今回は、『公的保障』について取り上げていきます♪
生命保険に加入する前に、国や勤め先の会社から支払われる、『公的保障』について考えてみましょう♪
毎月、給料から差し引かれている、『年金保険料』や『健康保険料』、これらにどのような保障が付いているのか?
これらを知らないままに、過剰な生命保険へ加入している方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?
せっかく高い社会保険料を払っているのだから、イザという時にもらえる分を知り、ガッチリともらわないとあまりにも馬鹿馬鹿しいですよね。。
どの保障を受けられるのか、また、保障はいくらくらいの額が受け取れるのか、をしっかりとチェックしておくことが重要です♪
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■加入社会保険の種類
社会保険には、医療保険・年金保険・労働保険(雇用保険・労働者災害補償保険)・介護保険などがあり、被保険者の条件によって加入している社会保険の種類は違っています。
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サラリーマン・OL等 |
公務員・教職員等 |
自営業者やその妻 |
医療保険 |
健康保険 |
各種共済(短期給付) |
国民健康保険 |
労働保険 |
労災 |
労働者災害補償保険 |
- |
失業 |
雇用保険 |
- |
- |
介護保険 |
介護保険 |
年金保険 |
国民年金 |
厚生年金保険 |
各種共済(長期給付) |
- |
一般に、日雇労働者は「健康保険(日雇特例被保険者)」「国民年金」「労働者災害補償保険」「雇用保険(日雇労働被保険者)」に、船員は「船員保険」「厚生年金保険」「国民年金」に加入しています。
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■主な公的保障・福利厚生
死亡保障系の公的保障
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・遺族基礎年金
年金加入者が死亡した後、遺族に支払われる年金。受け取れるのは原則18歳到達年度末日までの子を持つ妻または子のみ。
・遺族厚生(共済)年金
厚生(共済)年金加入のサラリーマンなどの死亡後に支払われる遺族年金制度。遺族基礎年金とダブルで受け取れる。
・中高年寡婦加算
厚生(共済)年金加入者の死後、35歳以上で子のない妻、または遺族基礎年金受給終了時に35歳以上である妻に支払われる。
・労働者災害補償保険
いわゆる労災保険。遺族は一律300万円の一時金と遺族の数に応じた年金、埋葬料がもらえる。
・埋葬金
健康保険組合の制度。本人死亡時以外に、配偶者の死亡時にも支払われる場合が多い。健保組合によって独自の上乗せ分がある場合も。
・死亡退職金(会社など)
死亡が理由で退職した場合の退職金。金額は会社ごとに決めた計算方法による。同じ会社なら、長く勤めた人、給料が高い人ほど金額が大きくなる。
・遺児育英年金制度
会社独自の制度。従業員が業務上の理由により死亡した時に、遺児に対して贈与される。 |
医療保障系の公的保障
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・高額療養費制度
1ヶ月に支払った医療費が一定額を超えた場合、超過分を、健康保険組合が払い戻してくれる。手続きをしないと、払い戻しが受けられない場合も。
・高額医療費融資制度
高額療養費制度の払い戻しを受けるまでの期間に、払い戻し分の8割程度を、無利息で融資してくれる。返済は、払い戻しと相殺になる。
・高額療養費委任払い制度
融資制度を利用するとき、融資額が直接病院に支払われる制度。本人が病院に支払う医療費は、自己負担分のみですむ。
・特定疾患の医療費助成
国や自治体が指定する難病にかかったとき、指定医療機関で治療をうけると、医療費の助成が受けられる。全額が公費負担になる病気もある。
・小児慢性特定疾患の医療費助成
小児ぜんそく、小児糖尿病など、子供に多い10種類の慢性疾患にかかり、委託医療機関で治療を行う場合に医療費助成が受けられる。
・付加給付(健康保険組合など) 健康保険組合や共済組合の独自の制度。高額療養費制度の上乗せ制度と言え、自己負担額がさらに下がる。各組合で金額が違うので確認が必要。 |
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■遺族年金
- ・ 遺族基礎年金
- 遺族基礎年金とは、国民年金加入者が死亡した時、残された家族に支払われる公的保障です。
受給資格は「18歳到達年度末までの子を持つ妻」のみで、子のない妻や、妻に先立たれた夫などは受給資格がありません。所得の低いシングルマザーに配慮された制度と言えます。
金額は子供の人数によって決まります。末っ子が18歳になった年の年度末に支給が打ち切られます。
→「遺族基礎年金」 受給額の計算
妻 |
797,000円 × |
(18 − 一番下の子の年齢)年 |
= A 円 |
第1子 |
229,300円 × |
(18 − 第1子の年齢)年 |
= B 円 |
第2子 |
229,300円 × |
(18 − 第2子の年齢)年 |
= C 円 |
第3子 |
76,400円 × |
(18 − 第3子の年齢)年 |
= D 円 |
A + B + C + D = 遺族基礎年金で受け取れる合計金額 円 |
※障害等級1,2級の子がいる場合、20歳まで支給される。
※子が3人以上いる場合、第3子以降1人につき年7万6400円づつ加算されていく。また、第1子の18歳到達年度末以降、第3子は22万9300円支給される。同様に第2子の18歳到達年度末以降、第4子は22万9300円に増額・・・となる。
