はいぱ〜不定期徒然草


北朝鮮ついに勝つ!!!「レッド・マンデー」の悪夢

西暦2005年6月。2004年の猛暑と台風の影響で、北朝鮮:朝鮮人民共和国は行き着くところまで来てしまった。ぶっちゃけた話、食糧危機である。そう、何も食うものがないのである。人民は飢えている。その上、朝鮮人民軍も何も食っていないのだ。

そもそも自体をここまで悪化させたのは2004年のアメリカ大統領選挙が始まりだった、卑劣にもジョージ・w・ブッシュは公開討論で対立候補のケリーにイラクで戦争の口実の大量破壊兵器が見つからなかったことを問い詰められると「大量破壊兵器は北朝鮮にある。フセインと金正日は邪悪な同盟を結んでいたのだ。」と嘘八百並べ立てたのだ。しかも、手段を選ばない卑劣漢:ブッシュはハリウッドのSFXを駆使し、反北朝鮮キャンペーンをでっち上げた。曰く「悪の総本山:北朝鮮」「気をつけろ“チョン公”がアメリカを狙っている」「うっかりしていると君も拉致被害者By ジェンキンス軍曹」etc

当の日本の拉致被害者家族会からもクレームが来たほどのものすごいネガティブキャンペーンが行われた、まるで北朝鮮はショッカー扱いである。そして、ブッシュはショッカーのようなよく分からないテロ国家と戦う強い大統領として再選した。もちろん第一の公約は危険なテロ国家、北朝鮮討伐であった。

まず手始めにアメリカは和平のための6カ国協議で一方的に因縁をつけて、これを決裂させた。ついで韓国と日本と手を組んで経済制裁を実行し、さらに六隻の空母を中心とした機動艦隊を日本海に繰り出してきた。つまり露骨な圧力である。そして、露骨な圧力は見事に功を奏した。

なんとアメリカにびびった中国とロシアが泣きの食糧援助要請を拒否したのだ。両国は変なことで世界大戦に巻き込まれたくないと、北朝鮮との国境を封鎖してしまった。まして、中国にいたっては、国境の鴎緑江の橋という橋を全て爆破するという丁寧さだ。

困った。元から食うものがないところに、頼みの綱の中国・ロシアと在日同胞の支援も打ち切られた。このままでは、飢えて死ぬしかない。金正日に亡命先があれば何とか白旗を上げて逃げるという選択肢もあるが、亡命の件はアメリカにびびった中国・ロシアともに丁重に拒絶している。もう逃げ場はない。アメリカは戦争をしたがっている、大義があろうとなかろうと戦争をしたがっている。きっと戦後はアメリカ・韓国・中国・ロシアで分割占領しようって腹積もりに違いない。シッバル(ちくしょう)!!

そして“偉大なる首領”金正日は決断した。「やるっきゃない・・・・。」最高戦争指導会議で金正日はそうとしか言わなかった。これまで“のほほ〜ん”と構えて、適当に日韓を脅しておけばそのうち何とかなるだろうとしか考えてなかった彼は、アメリカ合衆国、というかジョージ・w・ブッシュがここまで戦争狂とは思ってなかったようだ。

かくして非常事態が宣言され、朝鮮人民軍全軍に対米戦争命令が下されたのだが・・・・・

人民軍にはろくな戦力がない。陸軍の場合、兵隊は多いが、彼らは最近ほとんどなにも食っていませんという餓死寸前の状況で、戦車はや車両は整備不良と燃料不足で動きはしない。空軍は航空機を虎の子で維持してきたが、それとてアメリカや韓国の最新鋭ハイテク機に勝てそうもない1970年代ソ連のモンキーモデル=パチモンだ。海軍は海軍で、アメリカの艦船とまともに戦えるものはほとんどない。まぁ、対日工作用の高速工作船と小型潜水艦がまともに動く唯一の艦艇といっていいだろう。

