを言いだしてすばらしい提案をして、鬱陶しいことに当然のこととしてそれが定着した。これも本当です。でもね、日本だけじゃないんです。
ヴァレンタインの由来には諸説ありまして、その中にフランス・ロレーヌ地方でさかんだった「ヴァランタン」の祭りがあります。
これはどんな祭りかというと、まず2月14日頃、村の男たちが集まって「フェール・レ・ソデー」という一覧表を作ります。これはつまりカップルの一覧表なのですが、男が一方的にお似合いだと思うカップルを決めていくので本当のカップルであるとは限りません。時には製作段階で男から「ちょっと待ったコール」もあったらしく、相当いい加減なものだったようです。そして、祭りの当日、(女性の)感歎と(女性の)失望の声のもとソデーを発表し、このカップルは一年間恋人としてお付き合いをしなければならない、という婦人活動家が聞いたら革命起かしかねない祭りでした。
しかもこれはまだまともな方で、地域によってはくじでソデーを決めたり、さらにはその日の最初に出会った異性とカップルになる、というとんでもねーのもありました。だから本物のカップルは事前に落ち合う場所を決めておく、といった自衛手段をとったそうです。このカップルの男性をヴァランタン、女性のことをヴァランテーヌといいます。もっとも、「恋人のお付き合い」といってもささやかなもので、ヴァランタンからヴァランテーヌに簡単な贈り物をしたり手紙を送ったりするという程度のものでした。また、拘束期間は一年だけですが、たいていはそのまま結婚となったそうです。
そしてイギリスの宮廷では、この贈り物に宝石や手袋などを贈っていました。しかし最近ではそういう高価なものを贈るのではなく、熊のぬいぐるみやハート型のチョコレートを贈るようになりました。えぇ、ハート型の、チョコレートです。まぁ宝石送るよりも手軽だし、自作(というか加工)も簡単だからでしょう。まあ、贈り物はしますが別にチョコレートに拘束されず、またどっちがどっちに送っても良く、ただチョコレート送ることが多い、という程度ですが。
また、自作といえば恋歌を書いたヴァレンタインカードを贈ることもあり、1669年には歌心のない人のために「ヴァレンタイン詩作教本」というものも発行されました。ちなみにクリスマスカードを送る習慣ができたのは1846年(現存最古のクリスマスカードは1843年)ですからこちらの方がはるかに長い歴史があります。
…まぁ、どっちも俺には関係ないよ。