横浜市住基ネット条例に対する私たちの考え方(声明)
11月22日、中田横浜市長は住基ネットに係る本人確認情報等の保護に関する条例を市議会に提案することを発表しました。私たち横浜市民が条例の具体的項目を目にしたのは、11月29日で、条例案に対する請願・陳情の〆切は12月2日というほとんど検討する期間もない中で12月6日に審議入り、19日には採決がなされようとしています。多くの市民が全く条例案の内容をしらないまま、市民の関心の高い住基ネットに関して条例が策定されようとしていることは遺憾なことです。条例策定にあたっては市民の声を聞くべきだと考えます。
私たち市民の会は12月2日に条例案に対して別紙のような陳情を市議会議長あてに提出しました。陳情の趣旨は、条例制定を拙速に行わないようにすべきであるというものです。理由はいくつかありますが、この条例制定を横浜市民全員の参加の布石とすべきでないという点が最大のポイントです。住基ネットの構造的問題、国段階における個人情報保護法の不在など、この条例制定をもって横浜市民の全員参加を決定する材料とはならないと考えます。
さらに、中田市長は全面参加の条件として5条件を示しましたが、この条例では「不測の事態に対する自治体の調査請求権がない」「職員の不正使用に対する罰則規定がない」の2点について規定を盛り込んでいます。しかし、条例では不測の事態に対して「調査及び報告を求めることとする」とありますが、国等の機関がそれに応じるしくみが存在するわけではない以上とても「権利」と呼ぶべき代物ではありません。しかも調査対象に指定情報処理機関が含まれていません。また、職員の不正使用に対する罰則規定を設けても、過去の情報漏洩事件を見てもわかるように万全なものではありません。
杉並区住基プライバシー条例との最も大きな差異は、杉並区の場合は、不適正な利用により区民の「基本的人権」が侵害される「おそれ」のある場合という可能性をも条項化し、それに対する区長の必要な措置を規定しているのに対し、横浜の場合は、「本人確認情報等の漏洩、滅失及びき損の防止」などの本人確認情報の適切な管理のために必要な措置の必要性を一般的に規定するに止まっています。杉並区は市民の「基本的人権」の侵害を可能性のレベルまで規定している点で横浜市とはレベルの差があると言わざるをえません。
「横浜市本人確認情報等保護審議会」についても任期2年の委員の任命は市長に委ねられており、客観性・公平性が担保されるのかどうかはなはだ疑問です。
もともと住基ネットに内在する様々な問題点を市長自らが認識し、問題提起していたのですから、こうした条例制定によってそれらがクリアーされるとは到底考えられません。
よって拙速に条例策定をするのではなく、市民の各層から幅広く意見を聴取し、意味のある条例を制定すべきであるというのが私たちの態度です。
2002年12月9日
住基ネットに「不参加」を!横浜市民の会
Copyright(C) 2005 やぶれっ!住基ネット市民行動
初版:2005年08月14日、最終更新日:2005年11月05日
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