で、本当の虎の子、核兵器はノドンに載せられるものが3発ある。しかし、問題はそのノドンだ。こいつはまともに目標に当たらないろくでなしだ。まぁ打ち上がるかどうか不明なテポドンに比べればまだましなのだろうが・・・・。仮に核ミサイルを米軍の拠点“沖縄”“横須賀”に打ち込んで、今度は日帝の首都“東京”にぶち込むと脅して時間を稼ぐ作戦をとったとしても、たぶん撃った数の100倍の核ミサイルをぶち込まれて朝鮮民主主義人民共和国という国は世界地図から蒸発するだろう。ジョージ・w・ブッシュはそういうことをする男だ、間違いない。奴は手ぐすね引いて北朝鮮が先制核攻撃を行うのをまっている。もし、虎の子の核兵器が目標を外し、太平洋で爆発しても運命は変わらないだろう。そんな間抜けな事態になったら朝鮮人民は死ぬに死にきれない。

だいいち旧共産圏の兵器が米軍にかなわないのは湾岸戦争で証明済みだ。

どうすればいいのだ?フセインと同じで無条件降伏という選択肢はない。米軍は必ず攻めて来る。そしてまともに迎撃する手段は北朝鮮にはないのだ。シッバル!!

平壌の朝鮮人民軍参謀本部では金正日の戦争命令発令後、餓死寸前の参謀たちが連日「対米討伐戦」について討議していた。だが、状況はどう見ても絶望的であった。その上、“偉大な首領” 金正日は私邸に引きこもりきったまま一度も顔を見せていない。聞こえてくるうわさでは米軍来寇の恐怖から逃れるため、喜び組みと連日酒盛りをしているらしい。

だが、皮肉にも状況を打開したのは核開発技術者が核開発の参考にとひそかに隠し持っていた1冊の敵性雑誌「Sciatic American」のバックナンバーであった。そこにはアメリカの軍事ジャーナリストによる地球大気圏上層部における「高高度核攻撃」に対する警告が記事としてまとめられていた。曰く「大気圏上層部における高高度核爆発は低軌道衛星ならびに地表面の電子機器を長期間麻痺させ、コンピューター・通信インフラ、特に無線を長期間麻痺させる。」と

苦難の末、朝鮮人民軍参謀本部はついに最終作戦を立案した。これに失敗すれば北朝鮮は米軍にタコ殴りにされ、朝鮮人民は犬死しかない。作戦の骨子は以下のとおりである。

@ノドンミサイルに搭載した核ミサイルを東海(日本海)に展開している敵機動艦隊上空、およびソウル上空、高高度で爆発させ、敵電子兵器を封じ、通信網を麻痺させる。

A @作戦終了後、東海(日本海)に展開する敵機動艦隊に対しては海軍の稼動可能な高速工作船、小型潜水艇、ならびに空軍攻撃機に搭載量ぎりぎりの弾薬搭載し肉薄特攻攻撃を仕掛けこれを粉砕する

B@作戦終了後、歩兵戦力を中心としてソウルを徒歩占領する。食料については現地調達を基本とし、食料確保後電子攪乱の効果があるうちに戦線を韓国全土に拡大する。

Cソウル占領後、中国・ロシアを通じ和平交渉をアメリカに打診する。条件は以下のとおり

1.米国は速やかに朝鮮民主主義人民共和国との和平交渉に応じること

2.米国は朝鮮人民軍の韓国撤退と引き換えに、朝鮮民主主義人民共和国が要求する食料・医薬品を引き渡すこと

3.米国は朝鮮民主主義人民共和国との相互不可侵条約の締結に同意すること。

4.もし米国が上記要求に応じない場合は、朝鮮人民軍は韓国の占領を続け、日本に侵攻する意思がある。また、朝鮮人民軍は弾道ミサイルテポドンにより米国中枢部に対して高高度核攻撃により電子攪乱を行う意思と能力を有していることを通告する。

