アクティビティ 〜 ボランティア(学校訪問)

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 ある週半ばの授業中に、翌日のアクティビティの学校訪問の参加、不参加についての紙がまわってきた。
40人程度の生徒がいる近くのグアテマラ公立学校へ行って、学校で使うものを渡したり、いっしょに遊んだりしましょうってことなんだけど、 10時半からの授業を休んで行くことになるので、個々の意思確認ってとこ。 名前、参加か不参加、寄付するもの(ノート、ペン、本などなど)があれば記入するようになっていた。

 今まで、中南米を歩いてみて、子供達がボールペンを欲しがることに気づいた。 学校に行けない貧しい子も多いけど、学校へ行けてもノートやペンを買うほどお金に余裕がないって子も多い? 紙があったとしても書くペンがなくては習った字が書けないし練習できない。
日本みたいに鉛筆やシャーペンがそんじょそこらに転がっているわけでもなく、 景品などタダでもらったりして放っておいているボールペンなんかが、彼らにとっては貴重なもの。
今回、引き出しの中に眠っているいただき物のボールペン(もちろん、使えるもの)を探し集め、持ってきていた。 もちろん全部・・・といっても10本そこらだけど、寄付することにした。

 で、その日の午後のアクティビティは、自転車で近郊の村を散策することになっていた。が、 なんせ自転車とゆーものに高校以来乗ってなかった。行きたいのはやまやまだったんだけど、乗れる自信なくて参加を断念。
とゆーことで、午後は、翌日子供達に折鶴を持っていってあげようと、折り紙をすることにした。 小さな千代紙を持っていたけど、子供達には少しでも大きな方が喜ぶと思い、グアダルーペに古新聞をもらう。 それにしてもグアテマラの新聞は日本のに比べて、細長くて小さい。
とりあえず、新聞を正方形に切らなければ・・・と、中庭の丸テーブルで作業開始。 新聞いっぱいいっぱいに正方形を取り、残り分での正方形と、大小2枚ずつ切っていく。

 テッドはアパートメントを去り、パトリックとムリヘルはボランティアで孤児院に行っていて、グアダルーペ以外は誰もいない。 一人で新聞と格闘しているところで、ピンポンと呼び鈴。
グアダルーペがちょうど手が空かないようだったので、代わりに出て行くと、送迎用タクシーのおじちゃんとスーツケースを持った女性が2人立っていた。 テッドと入れ替わりに、カナダから来たガリーナとデニスだった。
二人ともエアーカナダの乗務員。デニスは国内線、ガリーナは国際線で日本にも何度か来ていたみたい。 二人とも日本料理ではギョーザが好きと言っていたけど、ギョーザって中華料理・・・まぁ、日本では一般的な食べ物になってるし・・・ 一応、それは中国の料理だと言っておいたけど。
ガリーナは背が高くて、透き通る白い肌に金髪。ロシア系?と思っていたら、案の定、両親はロシア人。 なんと、英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ロシア語と5ヶ国語を話す。どーゆー頭してる?? エアーカナダを辞めて、しばらくアンティグアでスペイン語勉強してから、ロシアへ行くと言っていた。
デニスは1週間の休暇を利用して、ガリーナについてきたらしい。デニスも両親は違う国?黒人系だった。 とにかく気さくで明るい二人とはすぐに打ち解けた。
荷物を置いて二人は「コーヒー飲みに行ってくる」と再び出て行った。

 再び一人になり、何枚か切ったところで鶴を折り始める。しかし、折鶴だけではなんだしなぁ〜 と言っても、鶴以外に私が折れそうなもので子供たちが喜びそうなものって・・・かぶと、紙風船・・・ぐらい?
しかし、かぶとを折るのは久しぶり。あれ?どうだったっけ?と悪戦苦闘の始まり。 1時間ぐらいかかってやっと思い出して出来た。でも、正方形大で折ったかぶとはベビーサイズ。 子供たちの頭にはちょっと小さすぎるけど、新聞自体が小さいゆえどうしようもない。日本の新聞がほしーい!!
次は紙風船。なんとか思い出して折れたけど、薄っぺらい新聞なんで、なんとか膨らんだ風船をポンポンと 上げているとすぐにクシャって感じ。これは正方形小の方で作らないと長持ちしそうにない。
あと、やっこさんはお人形代わりになるかな?と思ったけど、 よーく考えてみると、日本では着物を着たお人形さんだってわかるけど、 こちらではお人形さんってイメージじゃないだろうな・・・。とりあえず、試しに1個作ってみた。

