はいぱ〜不定期徒然草



ゴジラの起源と進化


(祖先の偉業をミニラに教育するゴジラ)

今年はゴジラ生誕50周年で、ゴジラ映画最後の年だそうです。まぁ映画は何年か経てば復活するのでしょうけど・・・・・・・・

それで、怪獣ゴジラ。一体彼らは何者なのでしょうか?

50年前の第一作で志村喬演じる山根博士は「海生爬虫類が陸上獣類に進化する中間生物」と解説していました。実際のところこの説明は誤りで、陸上獣類=哺乳類は海生爬虫類ではなく、ペルム紀(3億年前〜2億5千万年前)に陸上で生活していた獣弓類(哺乳類型爬虫類)の系統から、次の時代の三畳紀に恐竜とほぼ同時に誕生したといわれています。

ゴジラはその外見から恐竜の仲間に思われますが、「ゴジラVSメカゴジラ」で登場したオキシジェンデストロイヤーで解かされた骨格を見ると実は恐竜と大きく異なることが分かります。ゴジラの骨格は全体の印象として恐竜よりも哺乳類に近い印象を受けます。特に頭骨を見ると恐竜ほか主竜類に特徴的な眼窩(目の入る穴)の後ろの2つの穴が確認できません。むしろクマやライオンといった肉食哺乳類に近い印象です。また恐竜を恐竜たらしめている腰骨の寛骨臼(大腿骨を入れる腰骨ソケット)が貫通していません。またゴジラの骨格をよく見ると脚はガニマタで腰からまっすぐ伸びていません。


(ゴジラの腰骨:大腿骨が股関節にはまっている。腰骨に穴が開いていない。)
 
(恐竜:アパトサウルスと哺乳類:マンモスの骨格)
(腰骨に注目。恐竜は穴が開いていて大腿骨がはまっている。哺乳類は腰骨に大腿骨が貫通する穴がない)

  
(最初の恐竜エオラプトル(右)と同時代の哺乳類型爬虫類シノカンネメエリア(左)の腰骨のアップ)
(恐竜には穴があり哺乳類型爬虫類にはない。祖先動物の段階からこの特長ははっきりしている)

(ゴジラの腰骨は恐竜よりも哺乳類に近い)

(ゴジラの頭骨)
 
(恐竜:ティラノサウルス(右)の頭骨/哺乳類:スミトロドン(左)の頭骨)
(ティラノサウルスはかなり頭骨に穴が開いている。一方、スミトロドンは鼻と目、アゴの筋肉を通す穴しかない)
(ゴジラの頭骨は恐竜よりも哺乳類に近い)

つまり、骨格の特徴からゴジラは恐竜どころかワニの仲間である主竜類でもないのです。また、ゴジラはガニマタで腰からまっすぐ足が伸びていないということは完全な哺乳類ではありません。氷漬けにされると活動不能になるというところからゴジラは変温動物と考えられます。

 ここでこれまでの情報を整理してみましょう。

@骨格・頭骨は全体として哺乳類に近い印象→哺乳類との類縁関係がある?
A眼窩の後ろの2つの穴、寛骨臼の貫通が確認できない→恐竜ではない。
B脚はガニマタで腰からまっすぐ伸びていない。→哺乳類ではない。爬虫類的特徴。
Cゴジラは変温動物と考えられる。→爬虫類的特徴

これらの情報を総合するとゴジラは恐竜ではなく“哺乳類的”特徴を持った変温動物の爬虫類となります。

“哺乳類的”特徴を持った変温動物の爬虫類となると初期の獣弓類(哺乳類型爬虫類)のうちペルム紀に生息したディメトロドンなどの盤竜類が挙げられます。ディメトロドンなどの盤竜類は歯などに哺乳類敵特徴を持ちながらも、体温調節のために帆を持つなど変温動物でありました。彼らは同じペルム紀により哺乳類に近づいた活発な獣弓類(哺乳類型爬虫類)キノドン類に取って代わられ絶滅しています。

ディメトロドンの頭骨とゴジラの頭骨を比較すると歯列がよく似ていることが分かります。


(ゴジラ頭骨(右)とディメトロドン全身骨格)