要は核兵器を電子攪乱に使い、電子兵器に頼り切っている米韓日連合軍の目と耳をふさいだ状態で全軍特攻をかけ、対米交渉に有利な条件を作り出し、アメリカとできる限り有利な条件で講和を結ぶという算段である。この作戦は超虎の子の核兵器を2発使用し、海軍・空軍の大半を特攻に使うため、一度しかできない。朝鮮人民軍にとってはワンチャンス・オペレーションである。失敗したら、北朝鮮は本当に米軍にタコ殴りされるだけではなく、報復核攻撃を受ける恐れがあった。金正日は散々迷った挙句、しぶしぶ参謀本部のこの案を了承した。彼はこの作戦を承認するとひそかに逃げる算段を始めた。無理は承知の上で、中国・ロシアに亡命の打診をし始めたのだ。一方、作戦案承認後、朝鮮人民軍では、形式上は志願としながらも強制指名で特攻隊の編成がなされた、このまま米軍になぶり殺しにされるか、餓死するかの選択を迫られていた兵士たちに特攻を拒否するものはほとんどいなかった。

作戦は対米・対韓・対日工作員、中国軍・ロシア軍内の非合法協力者の情報により、日本海に展開するアメリカの六個機動艦隊が補給のため互いに近接する6月13日18:00開始とされた。作戦名は「ルナティック」。

その2週間前から海軍では高速工作船、潜水艇が米軍の偵察衛星に気づかれぬよう母港を出港し始めていた。その腹には爆弾を満載して・・・。・。彼らに下された命令は唯一つ、「6月13日18:00以降米軍艦艇を発見し次第、肉弾攻撃を仕掛けこれを粉砕せよ。もって生還を期せず。」

とにかく米軍と刺し違えて死んでこい、生きて帰ってくるなという命令だった。

一方、陸軍では北朝鮮全土から歩兵たちが非武装地帯ぎりぎりの地点に集結しつつあった。使える車両がほとんどなかったので、ほとんどの者たちが徒歩での移動であった。彼らの多くは「ソウルに行けば腹いっぱい飯が食える」と聞かされていた。歩兵のほとんどがこの作戦での死を覚悟していたが、彼らは死ぬ前に腹いっぱい飯を食うことしか考えていなかった。彼らの多くは餓死寸前であったが、その目は異様に輝き、士気は軒昂であった。

一方、米軍、韓国軍、自衛隊はともに北朝鮮のこの動きをただのブラフ(こけおどし)と考えていた。

誰一人、北朝鮮が本気で核兵器を使うことを本気に考えていなかった。

誰一人、北朝鮮が全軍特攻という非常識な作戦を立てているとは考えなかった

誰一人、北朝鮮にまともに戦う能力があると思っていなかった

そして、誰もが米軍のハイテク装備、軍事システムは無敵だと考えていた。

そして、運命の6月13日18:00、運命の刻がやってきた・・・・・・・

その日、日本海とソウルでは夕日とは違う赤い色が空を覆った。

核爆発が空中の酸素分子を励起して起こる“核のオーロラ”だった。

そして、その直後、韓国全土並びに日本列島の大半で突如電子機器が停止する、場所によっては突然火を噴くというという異常事態が発生した。韓国と日本全土で電子の目と耳はふさがれ、通信の途絶で何が起こったのかこの時点で事態を正確に把握できたものは皆無だった。

6月13日は「レッド・マンデー」として多くの人々の記憶に残る日になった。この日、日本海で行われた海戦(?)は一方の当事者がすべてあの世に行ってしまったため詳細はよく分からない。ただ、赤いオーロラが空を覆ったのち、ほぼすべての艦でイージスシステムをはじめとするすべての電子機器がチップレベルで破損し、予備部品への交換を進めている間に、その予備部品の多くも使い物にならなかったが、漁船に偽装した高速船が次々と米軍、韓国海軍、海上自衛隊の艦艇にためらうことなく激突し、大爆発を起した。それだけではなく、爆弾を腹いっぱいに抱えた航空機が、潜水艦が誰もためらうことなく艦艇に激突していった。その場にいた米軍、韓国海軍、海上自衛隊の兵士たちの多くが、電子の目と耳をふさがれ太平洋戦争の時代に戻ってしまった状態で、あの戦争と同じく特攻機が大挙して押し寄せるすがたに恐怖した。