- ・ 遺族厚生(共済)年金
- サラリーマンや公務員は、国民年金と厚生(共済)年金の両方の制度に加入しています。だから、死後の年金は「遺族基礎年金」と「遺族厚生(共済)年金」の2階建てで受け取ることができます。子供がいなくても受け取れ、シングルの場合、老親が受け取ることも可能です。
妻の死後に夫が遺族厚生(共済)年金を受け取れる条件は、55歳以上で年収850万円以下と、遺族基礎年金に比べ少しだけゆるくなっていますが、やはり年金制度は女性に有利な制度と思っておくことがよいと思います。
遺族厚生(共済)年金の魅力的なところは、再婚しない限り、一生にわたって年金をもらえる点です。老後に入って自分の年金がもらえる年齢になった時点で、自分の年金と夫の遺族年金、両方の組み合わせなど複数の選択肢の中から、有利な方法を選択することができます。
→「遺族厚生(共済)年金」 受給額の計算(長期要件)
■平成15年3月まで @ 平均標準報酬月額 × 給付乗率(生年月日に応じて0.95〜0.7125%) × 加入期間の月数 × 物価スライド率 = A 円
■平成15年4月以降
A 平均標準報酬額 × 給付乗率(生年月日に応じて0.7308〜0.5481%) × 加入期間の月数 × 物価スライド率 = B 円
B ( A + B ) × 3/4 = 遺族厚生(共済)年金で受け取れる額 円 |
→「遺族厚生(共済)年金」 受給額の計算(加入期間が300ヶ月(25年)未満)(短期要件)
■平成15年3月まで
@ 平均標準報酬月額 × 給付乗率(生年月日に応じて0.7125%) × 加入期間の月数 ×
物価スライド率 = A 円
■平成15年4月以降
A 平均標準報酬額 × 給付乗率(生年月日に応じて0.5481%) × 加入期間の月数 ×
物価スライド率 = B 円
B ( A + B ) × 300/全被保険者月数 × 3/4 = 遺族厚生(共済)年金で受け取れる額 円 |
※平均標準報酬月額・・・加入期間の給与月額の平均。
※平均標準報酬額・・・給与額+賞与額の月額換算平均。 ※短期要件にて、加入期間が300ヶ月(25年)未満の場合、300か月として計算します。 ※物価スライドとは、物価の変動に応じて年金額を改定すること。前年の消費者物価指数の変動に応じ、翌年4月から自動的に年金額が改定さる仕組みになっています。平成15年度の物価スライド率は0.991です。
また、遺族基礎年金が受け取れない人のうち、夫の死亡時に35歳以上で子のない妻や、子の卒業で遺族基礎年金を打ち切られた妻には、40歳から「遺族厚生(共済)年金」に「中高齢寡婦加算」を上乗せして受け取ることができる。
→「中高齢寡婦加算」 受給額の計算
597,800円 × ( 65 − 一番下の子が18になる年齢 )年 = 中高齢寡婦加算で受け取れる金額 円 |
■高額療養費制度
健康保険制度には、「高額療養費制度」というものがあります。この制度は、保険診療分の医療費が一定額を超えた時に、超過分について払い戻しが受けられるというものです。
03年4月から、サラリーマンの医療費の自己負担額が2割から3割にアップしました。これから先、もし入院などで数十万〜数百万かかってしまったらどうしよう・・という時、この制度を利用することにより、支払う額が少なくてすむのです。例えば、骨折で入院し、月末に1ヶ月分の医療費として50万円を払ったとします。通常ならば3割負担で、支払う額は15万円になりますが、この「高額療養費制度」を利用すると、数ヵ月後に40万円以上が払い戻されるのです。
自己負担額の上限は、所得によりかわります。
医療費の自己負担額の上限
所得区分 |
3ヶ月まで |
4ヶ月以降 |
低所得者
(住民税非課税世帯や生活保護の被保険者など) |
3万5400円 |
2万4600円 |
一般
(低所得者、上位所得者の要件にあてはまらない人) |
7万2300円+α(※) |
4万2000円 |
上位所得者
(「健保加入のサラリーマン:月収56万円以上」、
「共組加入の公務員:基本月給44万8000円以上」、
「国民健保加入の自営業者など:世帯合算所得が
700万円以上」のいずれかに該当する人。) |
13万9800円+α(※) |
7万7700円 |
あくまでも健康保険扱いなので、差額ベット代や食事代など保険対象外のものは含まれません。
※α の計算式(1ヶ月で支払った医療費に関して)
一般 → 7万2300円+(医療費−24万1000円×1%) 上位所得者 → 13万9800円+(医療費−46万6000円×1%)
上記の計算式は、一つの医療機関に1ヶ月で支払った医療費に関する計算法ですが、治療が2ヶ月以上にわたる場合は、1ヶ月ごとに医療費を計算し、高額療養費を申請します。連続4回目以降の申請では、自己負担額がダウンするので、長期入院でも安心です。また、家族の2人以上が医療費を使った場合や、1人で複数の医療機関にかかった場合でも、それぞれの支払いが月2万1000円以上なら、合算しての申請が可能です。子供が骨折で入院中に、母親が歯の治療をした場合などは、合算することで歯の治療分がただになることもあります。
健康保険組合では自動的に計算し、数ヵ月後に給振口座に振り込んでくれ場合もありますが、高額療養費の払い戻しは、原則、自己申請です。忘れずに申請するようにしてください。また、政府管掌健康保険組合に加入している人は社会保険事務所、国民健康保険に加入している人は市区町村役場で手続きを行う必要がありますので注意してください。
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