これは仮説ですが、
ゴジラの正体はディメトロドンなどの盤竜類の子孫なのではないでしょうか。
ペルム紀、超大陸パンゲアが形成されつつあった時代、より哺乳類に近づいたキノドン類の圧迫を避けるように、現在の北米西海岸から太平洋に泳ぎだしていった半水生のディメトロドンの仲間がいた。彼らは太平洋上に安住の地を発見した。その地をゴジラアイランドと呼びましょう。ゴジラアイランドは太平洋プレートの上の海底火山が生み出した群島であったと推測されます。ペルム紀時点では北米西岸とさほど離れていなかったその群島は太平洋プレートの運動によって中生代・新生代を通じてユーラシア大陸方向へ移動し、ゴジラアイランドは絶海の孤島となり、そこでディメトロドンの仲間はキノドン類や恐竜とは隔離された状態でゴジラへと独自の進化していったと考えられます。


(ゴジラと他の生物の類縁関係を表す系統樹。ゴジラは恐竜よりも哺乳類に近い)

(ペルム紀〜三畳紀に存在した超大陸パンゲアの姿。地図の右の大洋にゴジラアイランドがあったと思われる)

ではディメトロドンの仲間はどのようにゴジラへ進化していったのでしょうか?

まずその前に、ゴジラと言う生物について整理しましょう。

まずゴジラは現在2種類の系統が確認されています。日本種とアメリカ種です。これらは南極のペンギンに複数の種類がいるようなものです。

 
(1954年、東京に上陸した日本種:ゴジラ(右)/1998年、ニューヨークで繁殖を試みたアメリカ種:ゴジラ(左))

でその特徴は

〈日本・アメリカ種共通の特徴〉

・身長:50m〜80m(アメリカ種の場合は体長)

背中に背びれがある。

泳ぎが得意

陸上では二足歩行

単性生殖が可能(日本種よりもアメリカ種の方が産卵数は圧倒的に多い)

卵生(アメリカ種の場合は親と同じ姿だが、日本種の場合は未成熟な段階で生まれ
幼体を“ミニラ”と呼称する。)

・目が正面を向いており立体視が可能(視力はいいらしい)

〈日本種独自の特徴〉
肉食性であるが、核物質の発する放射能を直接エネルギーに変換できる。

驚異的な自己再生能力と放射能を電気エネルギーに転換する“ゴジラ細胞”を有している

“ゴジラ細胞”によって生み出されたエネルギーを元に放射火炎を口から発射できる。

尻尾を支えにして陸上では完全な直立二足歩行が可能

かかとを地面に付けて歩く。

耳がある。

      
 (日本種ゴジラの幼体:ミニラ(右)/日本種ゴジラがもつゴジラ細胞と薔薇の細胞が融合した怪獣ビオランテと対決するゴジラ)
 

〈アメリカ種独自の特徴〉

肉食性(魚食性)

“ゴジラ細胞”は未確認。核物質の放射能に対する耐性あるらしいが、日本種のような積極的な核物質の利用は確認されていない。

日本種より自己再生能力は弱い。通常兵器での撃滅が可能

日本種とは違い二足歩行だが尻尾でバランスをとって高速で移動する。

恐竜と同じく爪先立ちで歩く


(アメリカ種ゴジラの歩行形態。獣脚類に酷似した姿)

というものです。アメリカ種については骨格標本などのデータの発表がまだなので本当に日本種と同じ系統に属するかどうか疑問視する声もあり、アメリカ種を恐竜類に分類する説も存在します。しかし、アメリカ種も西部太平洋から中部太平洋に生息しており、日本種となんらかの類縁関係があると考えるのが妥当だと思われます。

日本種、アメリカ種ともにゴジラが我々の前に姿を現したのは核実験の影響を受け、ミュータント化して後の姿です。アメリカの生物学者ニック・タトプロスのチェルノブイリ原発跡地でのミミズの調査によると、生物は放射能により巨大化することが分かっています。そのことから身長:50m〜80mという巨体は核実験の影響と思われます。また単性生殖も同じく核実験によるミュータント化のためとニック・タトプロスは考えています。さらに日本種が放射火炎を口から発射するのも核実験によるゴジラ細胞の極端な増殖が原因と考えるのが妥当でしょう。実際、1954年に始めて姿を現したゴジラの第一個体は放射火炎というよりは、高温ガスのようなものを吐いています。放射火炎は個体によって能力差がみられることからミュータント化の際に獲得した能力と考えるべきでしょう。もっとも、放射火炎の元となるような能力はミュータント化以前にあったと考えられますが。

では核実験前、ミュータント化する前のゴジラはどのような生物だったのでしょうか?

