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はじめ通信080417
新しいシリーズ「この期(ご)に及んで?!」を始めます

●このごろどこでも、意地とメンツと強権ゆえに道理に合わない明々白々なのに、とんでもない悪政が相変わらず強行されている実態が目立ちます。
 我々はつい先日、石原知事の新銀行問題で、いやというほど体験しましたが、このほかにもさまざまな分野で同じように「この期に及んで?!」と言わざるを得ない問題が起きています。
 独断と偏見、手短かをモットーに、これから色々な問題を取り上げていければと思います。

<1>これだけ問題があっても2回目の全国学力テストを22日に!

●4月22日に、2回目の全国学力テストが行なわれようとしています。
 最近ではマスコミもほとんど取り上げず、国民的関心もイマイチかも知れませんが、昨年「はじめ通信」で6回に渡って書いたとおり、私はこのテストに教育上の正当性は全くないと思います。
 前回の学力テストの結果とその後の事態を見れば、文科省が宣伝してきた「全員参加の学力テストの必要性」は、いずれも成り立たないことは明白ですが、文科省はそれを絶対に認めようとしません。正に「この期に及んで?!いいかげんにしろ」と言いたいところです。

●しかもその後、学力テストの推進者たちの意図が浸透してきていることを感じざるをえません。
 その一つが、全国テストを委託されたベネッセが最近発表した教育と学力に関する父母調査です。
 わが子が通う学校への期待として、5年前に比べ「子どもが楽しく過ごせる」が激減して「学力を伸ばし成績を上げてほしい」が大幅に伸びています。
 「学力不足」キャンペーンや、それを受けての国や自治体ごとの学力テストなどが、子どもの学力よりも父母の”学力願望”を高めたと言うことでしょうか。
 また「教育における格差と競争」がいわれる中で、自分の子どもだけは「負け組」にしたくないという親心が働いてしまうのもやむをえないことでしょう。
 こうして学校が、再び競争の場に駆り立てられていこうとしています。

●もう一つは、全国でゆいいつ学力テストに参加しなかった犬山市で、教育委員を追加選任することで、今後全国テストに参加していく布石が打たれつつあることです。(ここから、関連記事にクリック)
 全国2千もの自治体の中で、強制でないにも拘らず、前回テストに参加しなかったのが犬山市だけだったのは、いかに日本の教育行政が事実上中央集権体制であるかの象徴だと思います。
 もちろん参加しなくても何の支障もあってはならないし、実際犬山市の子どもたちに教育上何の問題も指摘されていません。しかし、それでは困る人たちがいたことも事実でしょう。
 市は、学力テストを受けさせたいと言う保護者の声を重視するとのことですが、ここでも教育による子どもの成長がどうかより「他との比較」や「将来への不安」を優先させる論理と、たとえ一部であれ、他の自治体が参加しているテストに参加しない事による「不利」を主張する声におされてしまう”長いものに巻かれる”論理が垣間見えます。さらに教育の場にあってはならない政治的力関係が働かなかったと言い切れるでしょうか。

●今、ある学習塾が「秋田に学べ」というキャンペーンをやっていますが、学力テストで全国一位だったことを「早寝早起き」とか「朝ごはんを必ず食べる」とか「朝読書の習慣」などと安易に結びつけ、結局は「家庭でのしつけや生活習慣が大事」などという宣伝になってはいないでしょうか。
 ことはそれほど単純ではありません。現場からは前回テストに向けて、秋田県内で子どもにかなり準備ドリルをやらせたという報告が来ていることを17日付の赤旗日刊紙で、元全教委員長の三上満氏の記事として紹介していますが、事実なら本末転倒です。最近でも西日本のある市教委が学力テストの”事前対策”を各学校に指示した文書を出したことを国会で文科省が「好ましくない」と言わざるを得ませんでした。
 私は東北各県で最も進んでいる少人数学級の影響も無視できないと思いますが、いずれにせよ一度のテストでは、分析が難しいのは明白です。

●実際、学校の教育条件をどう整えるべきかを調査するには、全員参加型ではなく、今まで文科省が行なってきた抽出型テストのほうが優れており、弊害もありません。
 例えば全員参加テストだと毎年繰り返し同じ問題は使えず、ある学年の理解力を経年変化で正確に捉えるのは難しいでしょう。
 逆に抽出調査では、単発テストよりも、授業の観察などと組み合わせて調べるなどが可能で、現に4年前にそうした調査が行なわれ少人数学級の優位性が浮き彫りになってきましたが、もちろん全国いっせいにそんな調査はできません。
 全員型でゆいいつの期待できるのは、子ども一人づつの個別指導に生かせるという点ですが、実際は採点を委託しているので、本人に回答用紙は戻ってこないためそれも不可能です。全員参加テストの優位性は、皆無と言ってよいでしょう。

●それでも2回目をごり押ししていくのは、真の学力向上の調査ではなく、競争とランク付けにこそ狙いがあるからに他ならないのではないでしょうか。

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