結果として、北朝鮮は賭けに勝った。

米軍は空母6隻が撃沈こそしなかったものの、大破し修理のためパールハーバー、ないしはサンディエゴまで撤退せざるを得なかった。その他、米軍、韓国海軍、海上自衛隊はイージスシステムを搭載した巡洋艦・駆逐艦を多数失い、そして多くの兵士を失った。

この作戦で朝鮮人民軍、空軍・海軍はほぼ全滅したが、引き換えに、一時的にせよ西太平洋の米韓日連合海軍を全滅させたのである。

一方、陸軍はあっけなくソウルの占領に成功した。韓国軍、韓国政府、そして韓国国民は通信網が攪乱された状態でパニックを起し、その隙を付いて大挙して押し寄せた朝鮮人民軍にあっけなく降伏したのだ。さすがにソウル占領後に生き残った韓国軍・在韓米軍も体制を建て直し激しく抵抗したため、韓国全土に戦線を拡大するという朝鮮人民軍参謀本部の思惑は果たせなかった。しかし、北朝鮮はソウルを占領し市民を人質とする当初の目的は達成した。

また北朝鮮の賭けは国際政治の中で予想以上の効果を挙げた。

米軍は、13日のうちに海中にあって電波攪乱を免れた潜水艦隊を中心に北朝鮮の主要軍事施設の巡航ミサイル攻撃を行ったものの、そこにあった兵力はすべて特攻に使われもぬけの殻だった。戦果といえば使い物にならない多数のノドンやテポドンを破壊したに留まった。

翌14日。衛生写真の分析から北朝鮮が核を使用したことが判明した。またルナテッィ作戦によりアメリカ機動艦隊が全滅し、ソウルが陥落したことはその日のうちに世界は知ることとなった。そして、北朝鮮は世界に向け、ルナティック作戦の成功を宣伝し、ロシア・中国を通じアメリカに和平交渉を打診したことを表明した。メリカ議会では北朝鮮への報復核攻撃について話し合われたが、実際に核攻撃自体での死傷者はいなかったため北朝鮮に対する報復核攻撃は「非倫理的」と退けられた。現時点では事実上の先制核攻撃になり、人間に対する核の使用について国際世論を味方につけられる自信はアメリカになかった。また、北朝鮮が核の使用をためらわないことが分かり、さらに大雑把な高高度攻撃でも電子機器が隅々までいきわたったアメリカにとって地上攻撃と同じ大きな脅威に変わらないことが分かった以上、危険な橋をあえて渡ろうという者はいなかった。さらに、この時点でアメリカはテポドンの破壊確認ができていなかった。それ以上に、アメリカ国内は無敵と思われた機動艦隊が特攻攻撃という非常識な手段でほぼ全滅という事態と北朝鮮の核攻撃にパニックを起していた。この日も電子攪乱は続いたため在韓、在日米軍は使い物にならず、グアム・サイパンの基地から飛び立ったB52戦略爆撃機部隊が通常兵器で北朝鮮空爆する程度に、米軍の行動は留まった。それでも水素気化爆弾(ディジーカッター)、地底貫通弾での攻撃はそれなりに戦果を挙げているとアメリカ側は評価していた。

