法律用語あれこれ 
8 無効と取消(むこうととりけし)
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無効(むこう)と取消(とりけし)

 合法的になされた法律行為が元から無し(チャラ)とするのが「無効」です。
 形式的には合法でも、法律行為を行う能力が欠ける人の行なった契約や脅迫で交わされた契約などに適用されます。
 
 似たようなものに「取消」がありますが、こちらは取り消すことが条件です。
 取消がされるまでに行われた行為は有効とされます。無効となる脅迫と違って、詐欺は取り消さなければ無効になりません。
 
 余計なことになりますが、詐欺と脅迫は当事者の「注意力」や「置かれた状況」が異なります。
 だまされる人に落ち度(過失)や程度あるのを忘れてはならないでしょう。
 詐欺商法にひっかかった人には欲が絡んだ都合の良い思い込みが見受けられます。
 ともあれ、法律行為には無効と取消が伴うことを知っておきましょう。
 公序良俗に反する行為は無効です。 


 この他に「追認」が有効・無効となるかの決まりがありますが、話が混乱するので省略します

 【補記】
 
 参考までに、無効と取消の対比、無効原因と取消し事由を表にしておきます。
 心裡留保(93条)、通謀虚偽表示(94条)、錯誤(95条)などの意思表示の違いは別の機会に触れます。


                                                  無効と取消しの相違
無効 取消し
特定の主張は必要でなく、当然効力がない 特定人の主張があって、効力がなくなる
すべての者は、はじめから効力がないものとして取り扱う 取消しがない場合は、効力のあるものとして取り扱う
放置しておいても効力がないことに変わりがない 放置しておくと、無効とすることができなくなる ※期間制限


無効原因と取消し事由

無効原因となる要素 取消しができる
法律行為
客観的要素 主観的要素
・公序良俗違反
・強行規定違反
・実現不能
・内容の不確定
・意思無能力
・心裡留保
・通謀虚偽表示
・錯誤
・制限能力者のした行為
・詐欺・脅迫によった法律行為

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