7月31日(木) “〈『共同通信』『時事通信』『中国新聞』より−〉「来日できない被爆者への手帳交付申請却下は違法」在ブラジル被爆者訴訟、広島地裁判決”

 ブラジル在住の被爆者2名(いずれも故人)が、訪日できないことを理由に、広島県から被爆者健康手帳の交付申請を却下されたのは違法として、遺族が却下処分の取り消しや国家賠償などを求めた訴訟の判決が31日、広島地裁(能勢顕男裁判長)でありました。

判決で、能勢裁判長は、却下処分を取り消し、国に賠償を命じました(原告勝訴)

 このニュースは同日、主要メディア各社が報じてくださいました。

 裁判の焦点は「来日要件」でした。報道によると、能勢裁判長は「一定の合理性」を認めながらも「例外を認めないのはあまりにも形式的」との旨を指摘したそうです。

「来日要件」について(※内容は2004年9月に作成したもので、現在の状況を表すものではありません)

 なお、亡くなられた2名の原告の方々には、私たちの仲間として、いま改めて、心から哀悼の意を述べさせていただきます。

 以下、判決について、『共同通信』『時事通信』『中国新聞』の記事を紹介させていただきます。

(ホームページ管理者)

「来日要件」乱用は違法 在外被爆者訴訟で広島地裁
(「47News」ホームページ7月31日掲載【共同通信】配信記事から全文抜粋)

 被爆者本人が来日しないことを理由に、広島県が被爆者健康手帳の交付申請を却下したのは違法として、ブラジル在住被爆者男女の遺族が処分取り消しや計***万円の国家賠償などを求めた訴訟の判決で、広島地裁(能勢顕男裁判長)は31日、手帳申請の却下処分を取り消し、国に計−−−万円の賠償を命じた。

 能勢裁判長は判決理由で国内に居住しないことのみを理由として申請を却下した処分は、裁量権の乱用で違法と指摘。被爆者は国の通達で法の保護の外に置かれたと述べ、国は精神的損害の賠償義務を負うとした。

 手帳交付申請の際、在外被爆者に来日するよう定めた「来日要件」の合理性が焦点。6月成立の改正被爆者援護法では、この要件は撤廃された。
 判決は「来日要件」について一定の合理性があるが、一切の例外もなく求めるのはあまりにも形式的だとした。

 訴状によると、男性は長崎、女性は広島で被爆後ブラジルへ移住。2006年3月、弁護士を通じ交付申請をしたが、広島県は却下した。男性は提訴直前の06年、女性も翌07年に死亡した。

手帳申請却下は違法=在ブラジル被爆者訴訟−広島地裁
(「時事ドットコム」ホームページ7月31日掲載【時事通信】配信記事から全文抜粋)

 ブラジル在住の日本人被爆者の2人が被爆者手帳を申請し却下されたのは不当だとして、それぞれの遺族が国と広島県に却下処分の取り消しや総額***万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決が31日、広島地裁であった。能勢顕男裁判長は「日本国内に居住しないことのみを理由として、申請を却下したのは裁量権の乱用で違法」として却下処分を取り消し、国に計−−−万円の支払いを命じた。

 在外被爆者が来日要件を満たさなくても手帳交付を申請できるとした判決は初めてという。

在外被爆者手帳却下取り消す
(「中国新聞ホームページ」7月31日付から全文抜粋)

 来日しないことを理由に被爆者健康手帳の交付申請を却下したのは違法として、ブラジル在住の日本人女性と日本人男性計2人の遺族が広島県に処分の取り消しと、県と国に慰謝料など計***万円の支払いなどを求めた訴訟の判決が31日、広島地裁であった。能勢顕男裁判長は却下処分を取り消し、国に計 −−−万円の支払いを命じる原告側勝訴の判決を言い渡した。

 訴えなどによると、女性は広島市中区で、男性は長崎市で被爆した後、ブラジルに移住。ともに2006年3月、代理人弁護士らを通じて県に手帳交付を申請したが、県は同年4月、被爆者援護法が申請先を「居住地の都道府県知事」と規定していることを理由に却下した。男性は06年4月に96歳で死亡し、長男(63)が提訴。女性も提訴後の07年3月に91歳で亡くなり、長女(61)が承継した。

 原告側は「被爆確認証が交付され、被爆者の実体要件を満たしているのに、来日できないという理由だけで却下したのは不合理な差別で憲法に反する」と却下処分の違法性を指摘。「被爆者の権利を制限、はく奪する意味に被爆者援護法を解釈してはならない」と主張していた。

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