一方、韓国はほぼ中枢を占領され、また海軍力の大半を失った同盟国:日本の世論は核攻撃の恐怖からわずか1日でヒステリックに和平へと急激に傾いていた。

戦争の原因を作った男、アメリカ大統領:ジョージ・w・ブッシュは追い詰められていた。彼は真珠湾攻撃よりも惨めな敗北をし、同盟国の中枢部をあっさりと占領されてしまった。世論はこの事態全体の責任を彼自身に問うた。信頼できるはずの同盟国:日本は北朝鮮の核使用と海上自衛隊の壊滅が引き起こしたパニックで収拾がつかず、中国とロシア、そしてヨーロッパは事態の収拾をアメリカに迫った。現在の状況では国際協力の名の下、多国籍軍でソウルを開放するというシナリオは無理だった。北朝鮮は相互不可侵条約と食糧さえくれればソウルから撤退するというのだから、アメリカが中心にならない多国籍軍で他国の兵士の血を流させるのは難しかった。アメリカが多国籍軍の中心となるためには機動艦隊の再編が必要であり、それには最低半月の時間が必要だった。だが最悪なことにフランスとドイツを中心とするヨーロッパ諸国がソウル開放のために国際協力で北朝鮮への食糧援助を早々に表明したのだ。これは、イラク戦争・北朝鮮危機と続いたアメリカのユニテラリズム(単独行動主義)に対するヨーロッパからの最大限の嫌味だった。

15日。この日もグアム・サイパンの基地から飛び立ったB52戦略爆撃機部隊による通常兵器による激しい北朝鮮空襲はつづけられた。彼らは北朝鮮の軍需工場、地下要塞を徹底的に破壊し、14日に引き続きそれなりの戦果を挙げていると考えられていた。しかし、戦後判明したことだが、北朝鮮の軍需生産はすでに開戦前に崩壊しており、地下要塞も13日の全軍特攻でもぬけの殻となっており、この日の戦略爆撃機部隊の空襲は心理的効果以外、目だった効果はなかった。だが13日・14日・15日の3日間連日にわたる猛空襲の影響で、事態は急変した。

あの金正日がロシアへの亡命を申請したのだ。


彼は米軍の反撃、特にいつ来るか分からない核攻撃の恐怖から今回の戦争の責任を一方的に朝鮮人民軍参謀本部に押し付け、なりふりかまわずさっさと逃げ出したのである。
一方、ルナッティク作戦の勝利と米軍の猛爆撃の陰で“偉大なる首領”の逃亡という前代未聞の事態に直面した朝鮮人民軍参謀本部は大混乱となっていた。そんな彼らにいち早くロシア政府は事態の解決法として“独裁政権に対する主体的民主革命”というサゼスッチョンを示していた。同時刻、ロシア大統領:ウラジミール・プーチンはホットラインを通じアメリカ大統領:ジョージ・w・ブッシュに対して、北朝鮮新政府、事実上は朝鮮人民軍参謀本部との和平を薦めていた。

16日。アメリカ大統領:ジョージ・w・ブッシュはアメリカ国民に対しTV演説を行い、13日の「レッド・マンデー」に対して独裁者:金正日を痛烈に非難し、アメリカの外交・軍事的圧力が“ならず者の独裁政権”を崩壊に追いやったと「レッド・マンデー」の敗北を棚に挙げ、13日〜15日の空爆の功績を強調した。その上で、ロシア政府の仲介で新たに誕生した“民主的な新北朝鮮政府”、との和平交渉に入ることを表明した。その内容は前日、プーチンが提案した内容にほぼ沿ったものだった。

17日。北朝鮮新政府の緊急食料支援要請に応じるという名目でロシア軍が北朝鮮国境を越え北朝鮮への進駐を開始した。アメリカと中国はこの素早いロシアの行動に不快感をプーチンに伝えた。しかし、翌週の国連安保理でこのロシアの行動は追認され、北朝鮮の大量兵器破壊と民主化の監視のため多国籍軍が北朝鮮に派遣されることが決まった。当然、既成事実として多国籍軍の実態はロシア軍となった。

かくして

「北朝鮮の独裁者:金正日は核兵器使用と全軍特攻:「レッド・マンデー」と言う愚行を企て、一時的にアメリカ機動艦隊の撃退並びにソウルの占領に成功した。しかし金正日の正義に反する行動に対して愛国心あふれる倫理的な朝鮮人民軍参謀本部の一部将校の反発を買い、彼らによってクーデターが起き、“民主的な新北朝鮮政府”が誕生した。そしてロシア連邦政府の仲介のもと、“民主的な新北朝鮮政府”とアメリカ合衆国の間で、