 そうこうしているうちにパトリックとムリヘルが帰ってきた。 早速「何しているの?」とやってきて、「明日子供達にあげるの」とテーブルの上の折鶴を見せると感動の二人。
初めて見るみたいで、「私たちもぜひ作りたい!」と。 うーむ、スペイン語で折り紙を教えるなんて・・・難しい。それも鶴。まぁ、いっしょに折れば、あんまり言葉は必要ないかも?
パトリックとムリヘルはベルギーからでフランス語を話す。 ベルギーって四国の1.5倍ぐらいの国なんだけど、オランダ語地域とフランス語地域と二分されていて、 首都では両方混在しているらしい。おまけにドイツ国境付近の一部はドイツ語、首都ではとりあえず英語もOKらしい。 ということは、国内放送なんか4ヶ国語?
私同様彼らも英語はあまり話せず、よって彼らとはスペイン語でしかコミュニケーションがとれない。 てゆーか、お互いスペイン語勉強中なんで、当たり前なんだけどね・・・。

 それはそうと、ここで発覚。ムリヘルよりパトリックの方がもの覚えがよく器用だってこと。 で、無邪気なパトリックは案の定、新聞を4枚ほど張り合わせて、大きな正方形を作り、早速一人で覚えたての鶴を折り始めた。 ペラペラの新聞だから、よれよれの鶴になるのわかっていたけど・・・。
出来た鶴を持って屋上に上がり、はしゃぐパトリック。それもなぜかお子ちゃま言葉で・・・だいじょーぶかい? パトリックのはしゃぐ声にグアダルーペも中庭に出てきて見上げながら苦笑い。
ムリヘルと私は、中庭に落っこちるんじゃないかとヒヤヒヤしながらも「ほら、ぼーや!」と声をかけながらとりあえず相手してた。 折鶴だけでこれだけ楽しそうに遊んでいるパトリックを見て、子供達もこれで十分遊んでくれるっ!って確信をしながら、 暗くなるまで鶴を折ってた。それでも30個ぐらい・・・まぁ、このくらいでいいかな? 手も新聞のインクで真っ黒になってしまったし・・・。


 当日、10時まで勉強して、それからボランティア参加の人はバス停へと移動。 受け持ちの生徒が参加する場合は、担当の先生もいっしょに参加する。
40人近い人数が1台のボンネットバスに乗り込めるわけもなく、第一陣、第二陣で分かれて行った。 バスは一般客を乗降させながら、アンティグアの街並みを去り、ポツポツと家があるようなところをしばらく走って、 それから「ここで降りるよぉ」との声。みんなでぞろぞろとバスを降りて行く。
ちなみに、ボンネットバスには運転手と車掌がいて、バスに乗ってから車掌がバス代集めに回る。 誰々が乗ってきて、どこに座ってって、いちいち覚えているのがスゴイ。 結構な距離を走ったような気がしたけど、Q0.8(13円程度?)だった。 グアテマラの公立学校

 バス停から降りて、しばらく家があまり見当たらない砂利道をみんなで延々歩く。 まぁ、ワイワイ言いながらなんで楽しいんだけど・・・それにしてもここはどこ?アンティグア郊外?それとも隣村? 学校ってどこだ?
と、広場にやっとたどり着いた。第二陣が来るまでここで休憩。 昔は修道院だったのだろうか?地震でかしらないけど、崩れかけたような古びた建物がある・・・と思ってたら、 なんとここが学校!(左写真)

 第二陣も合流し、古びた建物のドアをくぐると、やっぱり修道院跡を思わせる造り。 中庭を囲むように部屋が並んでいた。まぁ、教室として使うにいい造りかな?
子供達が右手に座って迎えてくれ、私たちは左手に並べられたイスに座っていく。
で、ドアをくぐってすぐに、なぜかつまづいて思いっきりコケッとなってしまった私・・・と、案の定、大笑いの子供達。
どーしてこう何事もなく静かに物事を済ませられないのかわかんないけど、 まぁ、笑いがあって場が和むなら、一役買ったと思えばいいのかな?って、やっぱりいい方に解釈してしまってる?

