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はじめ通信10−1208
堀船水害レポートNO.14 <<2ヶ月ぶりのレポート再開に当たって>>
さまざまな方の激励に応えさらにねばり強く追及を続けます

●前回のレポートNO.13で都議会3定での各党質疑をレポートした後、しばらく中断していたレポート「堀船水害はなぜ再発したのか」を、新たな材料をもとに再開したいと思います。

 水害直後から前回レポートまでは、水害現場の状況や住民説明会、区議会や都議会の記録、5年前の水害当時に入手した水理実験報告など、すぐ手にはいる資料や情報をもとに今回の水害を分析してきました。同じ資料でも端からはしまで繰り返し読んでいくと、さまざまなヒントが浮かび上がってくるので、それらをもとに13回までレポートを続けてこれました。

●それらもひとくぎりし、本格的に情報や資料を入手する必要が出てきたことから、11月初旬からのひと月は、新たな材料を探すための模索が続きました。同時に、意外なところから様ざまな激励もいただきました。少し経過を報告しておきます。

●謎の「ステップ6´」模型実験を追う
 11月5日、笠井亮衆院議員の国会事務所にお願いして、9月15日の水害対策協議会に首都高が提出した、2009年2月から今年5月までかけたという「ステップ6´」の水理模型実験の報告書について国を通じて資料要求しました。
 この謎めいた実験が本当は何の目的で行われ、「ステップ6´」以外の実験も行われたのかなどを知る必要があったためです。

●巨大地下河川計画が動き出した
 11月8日、都議会で事業の本格推進が表明された「白子川地下調節池」の”発進”立て坑を、かち佳代子都議や松村友昭前都議、山崎たい子区議とともに見学。さらに地下調節池の上部の目白通りを3キロほど歩いて、地下調節池の”到達”点となる立て坑の予定地が、都有地として確保され、石神井川のすぐそばまで来ているのを確認してきました。この調査で分かったことは、後日またレポートします。

●都の桟橋工事のシミュレーション調査を開示請求
 同じく11月8日、かち都議の勧めもあって、東京都が行っている新柳橋そばの70メートルに及ぶ工事用桟橋(河川内構造物)の影響による水位上昇をシミュレーション予測した資料について、建設局に対して開示請求(いわゆる情報公開)を申し込みました。
 あまり期待はしていませんでしたが、4週間かかって12月6日に出てきた資料をみて、謎はさらに深まりました。

●堀船水害レポート13号まで一気に資料に
 11月中旬に、堀船水害対策協議会の役員会に、なぜか私の堀船水害レポートのNO.1からNO.13までが全文コピーされ、資料として配布されたことを聞いてビックリしました。
 当日出席した与党の区議が、その資料をみて、後で山崎たい子区議に、共産党が要求して資料にさせたのかと問い質してきました。
 堀船水害対策協議会は、堀船の町会・自治会の幹部で構成され、顧問として堀船や隣町に在住している民主、自民、公明、社民の各党議員が出席を認められていますが、共産党の山崎区議は、豊島在住により出席の声がかかりません。
 それだけに、都議会などの各党の質問も批判的なコメントとともに紹介している私の水害レポートが全て資料配布されたことは、大きな衝撃だったと思います。

●地元の共産党への共感と期待
 同じ頃、資料のレポートを読んで、水害地域の住民有志の方が訪ねてこられ、これまで仕事の合間に手間と時間をかけて調べてこられた水害関係の資料を、山崎区議と私・そねに託していかれました。地元の他党議員にも強く協力を求めたけれども、あまりに消極的なので、豪を煮やしたとのことでした。
 王子の連合自治会と地元区議との懇談会でも、水害被害者への補償については期待しないでという与党区議の発言もあったそうです。
 水害対策協議会に顔を出しても積極的に動こうとしない議員と比べ、あくまで住民の立場で諦めずにとりくむ山崎区議の姿勢に共感がもたれていると実感しました。

●あのテレビニュースが研究者の心を打った
 11月下旬になって、関西のT大学の防災研究のN教授から、突然、以下の趣旨のメールが届き、28日にお会いして2時間近く懇談しました。

 「高潮や洪水などの水害対策,災害時の事業継続対策などの企業防災を専門としている。
 7月の水害時から、御地の様子が気になりながら遠路のため調査に行く機会もなく、東京の研究機関が調査していると考えていた。
 最近、つくばの帰りに堀船に立ち寄り復旧状況を視察したが、偶然被災者に話しを聞き,被災者と都の間で被災要因や補償問題などで行き違いがあることを初めて知り,インターネットで検索した所、「はじめ通信」で詳しい内容を拝見した。
 資料を見た限りではデータ公表が限られ,被災要因の分析はかなり難しいようだが,今後の都市水害防止対策に役立てるために詳しい分析を行う価値があるのではないか。
 来週、学会があり出張予定なので、お目にかかって詳しい話を聞かせていただけないかと考えた次第です。」

 7月5日の水害報道を見て、全国の心ある災害対策研究者が強い関心を寄せていたこと、私が徹夜を繰り返してレポートしてきたことがムダではなかったことを改めて痛感しました。
 その後、N教授は、学会の研究者仲間に声をかけて、近く複数で現地の痕跡調査(浸水の水位の跡を探したり住民から聞き取りを行う)を自主的に行いたいとの希望をメールしてきました。
 首都高や地元自治体の冷たさに比べ、遠いながらも阪神大震災を経験した研究者達の意識の高さに、涙が出るほど感服せざるをえませんでした。

●ついに入手した二つの開示資料

 12月6日になって、1か月も前に請求してあった「ステップ6´」の模型実験と、新柳橋桟橋工事の水位への影響調査の資料を、同じ日に受け取ることができました。いまその資料の読み込みに懸命にとりくんでいるところです。

 以上のように、このひと月半も、石神井川の水害を巡ってさまざまな動きの連続でした。これらの中から、最も重要と思われる問題から、順次レポートを再開して行きたいと思います。
 今後とも、専門家各位をはじめ、被害にあわれたり都市水害に関心を寄せておられる皆様の、ご指導、アドバイスをよろしくお願いいたします。

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