第2回:殴り合いで決めようぜ!!(「機動武闘伝 Gガンダム」 サンライズ )

本日のお題:「機動武闘伝Gガンダム」
総監督 今川泰宏
製作 サンライズ/テレビ朝日

【あらすじ】
人類が汚染した地球を見捨てスペースコロニーに移住した未来。人類は国際紛争をの解決手段として、地球の支配権を4年に一度開催されるロボットの殴り合い「ガンダムファイト」で決めていた。地球をリングに各国が威信をかけて建造したガンダムとファイター達が闘って、闘って、闘い抜いて最期に勝ち残ったものが、その後4年間の地球の支配権を握るのだ。

そして、ガンダムファイト第13回大会。コロニー格闘技の覇者「キングオブハート」の称号を持つドモン・カッシュはある目的をもってネオジャパンのファイターとして参加していた。その目的とは彼の父がつくった自己進化・自己増殖・自己再生機能を持った究極のガンダム「アルティメットガンダム」を持ち逃げした兄:キョウジを追うこと。冷凍刑に処せられた父を救うこと。そして、デビルガンダム(=アルティメットガンダム)を倒すこと。ドモンは幼馴染レインと共にキョウジを追って世界を放浪する。その中でドモンはチボデー、ジョルジュ、サイサイシー、アルゴといったファイターと拳を交えることで友情を深め、謎の仮面ファイター:シュバルツの教えにより明鏡止水の境地に達し、ファイターとして成長していく。

そんなドモン達の前に、ドモンの師にして先代「キングオブハート」:東方不敗マスターアジアが最大の敵として立ちはだかる。

東方不敗の真意とは?デビルガンダムをめぐる陰謀とは?
ドモンはキョウジを、そしてデビルガンダムを倒せるのか??
そして最期の勝利者「ガンダム オブ ガンダム」の栄冠は誰の手に?

それでは、皆さん。ガンダムファイト・レディ・ゴー!!!


上様(以下:上) 「豊後守、今日のお題はガンダムにしようと思うのじゃが。」

豊後守(以下:豊)「はぁ、拙者”SEED”はご免蒙ります。うかつなことをいって大奥の腐女子に闇討ちにされるのはどうも・・・」

上:「安心せい。ガンダムはガンダムでも「Gガンダム」じゃ」

豊:「「Gガン」ですか?それってSFじゃないじゃないですか。ガンダムとSFといえば普通宇宙世紀モノでしょう。」

上:「このうつけ者!「Gガン」こそ、ファーストに匹敵できる名作ぞ。他にあるとしたらターンAぐらいであろう。」

豊:「分かりませぬ。どうして、あの変人ばかり出てくるロボットプロレスが名作なのかお教えいただけないでしょうか。」

上:「変人ばかりのロボットプロレスだからよいのではないか。」

豊:「はぁ?」

上:「では、豊後守。ファーストガンダムの名作との所以はなにか?」

豊:「いろいろございますが。リアルな世界観でしょう。SFとしてMS、ミノフスキー粒子、スペースコロニー、ニュータイプどれももっとらしい整合性が取れている点、またアムロを中心として思春期の人間群像、第二次大戦時の枢軸国をイメージさせるジオンといった説得力のある世界観の構築がファーストを名作を言わしめていると拙者、愚考いたします。」

上:「「Gガン」はその裏返しじゃ。リアルな世界観を意図的にぶっ壊して、新しいものを作ろうとした心意気こそ名作の証じゃ」

豊:「必殺技をかけるときに「石破ラブラブ天驚拳!!」とか叫んだりするところは単なる、先祖がえりではありませんか?」

上:「確かにそうである。しかし、「Gガン」はファーストから受け継いでいるものがある。それが世界観じゃ」

豊:「ロボットの殴り合いで国際紛争を解決する、あのぶっ飛んだ世界観がですか?」

上:「余が言っているのはその世界観自体ではない。作品を作る姿勢じゃ。ファーストの場合、個々の設定にもっともらしい理屈をつけてリアルさを表現する、帰納法的な方法でリアルさを作ったと余は考える。一方、「Gガン」はガンダムファイトという”そりゃないだろう”的な設定を根幹にすべての設定が説明でき、リアルに感じるように作っている。まぁ演繹法的なつくりであるのぉ地球を愛したが故にドモンに敵対した東方不敗の真意も、悪役ウォンやウルべ少佐の野望もすべてガンダムファイトに起因しておっただろ。それに殴り合いですべてを決めるのじゃ、ガンダムファイターが普通の人間であったら説得力がないでないか。」

