2005年6月9日
神奈川県知事 松沢成文 様
住基ネット問題神奈川県連絡会
〔連絡先省略〕
住基ネットに関する申し入れ書
貴職は「住基ネットの見直し」をマニュフェストに掲げて知事に当選しました。ところが、知事就任以降の貴職の住基ネットに対する姿勢は、限りなく現在の住基ネットのあり方を追認するものとなってしまっております。
私たちの会は、これまでも貴職に対して住基ネットからの離脱も含む「見直し」を提言してまいりました。ご存知のように5月30日、金沢地裁は住基ネットから市民が離脱する権利を憲法が保障している旨の判決を下しました。この判決の画期的な点は、憲法13条において自己情報コントロール権を権利として認定し、住基ネットにおける本人確認情報がこの自己情報コントロール権の対象となることを認定したこと。さらにそういう意味から住基ネットは住民の自己情報コントロール権を侵害していることを認定したことです。
これはまさに「住基ネットの見直し」を法的に裏付ける内容の判決であり、貴職の当初の公約を後押しするものと言えます。是非とも住基ネットに対する現在の姿勢を再考していただきたい。
また、神奈川県は、横浜市から非通知申出者(=不参加者)のデータを削除するよう要請されていたにもかかわらず、この要請にこれまで応じてきていません。まさに金沢地裁判決は、不参加を希望する住民の本人確認情報を都道府県と全国センターが保有していることを違法であると断じ、削除すべきであることを認めました。この判断に沿えば、横浜市からの削除要求を認めることは至極順当なこととなります。
残念ながら5月31日に名古屋地裁は金沢地裁とは正反対といってよい内容の判決を下しました。今後も各地で住基ネットの判決が下される予定ですが、金沢地裁判決の輝きは現在においても減じているわけではなく、司法においても判断の分かれるところであることの証左と考えられるのではないでしょうか。だとすれば、貴職が金沢地裁の判決を踏まえて積極的に住基ネットの見直しを行ったとしても市民は納得すると考えます。以上のような認識に立ち、以下の事項を申し入れます。回答は6月24日までにお願いします。
記
1.金沢地裁判決を踏まえて、神奈川県として住基ネットからの離脱を含む住基ネットに対する見直しを検討すること。
2.金沢地裁判決を踏まえて、横浜市からの住基ネットに対する不参加者データの削除要求に応じること。
以上
- 1及び2に対する県側の回答
住民基本台帳ネットワークシステムにおいては、制度面、技術面、運用面から必要な本人確認情報保護措置が講じられているものと認識しておりますが、県といたしましては、今後とも住民基本台帳ネットワークシステムのセキュリティの向上に努めてまいります。
また、本人確認情報を削除することは、制度上想定されていないことから困難です。
なお、横浜市の住民基本台帳ネットワークシステムへの参加につきましては、平成15年4月9日に、総務省、神奈川県、横浜市、指定情報処理機関の4者で、横浜市民の全員参加を前提に、段階的に参加することを合意しておりますので、横浜市に対して、合意内容に沿って全員参加するよう働きかけを行っているところです。
Copyright(C) 2005 やぶれっ!住基ネット市民行動
初版:2005年08月14日、最終更新日:2005年11月06日
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