@米朝相互不可侵条約の締結

A国際支援による北朝鮮への経済援助

B朝鮮人民軍の韓国からの撤退

C北朝鮮の核兵器並びに核開発の放棄、大量破壊兵器破壊の確認と民主的選挙実現を監視するために国連主体の多国籍軍の北朝鮮への進駐

の5項目の休戦協定が合意され、『一週間戦争』と呼ばれる朝鮮半島の危機は一応の解決を見たのであった。」

と後の時代の歴史の教科書は記している。

そして、ジョージ・w・ブッシュがその後議会で「レッド・マンデー」の敗北の責任を問われ弾劾され辞任に追い込まれたことも、一週間戦争の戦後処理の結果ロシアの国際的発言力が増したことも、火事場泥棒的においしいところを持っていったロシアと出し抜かれた中国の関係が一週間戦争後に微妙なものになったことも、日本で事態の責任を巡って政権交代が起こったことも、北朝鮮が民主国家として戦後30年の2035年に韓国との吸収合併に合意し消滅したことも・・・・・・・・。

何はともあれ極限の状態から北朝鮮はアメリカに勝利した。しかし、北朝鮮は戦後処理に関して火事場泥棒的に介入してきたロシアの事実上の属国となり、2030年代の民族解放・民主化運動が起こるまでこの状況は続いた。またルナティック作戦をまねる国際テロリスト集団はあとを絶たず、これまた2032年にテロリストに対抗するための超国家軍:地球連邦軍(EFF)が設立されるまで長らく混乱の時代が続くことになったのは言うまでもない歴史的事実である。

【催恵果 著『一週間戦争概説』2042年:民明書房刊 より一部抜粋、改変】

 

《補遺》

今回は明日起こるかもしれない北朝鮮危機を取り上げました。北朝鮮が核兵器を電子攪乱に使うというのは日経サイエンス2004年10月号の記事「ハイテク社会を揺るがす宇宙からの核攻撃」を参考にしました。実際のところ、北朝鮮と対立するアメリカ、韓国、日本は軍事兵器から民間の生活システムまで隅々までハイテク化(コンピューターを使用し、情報・通信ネットワークで結ばれた状態)が進んでいます。しかし、情報関連企業の立場で言うと、核兵器を応用した広域電子攪乱に対しては全く想定外の事態として何の対策もしていないというのが実情です。実際に核兵器を応用した広域電子攪乱が実施された場合、日本などでは生活の基本レベルから大混乱に陥り、社会・経済が完全に麻痺すると予想されます。

また軍事面で言うと北朝鮮という国家は21世紀でありながら第二次世界大戦レベルの戦争もできるという世界でも異質な国です。なぜなら人権という概念がない全体主義国家なので切羽詰れば“特攻”という選択肢を組織的に取れると言う面でも異質です。ハイテク化されたアメリカ軍と正面でぶつかれば勝ち目は万に一つもありませんが、もしジオン公国のミノフスキー粒子のように戦場を一気に第二次世界大戦レベルに引き戻せる手段をとれば組織的な“特攻攻撃”を駆使すれば、ハイテクに依存しすぎたアメリカ軍に痛烈な打撃を与えられるのではと今回考えました。

実際、イラクゲリラの散発的な自爆攻撃で米軍は甚大な被害を出していますし。ペルシャ湾で駆逐艦ブルーリッジが、ゴムボートを使用した自爆攻撃で大破しています。

次に今回問題になったのは、作戦勝利後どのようにアメリカと和平に持っていくかと言うことです。結論を言うと北朝鮮に金正日政権、もしくは彼の後継者の政権がある限り和平は不可能です。なぜならアメリカが戦争を仕掛けた独裁政権と和平を結ぶことはありえそうにないからです。それで今回は金正日にチキン野郎になってもらって、戦争中に逃亡してもらい、遺された北朝鮮をロシアが火事場泥棒的にのっとって、事実上、米ロで和平を行うという形にしました。このロシアの役回りは中国がやるかもしれませんが、そのときはアジアに米中の新たな緊張関係が生じそうです。