1944年(昭和19年)、核兵器開発以前に大日本帝国陸軍ラゴス島守備隊が日本種ゴジラの原型生物と考えられる生物に遭遇しています。ラゴス島守備隊が発見したその生物は彼らが“恐竜”と呼んだように獣脚類恐竜に酷似した姿をしていましたが、尻尾を引きずってかかとを付けて歩くという日本種ゴジラの特徴をすでに持っていました。


(マーシャル諸島ラゴス島守備隊が目撃した通称”ゴジラサウルス”と呼ばれる恐竜型生物)
(日本種に比較的近い特徴を持っている)

この生物とアメリカ種ゴジラから、ミュータント化する前のゴジラは獣脚類の大型肉食恐竜に酷似した姿であったことが分かります。おそらく、ミュータント化する以前のゴジラは海で魚や海生動物を捕らえる肉食動物で、ディメトロドンの仲間から進化する過程で陸上で素早く動けるために恐竜に収斂進化したと考えられます。また二足脚で立ち上がることは水平線のかなたを見通せるということですので、外洋を回遊する魚や海洋生物を見つけるために有利であったと思われます。この場合、獣脚類恐竜やアメリカ種ゴジラのように尻尾と胴を水平にするよりも、日本種ゴジラのように尻尾を地面につけて視点を高くすることのほうが有利です。これはペンギンにも見られる適応の姿ですし、恐竜でもカミナリ竜がより高い枝を食べるために採用した戦略でもあります。このことからアメリカ種ゴジラから日本種ゴジラが後の時代に進化したことがうかがえます。

  
(ペンギン(右)/ペンギンと同じ生態のプロトプテルム。彼らが立ち上がったのと同じ理由でゴジラは立ち上がったのでは)

(高木の葉を食べるため尾と両足で立ち上がったディプロドクス。その姿は日本種ゴジラに似ている)

これは推測ですがおそらくペルム紀にゴジラアイランドに移住したディメトロドンの仲間は海でエサを取る一方で、ゴジラアイランドが北米大陸にまだ近かった時代に大陸からわたってくる昆虫もしくは翼竜などを素早く捕らえるため二足歩行の恐竜に酷似した収斂進化をし、二足歩行のゴジラ類が誕生したと考えられます。これがアメリカ種の原型生物と考えられます。やがてゴジラアイランドが太平洋の中心に位置したとき、ゴジラ類はより海洋生物に依存する生活を送るようになり、アメリカ種の原型生物の一部がより遠くの水平線を見られるようかかとと尻尾を地面に付けて完全直立二足歩行をする形態を生み出したと思われます。これが日本種の原型、1944年に大日本帝国陸軍ラゴス島守備隊が見た生物ではないでしょうか。ぶっちゃけた話、ゴジラは恐竜の姿をした凶暴な肉食ペンギンといった生物であったと考えられます。

しかし、ここで2つの謎が残ります。ペルム紀にゴジラアイランドに渡ったディメトロドンの仲間がゴジラアイランドに移住した後、地球はペルム期末の大量絶滅、白亜紀前期の海洋生態系の入れ替え、白亜紀末の大量絶滅という極端な環境変動を経験しているはずです。その変動をどうゴジラ類は生延びたのか?また彼らの進化の舞台となったゴジラアイランドは現在地球上にありません。ゴジラアイランドはどこに行ったのか?

実は、この謎を解くことがゴジラと言う生物を知る手がかりになります。

 

ペルム期の原因はいまだよく分かっていません。ただ、海洋生物をふくめ9割の生物が絶滅したこの事件は、ペルム紀にゴジラアイランドに渡ったディメトロドンの仲間に深刻な淘汰圧をかけたと思われます。孤島でエサが無くなるという緊急事態です。おそらくこのときのピンチが“ゴジラ細胞”を生み出したのではと考えられます。

ゴジラアイランドは太平洋プレートに開いた穴から地球の中心部の物質が噴出した“地球のにきび”“地球のでべそ”のようなところだったのではないでしょうか?彼らはペルム期末の大変動の時代に、ゴジラアイランドを形成する地球中心から噴き出てきた放射性物質を利用するという、当時のパンゲア大陸の生物には見られない超絶進化を選択したのではないでしょうか?その産物がゴジラ細胞です。

通常の動物細胞では細胞内に蓄積されているATPアデノシン三リン酸ADP(アデノシン二リン酸)に分解される際に発生するエネルギーを利用します。食物を消化したエネルギーでADPATPに再生産することで生物は体を維持します。しかし、ペルム紀末期に食物がないという極限状況化で、ディメトロドンの仲間はどういうわけか地表に露出していた放射性物質(ウラン鉱石など)の放射能を直接エネルギーに変換する仕組みを獲得したと思われます。本来、放射能は細胞を傷つけます。その壊れた細胞を放射能から取り出したエネルギーで再構成するという形で“ゴジラ細胞”の原型は生まれたのでしょう。ここで初めてディメトロドンの仲間は他の獣弓類と一線を画する“ゴジラ類”に進化したと考えられます。

 
(ウラン鉱石。地球中心近くの物質が地表に噴出してできたゴジラアイランドにはこのような放射性物質が大量に存在した?)