豊:「しかし、帰納法と演繹法ではまるで逆じゃないですか?」

上:「だから、先ほども「Gガン」はファーストを作った時の姿勢を意図的に裏返して作ったと言ったではないか。ファーストは頭で考える作品じゃ。Z以降のガンダムはZZの一時期を除き頭で考えて見るものじゃ。作る姿勢が同じであればおのずと前のものに縛られてしまう。縮小再生産だな。しかし、「Gガン」は作る姿勢を敢えて逆にしたことで、体で感じる作品になったのじゃ。」

豊:「体で感じるとおっしゃいますと・・」

上:「熱血アニメの復権じゃ。スポ根ものは考えるものではなく感じるものであろう。例えば「巨人の星」を頭で考えてみたら日本プロ野球は変人の集まりになってしまうではないか。あれは、なにも考えずにただ勢いで見て、感じるものじゃ。ファースト以降、特にロボットものでは考える作品が多くなったのぉ。リアルとかいって。しかし、「Gガン」はリアルの権化ともいうガンダムの名引継ぎ、構造を裏返すことで新しい物語の可能性を示したのじゃ。これを名作といわずしてなんというか。」

豊:「上様のご意見ごもっともでございまする。しかしながら、「Gガン」ってやはりSFではないと思いますが。」

上:「なぁに?高木豊後守、無礼であるぞ控えおろう。」

豊:「はは〜っ!!!」


【まとめ:ネタバレ有り】
っていいうか、これブックレビューじゃねーぇ!!って思っているあなた。
今年は2004年Gガンダム放送10周年です。
それに、活字だけがSFとは思わないでください。SFはメディアを超えるのです。

で、今回のお題は「Gガンダム」です。ガンダムと言えば「ガンダムSEED」を取り上げるのが旬なのですが、正直言って私はあまり「SEED」を評価してません。私にはZガンダム+ガンダムWを合わせて、萌えのスパイスを振りかけた「SEED」は毎週見ていましたが、結局どっかで見たアニメと言う印象しかもてませんでした。
アニメとしての評価は低いけど、イザークとフレイのキャラは満点です。)
ちなみに9・11、ブッシュイズムが引き起こしたイラク戦争を経験した私たちには貧困やテロ、イデオロギーによる理解の断絶、世界に対する絶望と希望、歴史と人間についてもっと真正面から捉えた物語が必要ではないでしょうか。

余談はこのくらいして、ガンダムについて語るときりがないのですが、今回取り上げた「Gガンダム」、私の中でかなり評価高しです。その理由については上様に言ってもらいましたが、開き直りと言いますか作品のエネルギーが違います。
私の中の順位としては
1位:ファーストガンダム(正統派の宇宙SF、戦争SF、人類進化テーマSF)
2位:Gガンダム     (開き直ったバカ設定で一つの世界を作り上げた、バカSFの頂点)
3位:ターンAガンダム (ガンダムワールドを最近の海外SF的な設定と世界名作劇場的ストーリーで料理した現代の寓話)
ってな感じでしょうか。

この「Gガンダム」明らかに他のシリーズとは毛色が違うのですが、SF大会で長谷川裕一先生(「クロノアイズ」で星雲賞受賞)
が「G」と他のガンダムシリーズとの関係について以下のような説を述べていました。

・「G」は地球の物語ではなく、他の恒星系に移住したZZの主人公:ジュドー・アーシタ他ニュータイプの子孫の物語りである。

これはVガンダムの時代(UC153)、老いたジュドーが仲間のニュータイプたちとコロニーを恒星間宇宙船で戦乱の地球圏を脱出し、べつな恒星系をめざす自作の「機動戦士Vガンダム外伝脱出計画編」を踏まえたセルフパロディだったと思うのですが。
なんか妙に納得できる説です。ドモンもマスターもニュータイプの子孫だからあんな人間離れしたことできたり、拳で悲しみを理解できたりしたんですね。(そんなこといったら「北斗の拳」もニュータイプの物語になるのですが・・・・・・・・・・・)

まぁ、ジュドーはZZの予告編で
いつも「来週もニュータイプの修羅場が見られるぜ!!」っていってましたが


 子孫は本当に修羅場になっていました

ってな感じでしょうか?


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