 中庭を挟んで席に着いたあと、そこの学校の校長先生らしき女性があいさつ。 で、アルバロもあいさつとかしていたようだけど、他の事考えていたのか?ちょうどボケッとしていたところで 私の名前を呼ぶ声が・・・「へ?」ってな顔してたら、 アルバロが私の名前を呼びながら、こっちへ来いと・・・。
「なになに?」と思って行ったら、今朝学校で集めた子供達に寄付する品々を代表であげろってなことらしい。 「なんで私がぁ?」と言っている間にも、サンタさんが抱えているよーな白い布袋みたいなものを渡される。
ちょっと待てよ。あげるのはいいけど、何か一言言って渡さないといけない? 突然何か言えと言われても、スペイン語で何と言って渡せばいいのぉ?心の準備がぁ〜どーしよぉ〜 などと内心あたふた状態。でも、緊張気味の受取り代表の男の子が出てきたと同時に、吹っ切れたように ニッコリ笑って出た一言は「Estudia mucho!(エストゥディア ム-チョ);頑張って勉強しなさい!」
・・・他に言いようがあったのだろうけど、やっと浮かんだ言葉がこれだけだったもんで・・・。それにしても、アルバロ! 私に頼みやすかったのかどうかわかんないけど、 代表で渡す折をもうちっと早く言ってもらえれば、それなりに考えてきたのにぃ!
いちおう男の子は緊張気味の小さな声で「ありがとう」と言って受取ってくれた。で、お互いほっぺにチュっとご挨拶でシメ。

 それから、低学年、中学年、高学年と分かれて歌って踊ってくれた。 すごくシャイなんだけど、やっぱカワイイ。(下写真;全校生徒)
低学年 中学年 高学年
低学年
恥ずかしがって尻込みしている。先生といっしょに。
制服もカワイイ。
中学年
元気いっぱいで一生懸命って感じ。
制服を着てない子供たちもいた・・・。
高学年
低学年と違って恥ずかしいと言うより、照れ?
彼らの笑顔をぜひ拡大して見てみて!

イクシェルの先生たち

 今度はボランティアで来てた生徒たちに「何かやって」とアルバロが声かける。
カナダから来てたおばちゃんだったか、「○○が歌える人」と呼びかけて、5〜6人ほど出ていって歌ったのは、 日本でも聞いたことがある動物の鳴き声を入れながら歌う歌(題名忘れたけど?)。 英語で聞くのは初めてだったけど、みんなおもしろおかしく歌っていた。
そのあと、そのおばちゃんが一人で動物や鳥の鳴き声を、口と手ですごく上手に奏でてた。子供達も大歓声。 芸達者でたくましそうな(?)おばちゃんだった。

 で、アルバロが「○○を歌おう」とイクシェルの先生たちをみんな呼び出して、歌いだした。 たぶんグアテマラの童謡みたいなもの?みんな楽しそうに歌っていた。(左写真;ちなみに左端がイクシェル校長のアルバロ)
それから、プラスチックのカップに入ったフルーツが私たちにも子供達にもに配られた。いろいろなフルーツが 細かく刻んで入ってたなぁ・・・。 みんなで仲良くおやつタイム?昼食時だったけど。