《補遺その2〜その他電子攪乱の恐怖〜》

今回の北朝鮮に限らず、核兵器を高高度で爆発させ電子攪乱を行うという作戦はある程度の大きさの核兵器とスカッドミサイル=ノドンクラスの弾道ミサイルがあれば可能だそうです。IT業者的に恐ろしいシナリオをいくつか挙げるとすると。


@インド=パキスタン紛争でパキスタン軍がやけくそになってデリー他、インド主要都市上空で核爆発を起する。

インドは現在ソフトウェア、システム開発の外注先として重要な拠点で、アジアのITの拠点として成長しつつあります。もしパキスタン軍が核兵器を使用した電子攪乱作戦を実行した場合、インドの成長産業の一つを一時的に壊滅させることができます。もちろん外注先がぱぁになれば発注元の先進国のITビジネスにも深刻な影響が出ます。アウトソーシングなどの業務委託をインドで行っている企業などは業務のかなりの部分がぱぁになるという深刻な事態を迎えます。

このようにITを通じてインドが世界経済に組み込まれようとしている今、当事者双方が核兵器を有しているインド=パキスタン紛争は決して他人事ではなく、国際的な問題として和平プロセスを模索すべき問題なのです。


A国際テロリスト集団によるシンガポール攻撃

実はシンガポールは東南アジアのITの拠点と言うより、ITの全てが集中した都市です。中国・東南アジアに拠点を構えるグローバル企業の多くがシステムのマシン、技術者をシンガポールに集中させています。ここに対して核兵器による電子攪乱が行われた場合、グローバル企業のアジア拠点はほぼ全てが機能停止に陥ります。それはグローバル企業に大打撃を与えるだけではなく、進出先のアジア諸国の経済に深刻な打撃を与えます。各企業のシンガポールにおけるITファシリティについては核兵器に対する防御と言う項目はありません。まぁシンガポール自身が核兵器を持っていないのでそんなこと考える必要はなかったのですから。

B国際テロリスト集団による先進国への直接攻撃

もっと率直にアメリカ、ヨーロッパ、日本、韓国、オーストラリアなど先進国の世界経済の拠点とも言える大都市を直接攻撃するという大胆な方法があります。ただし、核保有国は反撃される可能性があるので、非核保有国が狙い目です。そういった点では日本の東京、大阪、名古屋の三大都市圏に対する電子攪乱作戦は有効です。日本は非核保有国ですし、歴史上の経緯から核兵器の使用を最後までためらう国です。反撃される心配は余りありません。一方、経済的には世界の極の一つであり、IT依存度も高く、文化的に日本企業は本社集中=日本本土重視であり、中枢拠点のほとんどが東京、大阪、名古屋の三大都市圏にあります。日本はこれだけテロリストから見て格好の獲物なのです。

 

で、問題はテロの実行方法ですが一番手っ取り早いのはどっかの国の核兵器搭載潜水艦を乗っ取るっていうものですが、各国海軍にとって虎の子の核兵器搭載潜水艦がテロリストに乗っ取られるっていうのはよほどの事態かマンガでもない限り起きないでしょう。

あるとすれば、商船に核兵器を搭載したスカッドミサイルを載せて半ば特攻的に、母船が沈むのを覚悟で発射するという方法でしょう。核攻撃ではなく電子攪乱が目的ですから爆破の設定は大雑把でかまわないはずですから、たいした発射設備はいらないではないのでしょうか?

で問題はどこから核兵器とミサイルを手に入れるかですが、これは貧乏国でミサイルと核兵器を持っている国であれば背に腹を変えずに売ってしまうでしょう。今、一番そんなことをしそうなのは北朝鮮です。北朝鮮に対してはミサイル開発、核兵器開発を監視するためだけではなく、ミサイル・核兵器の流出を止めるための国際的な政策が必要です。

北朝鮮に対しては経済制裁と人道援助をうまく使い分けた“飴と鞭”政策が必要であると考えます。



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