1月26日(火) “〈『長崎新聞』『中国新聞』より−〉在韓被爆者集団訴訟 国と和解 長崎と広島で”

 韓国にお住まいの被爆者の皆さまが、国に慰謝料などを求めた「国家賠償請求訴訟」で、19日に長崎地裁、25日に広島地裁で、それぞれ和解が成立しました。

 これは2008年8月に、厚生労働省が

「1974年の旧厚生省局長通達(402号通達)を理由に、健康管理手当を受給できなかった在外被爆者」
に対して、
「一律に国家賠償を支払う」
ので、
「在外被爆者は『国家賠償請求訴訟』を起こしてください」

…と求め、

それに応じて、同年末に、在韓被爆者の皆さまが起こした訴訟です。
(書いていて頭が少し混乱します^^;) → 2008年8月9日付

 北米にお住まいの被爆者の皆さま、そして私たち在ブラジル被爆者も同じ訴訟を提訴しています。

 20日付『長崎新聞』、26日付『中国新聞』がそれぞれ報じてくださいました。
 以下に紹介しますので、ご一読ください。

(ホームページ管理者)

  在韓被爆者集団訴訟、長崎でも和解 国が1人当たり110万円支払い
(「長崎新聞ホームページ」1月20日付から全文抜粋)

 日本を出国すれば被爆者援護法の健康管理手当などの受給権を失うとした旧厚生省の通達(2003年廃止)によって援護の枠外に置かれ、精神的苦痛を受けたとして、在韓被爆者が国に慰謝料を求めた集団訴訟は、長崎地裁(須田啓之裁判長)で19日、1次提訴の原告127人について国が1人当たり110万円を支払うことで和解が成立した。在韓被爆者が長崎、広島、大阪の3地裁に提訴した一連の集団訴訟では、昨年12月の大阪地裁に次ぐ和解となった。

 110万円の内訳は慰謝料100万円、弁護士費用10万円。これと別に、国は通達廃止翌日の03年3月1日にさかのぼり、年5%の割合で遅延損害金を支払う。実質的な原告勝訴の内容だが、和解条項に国の謝罪の文言は盛り込まれず、弁護団長の在間秀和弁護士は「今後、国会質疑の場で厚労大臣の謝罪答弁を求めたい」と話した。残りの原告も順次、和解の見通し。

 127人は、08年12月に提訴した130人のうち、本人死亡で訴訟継承の手続きが必要な遺族などを除く原告。訴状によると、原告らは強制連行などで長崎、広島で被爆し、帰国。1974年に出された通達で手帳取得や手当受給の申請を断念せざるを得ず、通達廃止まで健康面や経済面に不安を抱えながら生活することを余儀なくされた、などと訴えていた。

 厚労省は、通達の違法性を認めた07年12月の最高裁判決を受け、日本にいないことを理由に手当を受給できなかった在外被爆者が国家賠償請求訴訟を起こし、裁判所が事実認定することを条件に、賠償に応じることを決めている。

 集団訴訟をした韓国原爆被害者協会からはこれまで、3地裁に計2421人が提訴。このうち長崎地裁には釜山、慶南両支部から第1〜4陣の計856人が提訴した。

 厚労省は「まだ訴訟が続いている原告もおり、被爆の事実など要件に当てはまることが確認されれば、速やかに和解を進めていきたい」とコメントした。

  在韓被爆者が国と和解 広島
(「中国新聞ホームページ」1月26日付から全文抜粋)

 国外に居住していることを理由に、健康管理手当の支給を打ち切られるなど被爆者援護法から切り捨てられ、精神的苦痛を受けたとして、在韓被爆者が国に慰謝料などを求めた集団訴訟は25日、広島地裁で、1次提訴の原告128人について国が1人当たり110万円を支払うことで和解した。

 一連の訴訟で、和解が成立したのは大阪、長崎に続き3例目。広島地裁では、さらに2〜5次までの計424人が係争中で、米国やブラジルなどに住む被爆者382人も同様の訴訟を起こしている。

 広島市中区の広島弁護士会館であった記者会見に出席した広島、長崎訴訟の弁護団長、在間秀和弁護士は「提訴から1年余りと早かった」と国の対応を評価。一方で「本来なら国が積極的に在外被爆者を捜し出して賠償すべきだ」と述べ、提訴を賠償の条件とする国の姿勢を批判した。

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