 なんか、屋台とか食堂とかで、フルーツを切って出されたものはお腹こわすから口にしないように・・・とよく聞くけど、 これって、主に日本人に対しての忠告? 抗菌が徹底されている日本だからこそ、雑菌に耐性がなくてお腹こわしやすい人が多いのでしょう。
確かに清潔とは思えないところで調理してたりするから、見ただけでなんかお腹こわしそうな気もしてくるんだけど、 不思議と私は外国でお腹をこわした記憶はない。お腹をこわしそうと思って食べてたこと多々あるんだけど・・・。
欧米人もあまりお腹をこわす話は聞いていなかったけど、やっぱり、フルーツを口にしない人が2〜3人いた。 私が知っている限りドイツ人だったような?
でもある夜、お店でアメリカ人のテッドとイギリス人のジェームスと3人でピザを食べて、翌朝、テッドがピザに中ったと ぐったりしてた。私はどうもないと言ったら信じられないって言ってたなぁ〜。ジェームスは翌早朝から去って行って会うことがなかったので、 どうだったのか知らないけど。

 食べ終わって、そろそろ帰り支度し出した子供達を見て、慌てて新聞で作った折鶴やかぶとなどを近くにいた子供にあげた。
と、それを見ていたのか他の子供たちがどやどやと私のところにやってきて手を差し出し、 「鳥ちょーだい」「ボール(紙風船)ちょーだい」と、いつしか子供達に囲まれ揉みくちゃにされ、ひゃー!助けてー!ってな感じ。 まぁ、うれしい悲鳴ってとこだったけど、こんなになるんだったらもっと作ってくればよかった・・・。
正方形に切った新聞紙を何枚か持ってきてたけど、折ってるそばから持っていくんで、我ながら早送りで折ってる状態。 あまりにもの子供達の反響にパトリックとムリヘルも手伝って折ってくれてたけど、アルバロからは無情にも「早く帰るよ!」とせかされ、 結局、子供達には「また今度ね」ととりあえず言って、なんとか子供達から解放されたって感じ。
ちなみに子供達は、折鶴を”Ave(アベ ;鳥)”、 紙風船を”Pelota(ペロータ ;ボール)”、かぶとを”Sombrilla(ソンブリージャ ;パラソル)”と言っていた。 かぶとを帽子と言うのかと思っていたけど、パラソルとは意外だった。
男の子たちには、紙風船が一番人気だったかな? イクシェルの男の先生(名前忘れた)も、折鶴ではなく紙風船の作り方を教えてと言ってきたし・・・ボールとして扱うには もろいんだけどね・・・。

 "音楽に国境はない"ってよく言われるけど、折り紙にも国境はない? そんじょそこらにある紙一枚でいろいろなものが作れるって、驚きだし、なによりも老若男女問わず喜んでくれるのはうれしい。 以前にも述べたけど、折り紙文化のある日本に生まれてよかったと思えるひと時かな?

 ”ボランティア”って人それぞれに価値観があるようで、 ボランティアと言う言葉自体を重視しているような人もいるし、 ボランティアと言う言葉が善人ぶってキライって言う人もいるし、 ボランティアってどうすればいいの?とか聞いてくる人もいるし・・・。
私はとゆーと、ボランティアと名の付くものに参加したときに「これがボランティアね」って漠然と受け入れ、 「私ボランティアやってるの」と人から言われたときも「へぇ〜そうなの」って同じく漠然と受け入れる感じ。 あまりボランティアという言葉の観念はないんだと思う・・・。
私は、自分がやれる範囲でできることをやって、それが何らかの役に立てたり、喜んでくれたりしたらうれしいかな? それがボランティアだと言われようが、そうでないと言われようが、それは個々の判断に委ねます・・・。

 今回、学校訪問ボランティアと題してのアクティビティだったけど、イクシェル以外のスペイン語学校で アクティビティに取り入れているところはほとんどないのでは?
「イクシェル・スパニッシュ・スクールについて」の項の「他」にも書いてあるように、各種ボランティアの窓口ともなっていて、 受け入れ態勢が整っているんで、ここならではのアクティビティじゃないかと思う。
とにかく私としては、地元の学校訪問が出来る機会が持ててよかった。もっと折り紙を勉強せねば・・・。


 
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