次の時代三畳紀にはいりゴジラ類はゴジラアイランドでの少ない食物を効率的に取るために二足歩行という段階に入ります。この時点ではゴジラ細胞は非常時の緊急手段という位置づけで、食物をとるための適応は続いていたのです。樹上生物から進化するという恐竜類とは違った経緯、地上を走るうちに、より機敏に動くため二足歩行に進化するという経緯をたどったと思われるため、ゴジラ類は完全な直立歩行は獲得できませんでした。そのためゴジラは恐竜や哺乳類に比べややガニマタなのです。ジュラ紀に入りゴジラ類は海洋生態系の回復(外洋型の魚竜、首長竜、大型魚類の登場)で繁栄の時代を向えます。彼らは海を泳ぎ魚竜や首長竜を襲い、大陸に渡っては草食恐竜を餌食にしたと思われます。おそらく、山根博士が解説した「海生爬虫類が陸上獣類に進化する中間生物」としてのゴジラはこの時代のものであったと思われます。おそらく1954年の時点で太平洋の沿岸地域の海成地層でゴジラ類の化石が発見されていたのでしょう。1950年代の古生物学の常識から言えば、ゴジラは海生爬虫類です。一方、ゴジラは獣弓類〈哺乳類型爬虫類〉であり爬虫類から哺乳類に進化する中間生物であったわけです。ですから“水陸両生の獣弓類(哺乳類型爬虫類)”=“海生爬虫類から陸上獣類に進化する途上の生物”という誤解が生まれたのでしょう。

しかし、白亜紀中期に中部太平洋で発生したマントルプリュームの上昇(オトンジャワ海内の形成)でジュラ紀型の海洋生態系は崩壊します。このためジュラ紀から白亜紀前期にかけて太平洋沿岸に分布を広げたゴジラ類はゴジラアイランドを除き絶滅します。この時代は一時的な大型肉食恐竜の衰退期にもあたります。おそらく大陸の太平洋沿岸で海洋生態系に依存していた“海ゴジラ類”は魚竜絶滅によるエサ不足のために、陸上に生活して草食恐竜をエサにしていた“山ゴジラ類”はより機敏なドロマエオサウルス類や初期のティラノサウルス類との競合に敗れ絶滅したと思われます。しかし、何故、ゴジラアイランドのゴジラ類が生き残ったのか?それはゴジラアイランドには緊急時に使える放射性物質が大量にあったからです。つまりここでもペルム紀末期の大量絶滅のときと同じくピンチの時の“ゴジラ細胞”がサバイバルに利用されたのです。このとき、ゴジラアイランドのゴジラ類に新たな系統が生まれます。尻尾を支えに、完全直立二足歩行を獲得した日本種ゴジラの誕生です。ゴジラ細胞でサバイバルができたものの、より早く確実に海洋のエサを取るために水平線上をはるか遠くに見るためゴジラはこの姿勢に進化したのです。また、この時代エサを見つけ補足するため、ゴジラは立体視力と高速遊泳のための強靭な尾と下半身のスプリング状筋肉を獲得しました。また聴力も発達し、このとき日本種特有の耳が生まれたのです。こうして白亜紀後期にはゴジラアイランドに、ジュラ紀〜白亜紀前期に繁栄した海ゴジラ系のアメリカ種ゴジラ、アメリカ種から進化した日本種ゴジラの二系統のゴジラが生息するようになったのです。アメリカ種ゴジラは生物として保守的な道をこの後歩みます。“ゴジラ細胞”をこれ以上発達させること無く現在に至ります。彼らは割りと普通の動物として、その後白亜紀末の大絶滅、新生代を生き残ります。1998年フランスの核実験によってミュータント化したアメリカ種ゴジラがニューヨーク市に上陸しました。彼(彼女)は日本種ゴジラのように放射火炎をはくわけでもなく、通常兵器で絶命しました。日本種ゴジラとのこの差は、アメリカ種ゴジラが日本種ゴジラほど“ゴジラ細胞”を発達させた動物でなかった点に原因を求めることができます。

