行殺(はぁと)新選組りふれっしゅ 近藤勇子EX
第五.五幕『極秘指令、坂本龍馬ヲ暗殺セヨ!(前編)』
■初めて近藤勇子EXを読む人(解説) ■常連さん(本文から)
◆新撰組(高台寺党とも呼ばれる) 屯所:東山 高台寺月真院 組織
谷3姉妹の長女で山南LOVEなナイスバディのお姉様。スカートの丈は新選組で1・2を争う短さである。でも大人になっても消えない顔のソバカスを気にしていて、前髪を長く伸ばし隠している。かなりキツい性格をしており自分より弱い者は認めない。種田宝蔵院流槍術の達人。原田沙乃の槍の師匠。新選組の槍術師範だが、教え方はスパルタ。元キャラは谷三十郎。
次女で神明流剣術の達人。大坂に道場を持っている道場主。姉と比べると性格は穏やかでおとなしめ。顔のソバカスは3姉妹の中でも一番少ない。主に諜報を担当している。元キャラは谷万太郎。
姉2人とかなり年の離れた三女。まだ幼い。マスコット的存在。剣術も槍術も未熟だが、容姿がかわいらしいのと強運の持ち主なので、試合すると割と負けない。元キャラは近藤周平(近藤勇の養子になった際に改名した。改名前の名前は不明)。
メガネの似合う知的な美少女。彼女も山南LOVEであり、三十華のライバルである。胸がないのを気にしている。蘭学者で蘭方医である。武器は手製の手榴弾で、それを袂(たもと)から取り出してポイポイ投げるという芹沢と並ぶ迷惑攻撃な人である。洋式銃も使う。でも武術は苦手。元キャラは武田観柳斎。
伊東甲子の妹。控えめで丁寧な性格で礼儀正しい正統派の美少女。酒に凄く強いが、酔うと性格が変わる。神道無念流の免許皆伝。元キャラは鈴木三樹三郎。
(※ここから本編) 慶応3年9月。 俺たち新撰組が、本家新選組から分離してから半年が経(た)った。 「うーむ」 竹箒(たけぼうき)で庭を掃きながら唸(うな)る俺。秋なので掃除しても掃除しても次から次から枯れ葉が落ちてくる。庭掃除は副長の日課だ。箒で庭を掃きながら様々な事を静かに思い巡らすのだ。一見、風流な様だが、落ち葉と一緒に集まって来るのは金属製の空薬莢(からやっきょう)。高台寺の庭では洋式銃の訓練が行われる為、落ち葉に混じって空薬莢が転がってるのだ。落ち葉は焚き物として使うし、空薬莢は銅板を延ばして再利用する。実にエコロジーだ。 「誠、どうかしたの?」 俺と一緒に庭の掃除をしてたへー(※藤堂平(たいら))
(後編に続く・・・ような気がする)
(今回のネタバレ) :姉の甲子が、江戸の佐賀町の伊東道場(北辰一刀流)を継ぐ為に嫁(とつ)いで苗字が変わった為だ。 伊東甲子太郎の本名は、鈴木大蔵です。伊東道場を継ぐために婿養子になって伊東大蔵と苗字が変わりました。更に新選組入隊時に甲子太郎(新選組に入隊した年が甲子の年だったから)と名前も変えた為、最終的に伊東甲子太郎という名前になったのです。 :鈴木美樹 鈴木三樹三郎。最初の名前は鈴木多聞(たもん)。寺内家に養子に行き、大酒のみだった為、離縁され、鈴木家にも戻れなかったので三木荒次郎と名前を変え、新選組加盟時に三木三郎と名前を変えている。御陵衛士になった時は三木和泉と名前を変え、戊辰戦争で赤報隊に入った時は鈴木三樹三郎忠良と名前を変え、明治時代になってからは、鈴木忠良と名前を変えた。兄よりも名前の変わった回数は多いのである(まあ、兄より長生きもしてる)。 :寝るときすらレミントンのリボルバーを手放さなかった 高台寺党の面々は、新選組の夜討ちを恐れて、寝るときも刀を抱いて寝たのだそうな。 :昔ながらの色仕掛け大作戦 伊東甲子太郎は島原の花香太夫を身請けしており、休息所に住まわせていたのですが、この休息所は伊東派の会合の場所(さすがに屯所でそういうヤバい話はできない)になっており、また、見込みのある新入隊士のお相手を花香太夫にさせていたらしい。つまり伊東甲子太郎は、自分が惚れて花香太夫を囲っただけではなし、最初からそういう目的で花香太夫を買った可能性があります。と、いうわけで、この色仕掛け大作戦は史実に基づいた私の創作です。 :土方の東下 史実です。慶応3年の9月に、土方歳三は隊士募集の為に江戸に下ってます。 :武士は東国に限る 近藤勇の書簡にこの言葉があります。 :それに伴い、薩摩軍が相国寺に駐屯してます。 すいません。実は薩摩軍の入京は、もう1カ月後なのですが、話の都合上、早めました。 :島津の久光公は、一時期、京都守護職を望んでおられたようだからね。 史実です。 :「山緒です」 新見錦が切腹させられたと言われている料亭ですが、この話も子母澤寛の創作である模様。 「近藤さんが最近、胃を患(わずら)ってるしくて・・・」: 実は史実で、近藤勇は胃痛持ちでした。元治元年の江戸下向の際に、松本良順から胃痛の診察を受けてます。
(おまけのSS) 【坂本】おい! 【島田】何だ? 【坂本】俺の出番がないぜよ! 【島田】出番が来たときは、暗殺される時だぞ。 【坂本】・・・・。
(あとがき) 近藤勇子EXを書いていた時、島田の方の新撰組の方の人員不足を解決する為、旧伊東派を吸収合併(元々高台寺党の面々は伊東派)させたのですが、近藤勇子EXの世界では島田が伊東甲子を斬ってしまった為、伊東派がそのまますんなり島田の下に合流したとは考え難い。近藤勇子EXを書いた当時の私は、そんなに深く考えてなかったのですが、今になって、そのおかしさが気になって来ました。 特に伊東甲子の実の妹の鈴木美樹(第7幕『剣林弾雨の鳥羽伏見』(後編B・新しき世界へ)の中で名前だけ出てる)がすんなり高台寺にやって来て、島田の部下になったとは、どう考えても考えられない。つーかあり得ない。 そこで私は、なぜ鈴木美樹が島田の方にやって来たのかを一生懸命考えてみた。 考えた結果、この作品の前半部分を構成するアイデアが浮かんだのです。 ならば、この理由を近藤勇子EXで活かしたい。何か、高台寺党分離後、油小路の戦いの間にSSが書けそうなイベントはないか・・・そう! 私はついうっかり坂本龍馬を暗殺するのを忘れてたのですよ。じゃあ、坂本龍馬を暗殺するついでに、この事を書いてしまえい。と。そんなわけで後編では坂本龍馬暗殺事件を扱う予定・・・何か、全然前編じゃないような気がして来た・・・。ま、いいか。 しかし、行殺のゲーム中で、へーちゃんが伊東の事をやたらと恐れていたりするし、伊東は近藤さんを手籠めにして土方さんを斬らせようとしたりするし、島田を色仕掛けで落そうとするし、これぐらいの事は、やりそうだと思いませんか? 自分の妹と弟子すら色仕掛け大作戦の駒として使って、派閥を急速に拡大する・・・う〜む、伊東甲子のファン(いるのか?)から斬られそうな予感。
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