一方、日本種ゴジラは白亜紀後期以降“ゴジラ細胞”を発達させる方向に進化します。ゴジラ類に限らず肺を持つ水生動物はバラスト(重り)として石を飲み込むことがよく見られます。日本種ゴジラはバラスト兼緊急エネルギー元としてウラン鉱石など放射性物質を体内に飲み込むという行動をとるようになりました。これにより日本種ゴジラは“ゴジラ細胞”のエネルギーを使い無呼吸で海中を行動する、放射能から得たエネルギーを電気として水中で放電して獲物を捕らえるなど、“ゴジラ細胞”に強く依存する道を選択しました。また“ゴジラ細胞”はエネルギーを効率よく生み出すだけではなく自己修復能力に優れ、そのことにより日本種ゴジラのサバイビリィティを飛躍的に向上させ、白亜紀後期のモササウルス類、新生代の巨大ザメ:カルカドロン・メガロドン、現生のマッコウクジラやシャチなど歯クジラ類などの強力な海洋生物との戦いにも有利に働きました。“ゴジラ細胞”を発達させたことで放射性物質を第二のエサとして無限の行動範囲と他の生物を超絶した戦闘能力を日本種ゴジラは手にしたのでした。

しかし、新生代に入りゴジラ類に未曾有の危機が訪れます。

伊豆半島が本州に衝突した新生代第三紀鮮新世後期(300万年前)、太平洋プレートの西の端をペルム紀から西へ移動してきたゴジラアイランドが、ユーラシア大陸に近づき日本海溝に飲み込まれる形で沈没してしまったのです。母なる大地ゴジラアイランドを失ったゴジラ類は多くの個体がゴジラアイランドと運命をともにしますが、西部太平洋・中部太平洋・ユーラシア沿岸に逃れた個体群も存在しました。しかし、ユーラシア沿岸に移住したアメリカ種ゴジラはアシカやアザラシ、ワニとの競合に破れ絶滅し、同じく日本種ゴジラは産卵数が少なく、卵が哺乳類や鳥類に荒らされたり、未熟な幼体が機敏な哺乳類に襲われたりして絶滅しました。核物質が無い環境ではこれまでゴジラ類のピンチを救ってきた“ゴジラ細胞”は無用の長物であり、かえって隔離された環境でペルム紀から独自の進化を遂げたゴジラ類は哺乳類や鳥類、進化した爬虫類に比べ動きが鈍く、生存競争ではゴジラ類は常に弱者でした。

結局、ゴジラ類は競合生物が存在せず、ゴジラアイランドに比較的環境の似た西部太平洋・中部太平洋の孤島で細々と生き残る絶滅寸前の動物になりました。大戸島の伝説の怪物:呉璽羅やラゴス島守備隊が見た動物はこのように絶滅の道を歩むゴジラ類だったのでしょう。

しかし、西部太平洋・中部太平洋の孤島で1945年以降アメリカ・フランスが行った核実験が絶滅寸前のゴジラ類を復活させます。あるはずの無い核物質と自然界ではありえない強さの放射能がゴジラ類の“ゴジラ細胞”を異常増殖させ。怪獣(有害巨大生物の通称):ゴジラが誕生したのです。

特に日本種ゴジラはもともと“ゴジラ細胞”への依存度が高いため、全身“ゴジラ細胞”で形成される怪物となり、そのパワーと自己再生能力でミュータント化の後通常兵器では倒せない魔獣となりました。また日本種ゴジラは帰巣本能が強いこと、核物質を生存のため求めるという性質のため日本に続々と上陸します。これは失われたゴジラアイランドのあった方向に日本列島があるためというだけではなく、日本列島で原子力発電が開始された時期とゴジラが誕生した時期がともに20世紀後半と言うことで一致するということに原因を求めることができます。

一方、アメリカ種ゴジラは日本種ゴジラに比べ受けた放射能が弱かったこと、“ゴジラ細胞”が日本種ゴジラほど多くなかったことから通常兵器での撃滅が可能でした。しかし、アメリカ種ゴジラの本能は繁殖に適した地域を求めるというものであり、日本列島以外の地域にも上陸する可能性が高いこと、日本種ゴジラよりも繁殖力が強力なことを考えると、日本種ゴジラ以上に危険な怪獣といえるでしょう。

結論としてゴジラは原始的な単弓類(哺乳類型爬虫類):盤竜類の生き残りです。彼らはディメトロドンと近縁で、以外にも恐竜よりも我々人類を含む哺乳類に近い生き物なのです。

もし核実験によるミュータント化が無ければ貴重な“生きた化石”だったのですが・・・・

人類とゴジラ類、双方にとって悲しいことです。


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